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服部真澄 院長の独自取材記事

なないろ動物病院

(文京区/本駒込駅)

最終更新日: 2023/01/22

本駒込駅から歩いて5分のところにある「なないろ動物病院」を訪れた。日差しがたっぷり差し込む院内はとても明るい雰囲気。随所に犬や猫をモチーフとしたグッズが見られる。「当院は、2013年に開業いたしました。犬と猫というのはまったく異なる存在であり、同じ場所にいることがストレスとなることが多いんです。だから、当院では仕切りを設けてなるべく両者が接しないようにするなどの工夫をこらしています」と話してくれたのは、服部真澄院長だ。やわらかな笑顔がすてきな服部院長は、親しみやすく話しやすい印象。「誰でも通える、敷居の低いクリニックをめざしています」と語る服部院長に、医院のことや治療方針についてなどの話をうかがった。 (取材日2015年3月26日)

「なないろ動物病院」の名前の由来に込められた願い

開業までの経緯を教えてください。

私は、医院のある文京区千駄木で生まれ育ちました。2000年に日本大学農獣医学部獣医学科を卒業したあとは、静岡県の動物病院で十数年勤務をいたしました。卒業当初は、野生動物を専門とする研究等に関心がありました。しかしながらまずは臨床経験をと思い前述の動物病院にて勤務を始めたんですが、これが予想以上に楽しくて。患者さんと距離が近く、飼い主さんともたっぷりとコミュニケーションを取れる開業の仕事は実は自分に向いているのではないかと思うようになりました。それで、下の子が進学したタイミングで開業を決意したんです。子育ての面でも勤務医としていつも遅い時間に帰るよりは、自宅にいて仕事をしている姿が見れる方が子どもにとって良いのではないかと思って。

「なないろ動物病院」という名前の由来を教えてください。

犬・猫はもちろんのこと、ウサギやハムスターといった小動物が、現在ペットとして飼われています。一口にペットといっても、それぞれが個性や生態の全く異なる別個の存在であり、かけがえのない命です。その多様性あふれる一つ一つの生命が美しい虹色に輝くようにという願いが込められています。また、同じ疾患であっても対応や治療は千差万別です。それぞれの子に向かい合って、その時々でベストな治療を行っていきたいという考えも込めています。そうしていつか、地域のペットと飼い主の輪を支えていける虹の架け橋のような存在に当院がなれたらと思っています。

犬猫の別室診察を行っているとか。

はい、そうです。当院では、犬と猫それぞれに待合スペース、診察室、入院室を設けています。これは、それぞれの生態が全く異なることから来ています。犬は院内で遊んだりうまくご褒美を使ったりすることで病院でもフレンドリーになれる子も多いものですが、猫は知らない場所を好まず、大きな音や知らない人に触れられたり見つめられたりすることで強いストレスを感じます。それだけ繊細な感覚を持つ猫ですから、同じスペースに知らない人や犬がいるだけでもストレスになってしまいます。だから当院では別室で診療したりキャットアワーといって猫ちゃんだけの診療の時間を設けるようにしています。当院は国際猫医学会(ISFM)によりキャット・フレンドリー・クリニックとして認定されています。これには、その他にもたくさんの基準があり、今後も猫にやさしい病院を目指し取り組んでいきたいと思っています。かわいいわが子を思えばこそ病院に連れてくることが、飼い主さんにとっては負担になっていることがあります。猫自身はもちろんのこと、こうすることで飼い主さんの心の負担も取り除き、みなさんの猫の健康管理につながればと思います。

ペットと飼い主のために、「通いやすい医院」をめざして

診療の際に心がけていることを教えてください。

とにかく、「通いやすい医院であること」ですね。散歩の際にぶらりと寄れるような医院でありたいと思います。そうすれば通いやすく、ペットの病気の早期発見・早期治療につながります。悪くなったら通うところ、というイメージを持ってほしくない。健康増進のため、ほかの飼い主さんとの交流のため、トリミングのためなどさまざまな目的で来てほしいと思っています。とくに子犬のうちに、こちらに来る習慣をつけた子は、動物病院を嫌がりません。散歩のときに進んで来ようとする子もいるくらいです。そのためにも私自身もオーナーさんにとって話しやすい存在であるように心がけています。

