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石川郁美院長、関いづみ先生の独自取材記事

ピジョン動物愛護病院 鳩ヶ谷院

(川口市/鳩ヶ谷駅)

最終更新日: 2023/01/22

埼玉高速鉄道線・鳩ヶ谷駅より徒歩10分、鳩ヶ谷の昔から変わらない情緒ある街並みの中、緩やかな坂を上った右手に「ピジョン動物愛護病院 鳩ヶ谷院」はある。黄色い大きな看板が目印だ。医院の前には広い駐車場、その奥にある一面ガラス張りの窓から医院内を見ることができる。院内は白い壁や天井、一面ガラス張りの窓でとても明るく、待合室のカラフルな椅子や絵画に気分が和む。鳩ヶ谷院院長の石川郁美先生は、青年海外協力隊としてサモアで活動した経歴を持つ経験豊富な獣医師だ。サモアで培った思い切りの良さと、繊細さを併せ持つ丁寧な診療で鳩ヶ谷院を支える。インタビューの後半には、腫瘍認定医として活躍する関いづみ先生に登場してもらい、鳩ヶ谷院のお二人に診療やスタッフのことから、今後の展望までたっぷり話を聞いた。 (取材日2015年7月23日)

年中無休・昼休みなしの診療体制で地域のニーズに応え続ける

医院についてお聞かせください。

ピジョン動物病院は、川口市に「鳩ヶ谷院」「川口院」「わらび院」の3院を持つ、永田克幸総院長が開院した病院です。私は2006年からこの病院に勤務し、2013年12月から鳩ヶ谷院の院長を務めています。さまざまなライフスタイルの飼い主さんがいらっしゃる中で、「少しでも通院しやすくなるように」と3院とも年中無休・昼休みなしで診療を受け付けています。当院は獣医師の教育にも力を入れており、それぞれの獣医師が学会やセミナーなどに参加し、新しい知識をもって日々の診療にあたっています。診療内容はさまざまですが、積極的に外科手術機器の充実化とドクターの技術力向上を図り、一般外科から整形外科まで数多くの手術を行っています。避妊・去勢手術を希望される方も多く、日帰りでの手術も行っています。

鳩ヶ谷院の特徴をお聞かせください。

飼い主さんは、この辺りに昔から住んでいる比較的年配の方が多いと思います。私が以前勤務していた川口院は、新しいマンションが多く、若いご夫婦が多いという印象でした。ペットにも違いがあるようで、鳩ヶ谷院は大きな犬が多いように感じます。鳩ヶ谷院には、日本獣医がん学会腫瘍科2種認定医資格を有する腫瘍の専門医がいますので、最近増えているペットのがんの治療を安心して受けていただけます。私自身は神経科を専門に勉強しています。神経科は発作を止めたり、その原因を突き止めたりすると同時に、緊急の場合にも対応します。他にも、当院の獣医師はさまざまな経験や専門分野を持っていて、老犬介護経験のある獣医師などもいます。

診療面や設備面はどのようになっていますか?

3院ともに「説明と同意」を重視したオープンな治療を行っています。症状や今後の治療法を詳しく説明し、飼い主さんに納得していただいた上で治療に進む「インフォームドコンセント」を特に重視しています。また、大学病院など二次診療施設へのご紹介やセカンドオピニオン外来などもお受けしています。数多くの症例やご要望に対応できるように、設備を充実させており、多くの臓器を鮮明に検査できる「超音波検査装置」、胃腸の内部を直接観察・検査できる「内視鏡」は3院すべてに新しい機器を導入し、より良い診療が行えるようにしています。街の動物病院でありながら、技術・設備面ともに一次診療以上の診療が行える医院です。

サモアでの体験が再認識させてくれた予防の大切さ

石川先生は、青年海外協力隊としてサモアで活動されていたんですね。

はい、サモア動物愛護協会に2011年から2年間勤務しました。青年海外協力隊にはずっと興味を持っていましたので念願が叶いました。当時は川口院に勤務していましたので、休職というかたちで行かせていただきました。医療設備の整っていない環境では日本ではできない経験をし、多くのこと学びましたね。医療設備がないので、できることは限られていましたが野良犬が非常に多く、かなりの数の手術をしました。そんな中で気持ちの面の変化もあり、“思い切りの良さ”のようなものは、サモアで体得したと思います。症例としては感染症が多く、予防医療の大切さを再認識しました。ワクチンやフィラリア症の予防だけでなく、食事や体重管理でも病気の予防ができますから、日頃からの健康管理はとても大切です。定期健診などで100%の予防ができるわけではありませんが、やはり早期発見・治療のためには定期健診は有効です。

いつ頃から獣医師を志されたのですか?

