大村穂高 院長の独自取材記事
さぎのみや動物病院
(中野区/鷺ノ宮駅)
最終更新日: 2023/01/22
西武新宿線の鷺ノ宮駅から徒歩9分。新青梅街道ぞいに2014年12月に開院したぬくもりあふれるクリニックが「さぎのみや動物病院」。素敵な笑顔で気さくに取材に応えてくれた大村穂高(ほたか)院長は入院している動物がいると心配で泊まり込んだりと、「動物の健康を守りたい」という熱意みなぎる若きドクター。三島良昌先生とタッグを組み、内科、外科を中心に幅広くかかりつけ獣医として診療にあたる。中でも力を入れているのは病気の早期発見・早期治療。「一日も早く病気を見つけて、一日も早く楽にしてあげたい」と熱く語る大村院長に、医療への取り組みや今後の展望について話を伺った。 (取材日2015年9月25日)
信頼する三島先生と共に「町の獣医さん」をめざして開院
親しみやすい雰囲気の動物病院ですね。
院のロゴには私が昔から好きでホッとする色でもある緑と白を使っているんですが、院内のインテリアもこの緑と白を基調にしています。加えて、飾り物や時計、それに点滴を引っ掛けるフックなど、いつの間にやら猫に関係のあるインテリアグッズが増えています。私をはじめスタッフ全員が猫を飼っていることもあって、皆が見つけてはついつい買ってくるという感じです。おかげさまでアットホームで心和む空間が出来つつありますね。そして当院では「ちくわ」という名前の6ヵ月になるメス猫を飼っています。とても人なつこいので飼い主さんのファンも多く、「ちくわちゃんに会いたい」と言って、道を通りがてら、来院される方もいらっしゃいます。
なぜ鷺宮で開院されたのですか?
私は生まれは神奈川ですが、幼い頃からずっと東京の多摩地区で育ちました。大学を卒業してから新宿区や杉並区の動物病院に勤務したこともあり、この辺りは慣れ親しんだ地域なんです。開院するなら勝手知ったる東京の西側で、と思って、いろいろ探した中で出合ったのがこの場所です。私は通学や通勤にも西武新宿線を使っていましたので、自分が生活して来た環境と似ているのではという印象を抱いていました。まだ開院して1年足らずですが、この愛すべき鷺宮の人々にもっともっと当院を親しんでもらい、「町の獣医さん」としておなじみの存在になりたいですね。
この医院で先生とともに診療にあたる三島先生について教えてください
三島先生は大学の1年後輩であり、以前私が勤めていた病院の同僚でもあります。二人とも得意分野が循環器・腎泌尿器だったこともあり、自然と意気投合しました。今ではこんなに気の合う人には会ったことがない、というほどの、兄弟以上の存在です。三島先生は明るくてまっすぐな性格で、当院に訪れる飼い主さん、動物たちにもとても誠実なのが伺えます。心から頼りにしていますし、人として尊敬もしています。学生の頃からいつかは開業したいと考えていたのですが、三島先生に会った時に「この人と一緒に開業したい」と思い、夢を現実にするために本気で動き始めました。開院準備の際には「こんな病院にしたいね」と二人で語り合ったものです。犬と猫のペットホテルを別々の部屋にしたり、「中で何が行われているのだろう?」と不安に思われないよう診療室へのドアに丸窓を設けてたりという医院作りから三島先生と共に考えていきました。
飼い主と信頼関係を築くことがペットの健康につながっていく
診療にあたってどんなことを心がけていらっしゃいますか。
私も猫を飼っているのでよく分かりますが、飼い主さんにとってペットはかけがえのない大事な家族の一員。そのため私も飼い主さんに準じるぐらい、そのペットに対して大事に思いをこめて接するよう、心がけています。獣医師として、飼い主さんがペットと一緒に過ごせる時間を少しでも長く快適にするお手伝いをするのが私たちの役目です。そこで特に大切になるのは病気の早期発見、早期治療です。仮にお腹を壊したといって来院した場合でも、一緒に心臓の音を確かめ、異常がないかどうか確認するという具合に、症状のある部分以外も必ずチェックするようにしています。実際、おなかの病気で訪れた子の、他の部分での不調を発見した例はこれまでに数多くあります。
治療方針や取り組みの特色を教えてください。
当院は外科手術も行っています。その際には、動物たちの麻酔時間の短縮、出血をできる限り少なくするなど、不必要な負担の軽減のため、手術によっては超音波凝固切開装置を使用しています。これにより動物にやさしい手術が可能になります。飼い主さんの中には縫合後の縫合糸が体内に残ることを心配される方もいらっしゃいますが、この方法ですとその不安もありません。当院は入院も受け付けていますが、仮にスタッフが院内にいなくても、大切な動物たちの様子はスマートフォン経由で24時間体制でチェックできます。何かあればすぐに駆けつけられるようなシステムになっていますので、飼い主さんにもご安心いただけてみます。入院している動物がいる時には、私も万が一に備え、病院に泊まり込んでいることが多いです。