気軽に話せる院長でありたいということですか。

そうです。獣医師と患者というようにはっきりとした関係でなく、同じペットを愛する同志だったり、ご近所さんだったりと、そういった側面からも親しく会話できる存在でありたいと思っています。壁があるとどうしても言いたいことがいえなかったり、相談したいことも飲み込んでしまったりしまいます。それではお互いに不幸でしょう。もともとの性格もあるのかもしれませんが、私はどんな人とも気楽にお話ができるタイプです。地元であるということもありますが、地域の方や患者さんたちとは日ごろからフレンドリーに接してもらえていると思っています。

医院のあるこの街の特徴を教えてください。

生まれ育った場所ですから、すごく愛着がありますし「開業するなら地元で」と心を決めていました。このあたりは、昔から住んでいる方も多く古くからある住宅街である反面、新しいマンションが建設されて新規に流入してくる若いファミリーも多い場所でもありますね。また、学校も多いので子どもの数も少なくありません。バランスの取れた暮らしやすいエリアだと思います。また、ペットに対する理解度が深く、とても大切に飼っている方が多いように思います。ペットの栄養状態が心配だからと、自分の手料理でペットフードを作っている方もいるくらいです。

飼い主はペットとの時間を楽しんで。そのためのお手伝いをしたい

獣医師をめざした理由は?

子どもの頃からとにかく動物が好きでした。小学生の頃は両親にねだって毎週動物園に連れて行ってもらっていました。上野動物園や多摩動物園などにいけば、時間を忘れて動物たちの檻に鼻をくっつけて見ていましたね。ただ住宅の事情でペットを飼うことはできませんでした。誕生日やクリスマスにはいつも「犬と猫が飼いたい」とお願いしてたんですけどね。ただし、実際に職業として獣医師になると決めたのは意外と遅く、高校3年生だったんです。やはり単に好きであることと、職業として責任を持って全うしていけるのとは別の問題ですから。最終的には好きな気持ちが勝って獣医師になることにしました。

診療の際に心がけていることを教えてください。

それぞれのケースに応じて全力を尽くすのはもちろんですが、ペットの個性や飼い主さんの事情などいろいろなことを考慮しながら治療にあたるようにしています。動物達の治療によるストレスを最小限にすることにも気を配っており、これは、病気の時に始まるのではなく、普段から病院嫌いにならないように心がけています。犬ではパピークラスや病院大好きっ子キャンペーンなどにより、病院に楽しく通えることを目標にしています。猫でも接し方一つでそのストレスレベルはずいぶん違ってきます。また、ペットへの治療と同じくらい、不安をかかえていらっしゃっている飼い主さんへの接し方には気を配るようにしています。飼い主さんがリラックスして診療を受けていただけると動物達も安心するようですね。ペットが重い病気になったり、亡くなってしまったとき、飼い主さんは自分を責めてしまいがちです。そんなときに少しでも心の負担を軽くするにはどんな風に声をかけたらいいかといつも悩みますが、その痛みを分かちつつ、ペットとの出会いを肯定的に受け止められるようなお手伝いを心がけています。

読者の方にメッセージをお願いします。

ペットとの生活は、私たちの人生を豊かにしてくれます。しかし、寿命が異なるために数十年にわたって添い遂げることは難しく、病気や別れを経験することもあるでしょう。最近は、ペットの飼い方や治療に関するたくさんの情報もあふれていますから、「これでいいのかな」とか「大丈夫かな」といったように悩む人も多いようです。ぜひ、小さな悩みをためずお話にきてください。動物との暮らしの中で大切なのは、「ペットとの時間を楽しむこと」です。せっかく縁あって飼うことになった子との時間を思い切り楽しんでほしいと思っています。唯一の存在に出会った喜び、元気でいてくれる日常を飼い主の皆様と一緒に感じながら、必要な時にはしっかりサポートをさせていただきたいと思っています。

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