信夫浩一 院長の独自取材記事
ニコ動物病院
(板橋区/志村坂上駅)
最終更新日: 2023/01/22
都営三田線・志村坂上駅から徒歩約10分。常盤台赤羽線沿いに「ニコ動物病院」はある。2014年9月にオープンした動物病院で、外観・院内ともに新しく綺麗。窓にデザインされた犬と猫の愛らしいキャラクターや、院内の白やベージュを基調としたデザインが、アットホームな雰囲気を感じさせる。診療対象は犬・猫・ウサギ・フェレット・モルモットで、トリミングやペットホテルも提供。院長を務めるのは信夫(しのぶ)浩一先生。都内の病院で院長を務めた後アメリカへ渡航、先端の外科治療の研鑽を積み、自身のクリニックを開院した。「ペットと飼い主が楽しく暮らせるお手伝い」をコンセプトに、相談から治療まで包括的な動物医療の提供を行っている。病院の特色、診療のこだわり、獣医師をめざした理由などについて伺った。 (取材日2014年10月1日)
国内外で診療技術を磨き、満を持してオープンした動物病院
今年9月にオープンしたそうですね。
そうですね。9月3日に開院しました。多くの飼い主さんから親しんでいただけるように、全力を尽くしていきたいと思います。この板橋区前野町で開業したのは、開業地を探していたときに通りかかったのがきっかけなんです。とても雰囲気の良い地区だなと感じました。最寄り駅の志村坂上駅やときわ台駅からは多少距離はありますが、近隣には商業施設も充実していますし、また、ゆっくりと時間が流れているようなおおらかさも魅力でしたね。以前は他県での開業も視野に入れていたのですが、この地区で腰を据えて動物医療を提供していけたらと、開業地に選びました。
これまでの経歴をお聞かせください。
概略すれば、獣医師になって2件の動物病院に勤務したのち、渡米してロサンゼルスとヒューストンの動物病院で研修、そして当院です。開業自体は以前からゆくゆくはと考えていましたが、きっかけは2件目の動物病院時代です。院長を務めさせていただいていたのですが、診療の日々の中で自分の思い描く診療スタイルが明確になり、決心しました。当時思い描いていたのは、予防医療から高度治療まで幅広く行える動物病院で、アメリカに渡ったのもそのためです。診療技術をより深めるべく研鑽を積みました。研修は手術が中心でしたが、外科は私がかねてより力を入れてきた分野ですので得るものがとても大きい日々でした。また、向こうの動物医療の体制にも刺激を受けました。ひと言で言えば、「チーム」ということでしょうか。国籍や考え方がそれぞれ違う人々が一致団結して動物医療を提供していくためのシステムがしっかりと構築されていて、学ぶ面が多かったですね。このようなアメリカで得た経験を活かしながら、ペットや飼い主さんに心底安心してもらえる、頼れる動物病院をめざしていきたいと思っています。
ニコ病院ではどのようなペットを診療対象にしていますか?
犬と猫、ウサギ、フェレット、モルモットを対象にしています。割合は、まだ何とも言えませんが、現状では犬が多く、次に猫、そしてウサギでしょうか。犬は小型犬が中心ですね。皆、周辺地区で飼われているペットたちです。駅からは少し離れていて、家の近くに動物があまりない方々にはちょうど良い立地のようで、散歩がてらに寄っていただけるような親近感をもってもらえたら嬉しいですね。
一頭一頭、一人ひとりに寄り添える動物医療をめざして
病院の特色を教えてください。
まず、基本的な情報では、休診日と診療時間だと思います。当院は年中無休で、診療時間は3パターンに分けていて午前、午後、夜間です。普段は会社勤めの飼い主さんも少なくないですから、夜の診療時間は特にご安心いただけているのではと感じています。院内環境では、できるだけペットにも飼い主さんにもストレスにならない環境づくりを心がけました。待合室はできる限り開放的な空間になるようなデザインにしていて、院内を見渡せるような視界の良さにも配慮しています。その他では、診療室や手術室も広めにスペースを設けているのも特色です。設備面では、コンピュータ上で高精度の診断を可能にするレントゲン画像検査システムや血球計算器、麻酔機器や心電図などの手術治療に関する設備を整えている点です。そして、病院全体としては、「すべてにやさしい動物病院」を目標にしていることです。「ヒューマン・アニマル・ボンド」の考えには非常に共感しており、私も「どうぶつ」と「ひと」をつなぐ絆を大切にして、真にペットと飼い主さんとが楽しく豊かに暮らせるお手伝いの場をめざしています。
そのように考える先生の、診療に対するこだわりをお聞かせください。
難しい質問ですね。こだわらないのが、私のこだわりでしょうか。「水にならう」という言葉が好きなんです。“水”って入れる器によって姿を変えますよね、コップ、茶碗、鍋などなど……。しかし、それでも水の本質は変わらない。それと同じで、一頭一頭、一人ひとりのペットや飼い主さんに寄り添える医療を提供する獣医師でありたいと思っています。言い換えれば、自分の培ってきた知識、診療技術を固持するのではなく、絶えず「今」に全力を尽くすことですね。診療中は、「相手は何がしたいのだろう、何をしてほしいのだろう」ということに対して意識や感度を高めている感じでしょうか。ですから、先ほど手術治療を積極的に学んできたともお伝えしましたが、それを特別うたっているわけではありません。地域性を的確に把握して、最良となる動物医療を提供していくのを第一義と考えています。あと、診療についてではありませんが、ひとつ大切にしていることがあります。それは、動物病院としてのあり方についてです。ペットが自分で病院に来院することはないですし、動物病院を探す時間で重篤になってしまうこともあります。なので、飼い主さんが些細なことでも相談できるような、気軽にドアを開けられる動物病院でありたいです。
今、発信しておきたい情報はありますか?
