藤間友樹 院長の独自取材記事
バンブーペットクリニック
(目黒区/学芸大学駅)
最終更新日: 2023/01/22
東西に商店街が広がり、にぎやかで活気あふれる学芸大学駅前より徒歩8分。住宅街の一角にカフェのような外観の「バンブーペットクリニック」が見える。明るくスタイリッシュな雰囲気はペットクリニックとは思えないほどおしゃれだ。「クリニックっぽい雰囲気は出さず、ペットにも飼い主さんにもリラックスしてもらえる空間にしたかった」という藤間友樹院長のこだわりが詰まっている。大学に入るまで、ずっとこの地で育った藤間院長が目指すのは「地域に愛される動物病院」。 医師任せではなく一緒に最善の方法を考え、治療の先にあるペットを飼うことの楽しさを見出してほしいと笑顔で語る。そんな藤間院長に治療を行う際のこだわりや今後の展望などさまざまなお話を伺った。 (取材日2015年3月20日)
クリニックに行くという緊張感をなくすため、カフェのようなリラックス空間にこだわった
クリニックとは思えないほどおしゃれな雰囲気ですね。
外観や内装、ロゴもすべて、クリニックっぽくしないというのが最大のこだわりでした。カフェのようにくつろげる空間にしたかったんです。クリニックに来るだけで緊張してしまうペットもいますので、まずはそれを払拭したいという思いと、ペットだけではなく、飼い主さんにもリラックスしてほしいという思いもありました。ペットは意外と飼い主さんの顔色をしっかり見ていますから、飼い主さんが緊張していると不安になってしまうんですよね。クリニックっぽくないせいか、ここは近くに大きな公園があって犬の散歩コースにされている方が多いのですが、入口で「入りたいよー」と言わんばかりにドアをカリカリしてくれるワンちゃんもいます(笑)待ち時間が長くなってしまうこともありますので、飼い主さんにはコーヒーを飲んでゆったりして過ごしていただけるよう配慮しています。
動物と接するうえで、心がけていることがあれば教えてください。
まず信頼してもらうことが大事だと思っていますので、いきなり触ったり、診察台にあげたりはしません。最初は診察室の床におろしてもらって飼い主さんとお話をします。動物を触りながらだと主訴をしっかり聞くこともできませんので、まずは問診にしっかり時間をかけます。犬の場合はその間ににおいを嗅いだり、飼い主さんとのやり取りをみてもらって、「この人は自分に害を与えるような人ではないのかな」って思ってもらえた頃に診察に入ります。猫だったら大きな音を立てずに、自分でケージから顔を出して出てきてくれるのを待ちます。そっと触ってテンションも上げずに、静かにゆっくりと接しています。動物とも飼い主さんとも信頼関係を築けるよう工夫しています。
特に力を入れている治療は何でしょうか。
基本的には、ゼネラリストを目指しています。しかし、小動物歯科研究会に所属していますので、歯科に力を入れています。特に歯石取りなど歯周病予防が大切だと思っています。人間同様、動物にとっても歯の健康は大切なものです。歯周病になってしまうと、細菌が常に血管に供給されていることになりますのでさまざまな病気の原因になってしまいます。当院のLINEで友だち登録をしていただいたら、動物病院専用歯ブラシセットをプレゼントするというキャンペーンなども取り入れ、啓発活動にも力を入れています。歯みがきの仕方がわからないという飼い主さんも多いので、今後は歯みがき教室なども行いたいですね。
言語を持たない動物の代わりに、しっかり時間をかけて説明
先生が獣医師を目指したきっかけを教えてください。
小さい頃から動物が好きでした。当時はアパートに住んでいたので動物を飼うことはできなかったのですが、親戚の家に何をしても絶対に怒らない温厚な柴犬がいたんです(笑)その柴犬が本当にかわいくて大好きで、田舎に帰るのが楽しみでした。その柴犬のおかげで、動物にはいい印象しかありませんでしたね。手先を動かすのが好きで器用だったし、生物や数学が得意分野だったこともあって、自然に獣医師になりたいと思うようになりました。
理想とする獣医師像はありましたか。
