小笠原良一 院長の独自取材記事

りょう動物病院
(習志野市/京成大久保駅)
最終更新日: 2023/01/22

きれいなクリーム色で統一された外観、ホテルのフロントのような受付、そしてシックな色合いのテラスと、およそ病院とは思えないおしゃれな雰囲気が漂っているのが、「習志野動物医療センター りょう動物病院」だ。小笠原良一院長の「動物や飼い主様に少しでもリラックスしていただきたい」との願いから、エントランスや待合室などは病院らしさを極力排除した造りとなっている。だが、診療室内に一歩入れば、さまざまな先進の医療機器がそろっており、大学病院と同レベルの高度な治療や手術を施すことも可能という。日頃の病気予防やしつけ教室などにも力を入れており、犬や猫たちの命を一生にわたってケアする総合動物病院として機能している。休診日にはルアーフィッシングを楽しむという小笠原院長。その動物医療への思いを伺った。 (取材日2015年12月15日)
専門医のドクターをアドバイザーに迎え、高度医療を提供
とてもおしゃれな雰囲気ですが、どんなコンセプトをお持ちなのですか?

来院される方や、動物たちの気持ちが少しでも楽になるように、病院らしさをできるだけなくしたいと考えました。どこか体調が悪くなって病院に行くとなると、誰でも暗くなったり気分がふさいだりするものです。動物も同じように怖がったり不安になったりしますので、動物も飼い主様も、リラックスできる雰囲気にしました。2012年までは、もう少し大久保駅寄りの場所で開業していたのですが、その時はケーキ屋さんのような外観でしたね。ここで新たに開業するにあたっては、広いスペースを確保できましたので、2階には飼い主様とくつろげるカフェスペースを設け、屋上にはドッグランを用意しました。最近は待ち時間が長くなってしまうことも多く、申し訳なく思っているのですが、そんなときはドッグランで遊んでいただいたり、カフェスペースでくつろいでいただいたりしています。
こちらの病院の一番の特徴を教えてください。
まず挙げられるのが、詳細な検査や難しい治療、手術が必要な場合でも当院ですべて対応できるという点です。例えば、CTスキャンによる検査が必要なときは、ここですぐに検査できます。あるいは、がんや心臓病などといった重篤な病気になった場合も、わざわざ遠方の大学病院に行かなくとも、当院で適切な治療や手術を行うことができる体制を整えています。こうした高度な医療を提供するためには、獣医師の知識や経験、技術が最も重要です。当院では日本獣医生命科学大学名誉教授の織間博光先生を学術顧問としてお迎えして、さまざまな指導を仰いでいます。さらに腫瘍外科専門医の生川幹洋先生、循環器専門医の岩永孝治先生、皮膚科専門医の村山信雄先生をアドバイザーとして迎えており、手術や診療にあたっていただいています。もちろんワクチンの接種やフィラリアの予防などの健康維持や、「犬の幼稚園」や「犬の小学校」といったしつけ教室なども行っています。犬や猫の小さい時から老齢になるまで、一生にわたってすべて診ることのできる総合動物病院が私たちの目指すところです。
スタッフが多いのも一つの特徴ですね。

現在、獣医師は私を含めて5人、看護士は7人、トリマーが2人というスタッフ体制です。獣医師たちはみんな切磋琢磨しており、アドバイザーの先生方の研修会などにも積極的に参加しています。今、重要視しているのがチーム医療の確立です。私一人でできることは限られていますし、私がいなくとも適切な治療を施せるよう、新たな知見の共有に努めています。医療知識や技術の向上のほかにもう一つ、大切にしているのが接遇マナーです。動物や飼い主様への挨拶や言葉遣い、マナーなど、動物病院だからといっておろそかであってはなりません。獣医師や看護士である前に人間として、社会人として一人前になることが重要だと思います。そのためにマナー講師による研修会も開いて、スタッフ全員が受けるようにしています。
飼い主の考え方も考慮しながら、治療法の選択肢を提示
小笠原院長が診療の際、心がけていることはどんなことですか?

