大村 純 院長の独自取材記事
けやき台動物病院
(所沢市/航空公園駅)
最終更新日: 2023/01/22
新所沢駅から徒歩10分。緑豊かな閑静な住宅地に建つ「けやき台動物病院」は、3年前に前身の「喜多町ペットクリニック」から移転新設してきた、まだ真新しさが印象的な動物病院だ。所沢の地で25年間、獣医師として多くの動物たちを診てきた院長の大村純先生は、ユーモアいっぱいの親しみある雰囲気。優しい笑顔と丁寧な診療を心がけ、地域に根付いた獣医療をめざしている。私生活ではプラモデルや釣り、バイク、アマチュア無線など、多種多彩な趣味を持つという大村院長に、病院のこと、プライベートのこと、今後の展望などたっぷり話してもらった。 (取材日2016年9月1日)
幅広い視野で診療する地域密着の「家庭医」をめざす
まず、これまでの経緯をお聞かせください。
生まれは大阪の豊中市ですが、3歳の時に父の転勤で所沢に引っ越してきて、15歳まで過ごしました。それからまた父の転勤で豊中に戻り、高校と浪人時代は関西で過ごし、その後、大学進学とともに再び上京、相模原の麻布大学獣医学部に入学しました。元々、動物が好きだったという安易な考えから獣医学部に入ったのですが、多くの友人に恵まれて本当に楽しい学生時代を過ごしました。埼玉や東京、千葉などに同級生がおり、今もよいおつき合いをさせてもらっています。大学卒業後1年は相模原で勤務、その後、春日部の動物病院で2年研修させていただいた後、この病院の前身である「喜多町ペットクリニック」を開院しました。
前身の「喜多町ペットクリニック」から移転し、新たなこの場所の印象はいかがですか?
喜多町では22年間開院していましたので、地域密着の動物病院という雰囲気でした。このけやき台に来てから3年が経ちますが、ようやく慣れてきたという感じです。前の病院からそれほど離れていないのですが、やはりその土地ごとに特徴があり、引っ越しを機に一からスタートという気持ちで、名前も新たに変更して再開院させてもらいました。けやき台は閑静な住宅地で、長年住まわれている方も多く、それにともなってペットたちも長く愛されている中堅から年配の子たちが主流になっています。だから循環器系や関節系などの病気で来院する子たちが多いです。また、最近ではアレルギーや皮膚病で来られる子も増えたように思います。まだまだ新参者として、地域の特徴をしっかりと把握し、ご近所さんと仲良くなろうと日々努力しているところです。
では、医院の特徴や診療方針をお聞かせください。
自分が飼ったことのある動物のみと決めているため、対象診療は犬と猫とハムスターになります。方針としては、幅広い視野で動物たちの診療を行い、気になることや病気の芽を早めに見つけ出してあげること。これを僕は「家庭医」と呼んでいて、そういう位置づけの獣医師になれればと考えています。専門的で高度な獣医療を追求したり、難しい外科手術をこなす動物病院さんもあると思いますが、僕の場合は病気の早期発見や予防を中心とした対応を心がけながら、25年間「家庭医」的な診療を行ってきました。自分で対応できない場合には、早急に専門医や大学病院を紹介したり、連携を取って治療に導いています。
客観的な目を持ちながら丁寧な診療を心がけて
日々の診療で心がけていることはありますか?
「家庭医」として医療の窓口的な存在になれるよう、きめ細やかな診療を心がけています。そのために、インターネットからのみですが予約優先制をとらせてもらっています。動物たち1頭1頭を丁寧に診療し、飼い主さん一人ひとりにじっくりと話を伺うため、時間をしっかりとることは大切なことだと思っています。予約なしでも受付していますが、急患の方以外は予約の方を優先としています。それから、飼い主さんの話をちゃんと聞くのはもちろんですが、その全てを鵜呑みにしないように気をつけていますね。心配するが故にインターネットでいろいろと調べあげ、「この病気だと思う」と決めつけで来られる方も結構いらっしゃいますから。とにかく、できるだけ時間をかけ、見落としがないように努めています。
動物病院では治療方針を決めることが大切になると思いますが、どのように進めていますか?
