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玉村 伯時 院長の独自取材記事

セントラルペットクリニック

(八潮市/八潮駅)

最終更新日: 2023/01/22

閑静な街並みの一角にある「セントラルペットクリニック」は、開業以来30年以上にわたり地元で厚い信頼を得ている動物病院だ。「先進医療が受けられて当たり前」と語る人懐っこい笑顔が印象的な玉村伯時院長は、元気に回復する姿を見てその生命力に感動し、看取りの時には涙する優しいハートの持ち主で、自らも腎臓病と脳腫瘍の疑いを持つ御年23歳の猫の飼い主でもある。そんな温かな人柄に惹かれてか、遠方から訪れる家族も多いという。超がつくほどのベテラン獣医師でありながらも日々研鑽の心を忘れず勉強を欠かさない玉村院長に、診療にかける情熱からペットの健康管理における注意点まで、さまざまな話を聞いた。 (取材日2016年4月11日)

獣医師・動物看護士ともに日々研鑽を欠かさない

開業されてから30年以上たち、地元・八潮で頼られる存在でいらっしゃいますね。

今年で開業して33年になります。当クリニックは心臓病、腎臓病、糖尿病などの専門的な知識を持ち、手術も行っています。こうした病気は専門的に診察する動物病院が比較的少ないために、ずいぶん遠方からも患者さんはお見えになりますね。紹介で来られる方もいらっしゃいます。特に糖尿病は管理が大変なんです。近年、人間と同じくペットも高齢化が進んでいます。かつて10年程度だった寿命が18年、20年と長生きになってきています。それはとてもうれしいことなのですが、一方で高齢ゆえの病気は多くなってきています。私の印象では高齢の場合、8割ぐらいは心臓や腎臓に症状があるか糖尿病。ですから余計に日頃の健康管理の重要性をお伝えしたいと思ながら日々の診療にあたっています。

日々の診察で心がけていらっしゃることはありますか?

当クリニックが手がけているのは、いわゆる一次診療です。病気の治療だけではなく日々の健康管理も私たちの仕事になります。日頃からスタッフも含めてみんなで言っているのは、「自分自身のペットだと思って治療をしよう」ということ。自分がされて嫌なことは決してしないようにしよう、と常々言い合っています。また当クリニックでできることはできる限り対応させていただきますが、専門外についてはより良い治療を受けていただくために、大学病院など高度な治療が受けられる外部の医療機関をご紹介することもあります。それを見極めるのも当クリニックの役目だと思っています。

玉村院長をはじめ、獣医師の先生方もスタッフの方もとても勉強熱心だと伺いました。

日々の診療のもととなるのは、やはりさまざまな研究の成果である論文などです。ですから獣医師も動物看護師も常に最新の情報や研究論文から情報を得て、常に勉強を欠かしません。かつてはそんな勉強は獣医師が中心になってやっていましたが、現在では看護師も含めた大きな学会などが年に数回開催され、研究活動も活発です。当クリニックでは大変申し訳ないのですがお休みをいただいて、みんなで出席させていただいています。うちの獣医師もスタッフもみんなとても勉強熱心で本当によく勉強するんですよ。それで質問も多いので、自然と私も勉強せざるを得ないという感じです。分からない、知らない、とは言えませんからね(笑)。また学術のさいたまと呼ばれる埼玉県は恵まれていて、獣医師会主催のセミナーだけでも年に10回以上あるんです。東京に近いので、東京で開催されるセミナーなどにも積極的に参加して、スキルアップを図っています。

家族からの感謝の言葉がより良い診療の原動力

獣医師をめざされたのはどうしてですか?