ペットの感染症についてお話ししたいと思います。ペットだけではなく人にも感染するおそれのある人獣共通感染症についてです。回虫や条虫などの「寄生虫」、「ダニ媒介性疾患」や「ノミ刺咬症」、「猫ひっかき病」、「レセプトスピラ症」など……、意外に思われるかもしれませんが、その種類は少なくありません。室内飼いが当たり前になっている現代のペット事情を鑑みれば、飼い主さんが人獣共通感染症の知識を持つことは重要なことだといえます。大切なパートナーとして、末永く生活をともしていくためにも、ワクチンや適切な予防に今一度、注目して置いてもらいたいですね。また、私たち獣医師が積極的に発信していくべきことだとも考えています。
動物病院は、ペットと飼い主の暮らしを応援する「相談所」
獣医師をめざしたきっかけを教えてください。
決定打となるエピソードがあるわけではないのですが、動物を身近に感じていたからなのかもしれません。実家は犬や猫、ハムスターにインコなどを飼っていて、常に動物に囲まれた生活環境でした。小さい頃からそのように育ちましたので、可愛いという気持ちだけではなく、動物はある種、私の心の支えでした。例えば気持ちを共有できるというのでしょうか。もちろん、明確な意思疎通ができるわけではありませんが、例えば楽しいときも辛いときも動物がそばにいてくれて……、大きな存在だったんでしょうね。そういった感覚からだと思います。
獣医師になられてみていかがでしょう。
今振り返って、獣医師になって本当に良かったと感じています。毎日動物に接し、お世話をできることもそうですが、人に恵まれました。母校の日本大学時代からの付き合いもありますし、仕事を通じて出会った先生方はそれぞれに優れたところがあって、お会いすればいつも多くのことを学ばせていただいています。そして、ペットだけじゃなく飼い主さんから元気をもらうことが多いなと感じますね。ありがとう、と言ってもらえたときや、お互いに心を開いたコミュニケーションをとれている気がしたときにはとてもうれしくなるんです。
年中無休の診療ですが、どのようなリフレッシュをしていますか?
趣味と言えるほどの特別なことはないのですが、私は書店、カフェ、温泉があれば“ハッピー”なんです(笑)。そこにいくのが、一番のリフレッシュ方法ですね。本は何でも読みますが、その時々で興味のあるものを購入して、お気に入りのカフェで読んでいます。温泉は、仕事柄あまり遠方へ行く機会はなかなかありませんが、板橋区にも温泉はありますので、度々汗を流しに言っています。
最後に、ドクターズ・ファイルの読者にメッセージをお願いします。
現代はインターネットの情報が豊富で、動物病院やペットの病気のことなども、すぐに調べることができます。しかし、だからこそ情報に左右されてしまう難しい面もあります。なので、もし、かかりつけをお探しであれば、今も昔も変わらず、自身の足で探すのが一番なのかもしれません。ぜひ、ペットが病気になってからではなく、普段から気兼ねなく相談できる動物病院を見つけて置いてください。そして、当院もそのような病院を全力でめざしていきますので、何か心配事をお持ちの飼い主さんがいらっしゃいましたら、お気軽にお越しください。