動物たちは「こうしてほしい」などと気持ちを話すことができないので、視診や触診を丁寧にします。人間でいえば赤ちゃんも話ができないわけですから、小児科のようなイメージですね。その上で飼い主さんに、症状を丁寧に説明して希望を聞きながら方針を決めていきます。また、できるだけ身体に負担のかからないよう、そして、できるだけ飼い主さんに費用的な負担をかけないよう、努めています。客観的な目を持ちながら、主観的な部分も大切にした進め方をしていければと考えています。
来院してくださいやすいように、さまざまな取り組みもされていますね。
猫ちゃんの避妊・去勢手術についてですかね。時期などはあまり関係なくて、思いつきなんです(笑)。内容については詳細をホームページに記載しています。また、毎月11日には「ワンワンの日」でドックフードを、22日には「ニャンニャンの日」としてキャットフードをテーマにしています。なかなか結構好評の企画でして、事前に予約して毎月来てくださる方も多くいらっしゃいますね。他にも、梅雨時期には「雨の日キャンペーン」なんかもしましたね。雨の降り方は「これは雨、これはギリギリ曇り」など、僕の判断で決めたり(笑)。手の空いた時間に、あれこれいろんな企画を立てて楽しんでいます。全くのきまぐれで行っているので、随時ホームページをご確認くださいね。
普段のお付き合いも大切に信頼関係を築きたい
獣医師としてのやりがいと、逆に大変だと感じることをお聞かせください。
病気等で残念ながら亡くなってしまった後、次は他の病院にしようってなることが多いと思うんです。それなのに2頭目や3頭目の次の子を連れて来院してくれた時には、本当にうれしくてやりがいを感じますね。再度来てくれた時は、「信頼してくれているんだな」と心から喜べるんですよ。大変なことは、昔に比べて自分中心に物事を考えている方が多くなったなと、マナーの問題について少し残念に感じています。みんなに気持ちよく動物病院を利用してもらえるにはどうすれば良いかと考えた結果、ホームページに「お願い」として最低限の注意を載せています。口うるさいようで本当は載せたくないのですが、ちゃんとマナーを守ってくれる人たちのため、動物たちのためにも、ぜひ気をつけてもらいたいです。
プライベートで熱中されていることはありますか?
奥の診療室にも飾っていますが、今はプラモデルに凝っていますね。「手先の器用さを保つため」という口実で、ヒマな時があればコツコツ進めています。他には、先日、五十の手習いでバイクの大型免許を取得したので、バイクにも乗って遊んでますし。でも、休みが少ないのでなかなか乗る機会が作れないから、ヘルメットを飾って眺めながら「乗りたいなぁ」って診療の合間に思っています。あと、アマチュア無線とか、イカ釣りとか……よく考えたらいろんなことに手を出してますね(笑)。僕の場合は広く浅く、趣味というより興味のおもむくままにいろいろ楽しんでいる感じです。昔からいつもバタバタ動いているという性分なんです。
最後に、今後の展望をお聞かせください。
先にもお話ししましたが、けやき台に越してきて3年、まだまだ皆さんに認知してもらうには時間がかかると思いますが、しっかりと地域に根付くために試行錯誤している段階です。この街の特性を把握し、希望に添った診療や臨機応変な対応など、より身近な存在になるための努力を続けていきたい。それには、人材を増やして、検査内容を充実させたいですね。エコーや検査機器は一通りそろっているんですが、なかなか一人では難しい場面が多いですから。また、動物たちの身体のことを考えて、いずれは超音波メスなども導入したいと考えています。ただ、これからも今のまま「家庭医」というスタンスは崩さず、普段からのお付き合いを大切にして、ご家庭ごとに密につき合い、信頼関係を築いていけるように努めたいですね。