石黒博幸 院長の独自取材記事
すみれペットクリニック
(立川市/西武立川駅)
最終更新日: 2023/01/22
西武立川駅から徒歩で約5分、のどかな住宅街の一角に位置する「すみれペットクリニック」。通りに面したマンションの1階で、ゆったりとした待合室、現在2台分の駐車スペースなどがあり、飼い主さんが足を運びやすい環境が魅力だ。石黒博幸先生は、「小さな幸せ」を花言葉とする「すみれ」をクリニック名に取り入れ、「飼い主様のお宅に小さな幸せをたくさん届けられるよう、動物たちの健康を守っていきたい」という。診療においてはわかりやすく丁寧な説明を心がけ、穏やかで優しい語り口で飼い主さんや動物たちの緊張をときほぐす。動物愛護にも関心を抱き、「地域猫(野良猫)の診療や里親探しなどの活動にも力を入れていきたい」という石黒院長に、開業までの経緯や診療への思い、今後の展望などについて伺った。 (取材日2015年12月14日)
ストレスや不安、痛みが少ない治療を
開業までの経緯を教えてください。
岩手大学を卒業後、地元の静岡県と都内の動物病院に勤務し臨床経験を積みました。その後、企業が経営するイオン動物病院とコジマ動物病院で合わせて7年くらい、院長を務めました。日々診療を重ねるうちに「自分の病院をつくりたい」という気持ちが大きくなり、2015年の年明けから開業準備を始め、2015年8月にオープンしました。この地に開業した理由は、数年前にこの辺に住んでいて土地勘があったことと、のどかな環境に加え、ショッピングセンターなど大きな店も多く買い物や生活に便利な場所だと思ったからです。開業に際しては、飼い主様の緊張を和らげ安心して来られるような空間づくりを心がけました。待合室は落ち着いた内装でゆったりとした広さにし、臆病な性格のねこちゃんが他の動物たちと違う部屋で待てるよう第2待合室も作りました。僕自身、興味のある分野は小児科、外科、皮膚科ですが「地域の皆様のための動物病院」として、診療分野や犬猫にこだわらず、うさぎやハムスター、フェレットなども含めて、多くの飼い主様の困りごとに、幅広く対応していきたいと思っています。ペットホテルも行っています。
医療設備も充実していますね。
一般的な病気やケガにはなるべく当クリニックで対応できるよう、手術室、入院室はもちろん、レントゲン、エコー、歯石を除去する超音波スケーラー、内視鏡などを備えています。いたずらして危険なものを飲み込んでしまうわんちゃんが多いのですが、内視鏡があれば、手術してお腹を開くことなくカメラで胃や腸の観察ができ、異物を取り出すことができます。当クリニックで対応できかねる症例の場合は、近隣の大学病院など、より高度な検査や治療が行える動物病院を紹介する体制も整えています。
診療ポリシーを聞かせてください。
診療に際しては、ストレスや不安、痛みが少ないような検査や治療を心がけています。飼い主様とのコミュニケーションの取り方については、診療の際に丁寧な説明を心がけ、治療方針について飼い主様の同意を得てから始めています。動物病院は、立ったままの状態で診療するところも多いのですが、当クリニックでは、まずは飼い主様にイスに座っていただき、ゆったり落ち着いた状態でお話できるように心がけています。開業以来、近隣にお住まいのたくさんの方々に来ていただいていますが、今のところ、割合的にはわんちゃんの診療が多いですね。小動物も診療していて、うさぎや小鳥の診療も行いました。飼い主様のペットに対する意識は、10年くらい前に比べると随分高くなってきているように感じます。「ペットを大事に育てよう」と思われている方が多いので、そんな飼い主様の不安や悩みを少しでも早く解決するお手伝いをしていきたいと思っています。
子犬、子猫の診療が多く、ペットのしつけに関する相談にも応じる
こちらのクリニックの特色を教えてください。
近くのペットショップと提携していて、そこでお迎えしたまだ幼い子たちの健康診断などを当クリニックで担当していることもあり、子犬や子猫の診療が多いということですね。子犬、子猫は新生児と同じで、ちょっとしたことで体調を崩しやすいので、初めてペットを飼うという飼い主様にも日々の健康管理の大切さなどについてアドバイスしています。最近は、インターネットなどに情報があふれすぎていて、「たくさんある情報をどう扱ったらよいかわからない」という声をよく聞くので、大切なポイントをこちらで選び、飼い主様がわかりやすいよう指導しています。特にわんちゃんは、最初に関わり方を間違えてしまうと、わがままなわんちゃんになってしまい飼い主様との関係が悪くなってしまうこともあります。ですので、最初のうちは、体調管理に加えてしつけの話を含めたアドバイスもしています。飼い主様からのお電話による相談も受け付けていますので、不安なことや聞きたいことがあったら気軽に連絡していただきたいですね。
飼い主さんの反応はいかがですか?