中学生の頃からでしょうか。最初は、盲導犬の訓練士になりたかったのですが、さらに幅広い分野で動物と関わることができる資格を持ちたいと考えて獣医師をめざすようになりました。麻布大学獣医学部獣医学科を卒業し、さまざまな経験を重ねながら今に至ります。当院のスタッフは皆、昔から動物が大好きなので、楽しく仕事ができていますし、今はできなくとも一つずつできるように努力を続けていくエネルギーが尽きることもありませんね。この気持ちがあるからこそ、医院のメンバー全員が気持ちを合わせて日々の診療にあたることができ、どんなときでも最良の治療を行うために行動するということができるのだと思います。

スタッフの皆さんはとても仲がいいんですね。

当院の特徴として、スタッフの人の良さを挙げることができるくらい仲がいいですね。プライベートでも一緒に食事に行ったり、スノーボードに行ったりしています。信頼関係がありますから、意見の出し合いもスムーズにでき、診療についても担当者だけでなく、病院全体の“皆で診る”という感覚があります。難しいケースなどは、意見を出し合って、飼い主さんとペットを支えますので、安心していただければと思います。それに、犬や猫などの動物は非常に敏感ですから、獣医師などスタッフがピリピリしていたら、それが伝わり治療面でも良くない影響が出てしまうのではないでしょうか。

地域のホームドクターだからこそ、より高次の医療の提供をめざす

関先生は日本獣医がん学会腫瘍科2種認定医資格をお持ちなのですね。

はい。ここ最近、飼い主さんに予防の意識が根付いたためフィラリア症などは減少し、がんや心臓病など高齢まで生きるからこそ罹患する病気が多くなりました。ですから、この資格を生かして、そのようなケースでより良い治療をしていきたいと思います。病気に関しては新しい情報が次々に出てきますので、それに対応できるように、3院で月に1回、それぞれの獣医師が持ち回りで講師を務め勉強会を行っています。また、診療後には毎日カンファレンスを行い、治療方針等について獣医師同士で意見や情報を交換し、常により良い診療をめざして日々研さんを積んでいます。私は獣医師であるとともに、総院長の後継者でもありますので、医院全体のことを考えながら仕事をしています。

3人のお子さんを持つワーキングマザーでいらっしゃると伺いました。

周囲に助けられてここまでやってきたという感じです。獣医師は女性も多いので、結婚・出産で仕事を辞めてしまうのはもったいないですね。当院は産休・育休制度がありますから、結婚・出産後も働けるような環境があります。実際、産後に働いている看護師などのスタッフも多いです。私自身が、子どもを持ちながら働くことができる見本になれればいいなと思っています。とは言っても自分だけの力では難しく、皆の支えがあるからこそできていると常に感じますし、スタッフ個々の献身的な気持ちに頼っている部分も多々あると感じています。

永田総院長の熱意を引き継ごうとされていますが、今後の展望をお聞かせください。

病院全体としては、スタッフ皆が楽しく健全に働くための場所づくりが目標の一つです。スタッフの仲の良さや精神衛生は動物たちにも響くと思いますから。獣医師に対しては、それぞれが持つスキルを発揮し、かつそのスキルを高める手伝いができるように病院全体でバックアップして、その特殊な技能・スキルをもって二次診療に匹敵するほどのレベルまで高めていきたいと考えています。ワンちゃん、ネコちゃんなどペットに関することは何でも、飼い主さんが気軽に来院して相談できる地域のホームドクターでありながら、どんなニーズにも最大限にお応えできるよう高度な医療も提供できる医院でありたいと思っています。難治性の病気の治療については、「どこまで治療をするべきなのか」という問いに正解はありません。そんな場合は、飼い主さんと十分に相談しながら治療方法や治療期間などを選んでいます。また、しつけの相談もお受けしていますので、お気軽に何でもご相談いただけば嬉しいですね。

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