獣医師を目指した当初は、ひたすら夢を追いかけて、いつか開業できたらという漠然とした夢しかありませんでしたが、獣医師になり都内で1年間夜間救急を経験した時に意識が変わりました。昼間に病院で受診して治療をしたのだけれどよくならない、と訴える飼い主さんがとても多かったんです。病名や処方された薬もわからないという飼い主さんがとても多かった。「よくわからないけど何かの注射をしていました」とか。それじゃいけないと強く思いましたね。こういう状況なのでこういった薬を使います、症状が改善するまでに時間がかかる可能性もあります等ということも伝えていないと、飼い主さんは昼間病院に行ったのに全然よくならないと思って不安になってしまうのが当たり前です。動物は言葉を話しませんから、余計に我々獣医師がしっかり説明する必要があるということを実感しました。お待たせしてしまうこともあるかもしれませんが、ひとつひとつの診療を丁寧に行い、メリットだけではなくデメリットもしっかり説明する。我々獣医師が治療法を決めるのではなく、飼い主さんと一緒に最善の方法を考えていけるようなそんな獣医師になりたいと思うようになりました。それぞれ家庭環境や家族構成など、ペットを取り巻く環境も違いますから、流れ作業ではなく、それぞれに見合った治療方法を見つけていけるようになりたいと思っています。
このクリニックならではの特徴などがあれば教えてください。
トリミングも行っています。トリマーは私の小学校時代の同級生で、明るく動物にも好かれているので安心して任せています。トリミングは毛をかき分けて全身をくまなくチェックしますので、腫瘍や皮膚病が見つかることもあります。健康診断も行っていますが、病気を経験したことがないとなかなか足を運んでもらえないこともあります。その点、トリミングは定期的に行う必要があるので、病気じゃなくても来院していただけますし、必ず身体状態をチェックできます。そういった観点からトリミングを併設しました。だからといって、クリニックのおまけのトリミングということではなく、シャンプーや施術方法は厳選して、トリミングサロンとしても恥ずかしくないレベルで提供しています。
ペットとの豊かな生活を楽しんでいただくお手伝いがしたい
お休みの日はどのように過ごされていますか。
海や山にでかけるほどアウトドアが好きです。最近は時間に余裕がなくなかなか行けなくて残念です。とにかく外出するのが好きなので、最近はショッピングに出かけたりすることが多いです。開業してまだ数か月ですので、セミナーに参加することも多いですね。そこで勉強してきたことをクリニックのブログで発信することもあります。パソコンやゲームも好きですね。
今後の展望をお聞かせください。
セミナーを開催して、もっと動物との生活を楽しんでいただきたいですね。歯みがきの仕方だったり、しつけに悩む飼い主さんも多いのでしつけ教室も検討しています。また開院して避妊去勢手術をしていないペットが多いことに驚きました。今後は手術の必要性ももっと訴えていきたいです。避妊去勢は子どもを作る、作らないだけの問題ではなく、病気の予防という観点から必要になります。子宮などが残っていることで起こりうる病気を予防するためのものですので、そういったことも広く伝えていきたいと思います。
最後にドクターズファイルの読者へのメッセージをお願いします。
遊びに来ていただく感覚で、気軽にお話しを聞かせてほしいと思います。飼い主さんにはとにかくペットとの暮らしを楽しんでいただきたいと考えています。最近はインターネットでさまざまな情報を得ることができるようになり便利な反面、多すぎる情報によって混乱し、残念ながら間違った知識をお持ちの方もいらっしゃいます。もう「これはこの病気だ」と決めてしまい、僕がその通りの診断をしないと納得できないという飼い主さんも。けれど本来、ペットを飼うというのはとても楽しくて生活が豊かになるはずなんです。情報や心配事に惑わされ疲れてしまうより、病気のことは我々にお任せください。飼い主さんはどうかペットとのかえがえのない日々を楽しんでください。そして治療の先にある、さらに楽しく豊かな毎日を1日でも早く取り戻せるよう、全力でお手伝いをさせていただきたいと思っています。