飼い主さんとの関係で気をつけているのはどんなことでしょうか。
私は獣医師で、動物の医療の専門家である訳ですが、ある意味、ペットの最も近くにいる飼い主さんがそれぞれのペットの異常を一番早く察知する「主治医」だと思っています。ですので、その主治医である飼い主さんと信頼関係を築くことがとても大切です。特に私が心がけているのが、飼い主さんがペットを飼う「スタイル」を尊重するということです。たとえば、犬がおいしそうに食べる姿を見るのが楽しみで、ついついおやつを与えてしまう飼い主さんがいらっしゃるとします。医学的には良くないことであっても、「おやつを与えてはダメ」と私が頭ごなしに禁止することはありません。飼い主さんによっては、おやつを与えることが生き甲斐になっている方もいらっしゃいますからね。まずは飼い主さんのスタイルを理解するために、お話をしっかり聞く。そうして時間をかけて関係を築いていくと飼い主さんも私に心を開いていただけます。くだけて軽口を言っていただけるくらいの関係の方が、気兼ねしてしまうようなことでも正直にお話しいただけるので、良いのです。こうやって関係が出来てくると飼い主さんも私の言葉を素直にアドバイスとして聞き入れていただけます。こうした飼い主さんとの信頼関係が、結局のところ、動物達の健康を守ることにつながっていくと思いますね。
「何が何でも動物を救うんだ」 その思いを胸に獣医師に
獣医師をめざされたきっかけを教えてください。
もともと祖父が開業医だったこともあり、小さい頃から医療はとても身近でした。医療系に進みたいと本格的に考えるようになったのは高校生の頃です。一足先に姉が医学部を受験していたのも刺激になりました。医療系の中でも獣医学科を選んだ大きなきっかけは、私が高校生の頃に家で飼い始めたペットの存在です。オリーブという名前のメス猫で、姉と二人で親に頼んで飼わせてもらいました。ちなみに彼女は今17歳と高齢ですが、実家で元気に暮らしています。この子がとにかくかわいくて。高校生の頃は大学受験に向けて勉強に没頭する毎日を送っていたのですが、オリーブの存在が張りつめた心に安らぎを与えてくれました(笑)。そして次第にオリーブのように私たちを癒してくれる動物の役に立ちたい、という気持ちが強まり、獣医師をめざすようになりました。
獣医師として影響を受けた人はいらっしゃいますか。
私の獣医師としてのあり方を決定づけたのは、大学時代に研究室でお世話になった恩師です。腎臓病や血液透析を専門とする研究者で、「何が何でも動物を救うんだ」という熱意あふれる方でした。恩師に憧れて私も研究者の道を歩みたい、と思ったこともあったほどです。それまで“憧れ”だった獣医師という仕事が自分の「使命」に変わったのはこの恩師の存在あってこそですね。獣医師になって1年目に出合った思い出深い猫がいます。その子は糖尿病だったのですが、どうにも血糖値のコントロールがうまくできませんでした。粘り強く検査を続けたところ、予想もしなかったリンパ腫を発見。そのリンパ腫を改善してからは血糖値のコントロールもうまくいきました。その子を楽にしてあげることができたのも、諦めずに動物に向き合う姿勢を教えてくれた恩師のおかげだと思います。
今後の展望についてお聞かせください。
来院してくれるペットたちに対してできる最善のことをしてあげたいと思っています。動物医療は日々進化していますので、私たち獣医師の日々の勉強がとても重要になってきます。これからは、今まで以上に学会に参加し、そこで学んだことを動物達に積極的に還元していきたいですね。同時に私自身も学会で発表できるよう、研究にも励みたいと思います。また、以前から同年代の獣医師たちで勉強会を開き、自分が出合った症例等の情報を交換してきましたが、そういった横のつながりもさらに深めて、動物たちの役に立つ情報をどんどん取り入れていきたいと思っています。今は休日もついつい病院に来てしまうほど、頭の中は動物の健康のことでいっぱいです(笑)。鷺宮の「町の獣医さん」として町の皆様に愛される存在になるべく、これからがんばって行きたいと思います。
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