動物たちが何に一番苦しんでいるのか、飼い主様はどういう治療を望んでいるのか、それらをよく把握することがとても重要と考えています。言うまでもなく病気を治すことが最終目標ですが、それに向けてどんな治療方法があるのか、飼い主様に丁寧に説明するよう心がけています。飼い主様はそれぞれ考え方が違いますし、治療方法にもいろいろある。その中から飼い主様の考えも考慮しながら、いくつかの選択肢を提示して、飼い主様に納得していただいてから治療に入るようにしています。当院で提供できる最も高度な治療法も選択肢の1つとして提示しますが、それを実践できるだけの確かな裏付けが必要となります。そのためにも日頃の研鑽が大切になってくるわけですね。こちらが提示した選択肢を理解していただく上で、飼い主様との信頼関係もとても重要だと思います。
その信頼関係はどのように築いていらっしゃるのですか。
診療の際は、できるだけわかりやすく説明しているのですが、飼い主様も緊張していらっしゃったり、普段は聞き慣れない内容であったりして、なかなか頭に残らないことも多いようです。なので、検査結果や画像データなどをお見せしながら説明したり、検査結果のシートなどはすべてお持ち帰りいただいたりと工夫しています。小さい時からずっと診てきている患者さんも多く、いろいろお話していく中でだんだん信頼関係も深まっていきますね。がんなどの重篤な病気になった犬や猫たちが残念ながら命を落としてしまった時に「最善の治療を施してもらった」「この病院で診てもらってよかった」と言っていただくとほっとします。そういった飼い主様はやはり心に強く残りますね。
院長のお立場から飼い主さんへのアドバイスは何かございますか。

私たち人間は1年に1回健康診断を受けますが、犬や猫の場合、老いが早い分こまめな体調チェックが必要です。彼らは忍耐強く、具合が悪いかどうか飼い主様でもなかなかわかりにくい。で、何か症状が出てきた時にはかなり悪化している場合も多く、あっと言う間に進行してしまいます。そんなことにならないように、月に1回、あるいは2ヵ月に1回くらいの割合でもいいですから、病院に来ていただきたいと思います。爪を切るだけでもいいですし、散歩のついでに寄って雑談していくだけでもいいんです。その際に体調チェックができますので、気楽に立ち寄ってほしいですね。
ペットの健康維持の重要性を地域に向けてさらに発信
そもそも院長が獣医師になろうと思われたのは、どんなことがきっかけだったのですか?

幼い時から動物が好きで、特に犬が大好きでしたね。でも、それ以上に影響を受けたのが、当時観ていたテレビ番組です。著名な動物研究家の先生が動物と触れ合っている姿をテレビで見て、「大きくなったら獣医師になってたくさんの動物に囲まれて暮らしたいなぁ」と思うようになったんです。ただ、当時は、獣医師になりたいといっても、周囲の理解があまり得られませんでした。獣医師に関する情報も少なかったですし、職業自体が世間的にまだ認知されていなかったように思います。最近ではペットの数も増えて高齢化も進んでいますから、獣医師の重要性が理解されるようになりました。動物医療を取り巻く環境も、私が大学を卒業した時と比べて、格段に進歩していると感じます。
ところで、お休みの日はどのようにお過ごしなのでしょう?
休院の日は専らルアーフィッシングを楽しんでいます。午前2時くらいに家を出て外房の方まで行って、釣りをしています。お休みといっても、入院患者もおりますし、急な手術が入ることもあります。なので、病院にすぐ帰れる環境にいなくてはなりません。例えば、ゴルフは勝手にプレーをやめて帰るというのは難しいですよね。でも、釣りなら自分で時間の調整もできますし、外房は地理的にも適度な距離なので。釣りをしている時は無心になれますね。釣った魚はもちろん自分でさばいて、おいしくいただいています。
では最後に今後の展望についてお聞かせください。

今後はさらにスタッフの充実とチーム医療の確立を図り、地域の方々のお役に立てる総合動物病院をめざしていきたいと思います。より幅広い医療分野の専門家の方々との連携を強化して、この病院でできることをもっと増やしていきたいです。現在、眼科や麻酔科の先生方との連携も始まっているところ。地域の動物ドクターとして、動物の健康維持に対する意識を高めるセミナーなども積極的に開催していきたいですね。これまで通り、当院のセミナールームを使って当院に通っている飼い主様を対象にセミナーを行っていく他に、2016年1月からは、100人くらい入れる会場を借りて、地域に暮らす一般の飼い主様たちを対象に、動物の健康維持や正しい飼い方などに関するセミナーを実施していく予定です。犬や猫たちがいつまでも元気に暮らせるよう、やりたいことはまだまだたくさんありますね。