私が獣医師を志すベースになったのは、小さい頃から飼っていた愛犬をフィラリアで亡くしたことです。とてもおとなしくて可愛いシェパードでした。当時はまだフィラリアは命にかかわる病気でして、悲しい思いをしたのを覚えています。そんな経験と理系の科目が得意だったこともあって、獣医師の道へ進みました。昔の獣医師のイメージというと、当時は往診が主流だったので、愛犬の具合が悪いと来てくださって注射を打って帰っていく、といった感じでしたが、今はかなり違いますね。また、豊富な経験に裏打ちされた技術ももちろん大切ですが、当院では、検査などをきちんと行って科学的な根拠のある治療を施していきます。特に私は大学病院勤務時代に、厳しく叩き込まれました。

長い獣医師のご経験の中で、印象的なエピソードなどについてお聞かせください。

涙もろい性格なので、印象的なエピソードが多すぎて何とも言えません。心臓病で何度も危ない状態になってもその都度頑張ってくれている様子などを見ると、生命力のたくましさを見る思いで、とても感動します。やはり病気が治って元気になり、ご家族の方から感謝のお言葉を頂戴するのが、何よりうれしいですね。疲れも何もかも吹き飛びます。また残念ながらお亡くなりになられた後に、お礼にみえるご家族の方もとても多いのですが、恐縮すると同時にありがたく思っています。これからも丁寧な診察と誠実な対応をして、ご家族の方に感謝していただけるような対応をしなくては、といつも気持ちを新たにしています。また治療のかいなく亡くなられた時などは、やはり気分が沈んでしまいますが、次の診察に引きずらないよう気を付けています。

獣医師のお仕事を満喫していらっしゃるようにお見受けします。

医学の進歩はまさに日進月歩で、新しいことがどんどん増えてきます。去年の常識が今年はもう通用しない、というような世界です。ですのでセミナーや学会は、常に新しいことの発見の連続で、とても刺激的で楽しいんです。もう私くらいの世代の方はあまりお見えにならないので、会場内で私だけちょっと年上で恥ずかしかったりしますが、新しい知識や刺激を受けたくて、いそいそと足を運んでいます。新薬などについては論文の日本語訳を待っていると遅れてしまいますのでつたない英語力を駆使して原文で読み、一日でも早く診察に生かそうと努力しています。家内には「早く引退して」とせっつかれていますが、この仕事が好きなのでなかなかやめられません。

めざす理想は「寿命まで健康」

獣医師として長いキャリアをお持ちですが、今後の展望などお聞かせください。

勉強しても勉強しても足りないと実感しているので、まだまだ新しい知識を蓄えて自分の専門分野を伸ばし、なるべく多くの方に喜んでいただけるような獣医師になりたいですね。また私の後を引き継いでもらえるような人材を育てていきたいとも思っています。現在も一緒に手術をしたり、診療時もカンファレンスをしっかりして、診療方針や体制などを共有できていますので心配はしていません。すごく勉強熱心でもありますので、技術もマインドも受け継いでくれています。病気治療については、最先端の治療は受けられて当たり前だと考えています。誰だって何年も前の治療を今受けたくはありませんよね。しっかりとしたデータや成果を得られている新薬や治療方法も、ご家族の同意を得て積極的に取り入れています。

新たにペットを飼い始める時に注意したいことはありますか?

心臓病になりやすい犬種や、軟骨の病気から手足に疾患が出やすい猫など、血統などによりなりやすい病気がある場合があります。家族になったら一度、獣医師の目を通すことをお勧めします。わが家のペット自慢といった感じでも構いません。私たちはそうした知識を持っていますので活用してください。事前に知っておけば日々の食事に気をつけたり、ちょっとした病気の兆候をいち早く見つけることができたりします。ペットは家族の一員、というのが当クリニックの方針です。病気だけでなく健康管理についてもご相談ください。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

ある程度年をとってから定期健康診断を受け始める方が多いのですが、若くして具合が悪くなってしまうこともありますので、できましたら若いうちから定期健診を受けていただきたいですね。予防注射などの時に一緒にご相談いただくのも良いと思います。また歯の病気になるケースが非常に増えています。3歳くらいになると7~8割に歯周病が見られます。歯磨きの習慣がないと、いざ歯の治療を受けようと思ってもとても嫌がってしまいます。ブラッシングで歯垢の95%を除去することができますので、ぜひ小さな頃からのブラッシングをしていただきたいと思います。お手入れ方法が分からない場合は遠慮なくご相談ください。人間同様、ペットも寿命まで健康でいることが何より幸せです。健康管理のご相談も大歓迎。健康で長生きするためのお手伝いをさせてください。

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