飼い主様にとって、動物病院や獣医師の影響力はとても大きいと思います。当クリニックでは、初診に来るペットはカルテに登録するためにその場で写真を撮らせてもらっているのですが、その写真をクリニック内のプリンターで印刷してお帰りの時にお渡しするようにしたら、皆さんにとても喜んでいただけました。僕もうれしくなりましたね。ペットホテルでお預かりする時も、ホテルで過ごしている間の写真を撮り、飼い主様が引き取りに来た時に「元気にしていましたよ」などとお渡しすると、安心してくださいます。このようなささやかな心づかいをこれからも大切にしていきたいと思います。
これまでの診療の中で、印象に残るエピソードがあれば教えてください。
以前勤務していた病院で、ねこちゃんの避妊手術をしたんです。手術自体は問題なく終わったのですが、その後ねこちゃんが亡くなってしまったことがありました。術前の検査で何も問題なかったのですが、麻酔のアレルギーが関係していたのではないかと思われます。飼い主様には手術の前に、「アレルギーなど万が一のこともあります」と説明し、リスクの了承を得た上で手術を受けていただいたのですが、「先生は確率的にこういうこともあると簡単におっしゃいますが、実際にそれが自分の身内におこってしまったとしたら、どう考えますか? 大切な動物を亡くした私たちの気持ちをもっと考えてください」と、おしかりを受けました。僕にとっては毎日何頭も治療させていただく中の1頭のねこちゃんでしたが、飼い主様にとってはかけがえのない1頭なんだということに、改めて気づかされたのです。頭では十分わかっていたつもりなのですが、いろいろな意味で飼い主様への配慮が足りなかったことを認識し、今思い出しても涙が出てきます。どんなに高度な技術を兼ね備えたドクターであっても手術や治療でのリスクをゼロにすることはできないものですが、「飼い主様にとってのかけがえのない1頭を診療させていただいている」ということを、日々心に刻みながら診療しています。
地域猫の診療や里親探しの活動にも力を入れていきたい
先生は、なぜ獣医をめざしたのですか?
小さい頃から動物が好きで、静岡の実家でも犬、猫、あひる、チャボなどさまざまな動物を飼って世話をしていました。生物学や医学にも興味があったのに加え、高校生の時に、捨て犬や捨て猫処分、絶滅が危惧されている動物たちなど動物愛護の分野にも興味を持ち、いろいろ調べたりしていたんです。そのような中で、自然と「獣医師になりたい」という気持ちを抱きました。両親は普通のサラリーマンでしたが、獣医を志す僕の背中を押してくれ、獣医学部を受験し今に至ります。
お休みの日はどのようにお過ごしですか?
休みの日は、買い物などで外に出かけることが多いですね。旅行や登山が好きで以前は山登りに出かけていたのですが、開業してからは忙しくてなかなか行けていません。ショッピングセンターなどに出かけてリフレッシュしています。あとは、カラオケですね。歌うことが大好きで、大学時代から一人で、時には友人とギター片手に路上ライブもやっていました。カラオケは、一人でも行くくらい好きです。よく歌うのは、90年代のJポップです。思い切り声を出してストレス解消しています(笑)。
今後の展望について聞かせてください。
地域の飼い主様がより安心して通える病院にしていくために、今後はドクターや看護士を少しずつ増やしてより充実した医療やアドバイスができるように、また飼い主様向けセミナーやしつけ教室なども少しずつ初められるようにしていきたいと思っています。また、現在診療時間は夜8時までで、「仕事が終わって帰宅してから連れてきても間に合うので助かります」という声をいただいていますが、これをもう少し延長していきたいですね。また、当クリニックでは、直接の保護活動は行っていませんが、地域猫(野良猫)や捨て猫など飼い主様がいないねこちゃんたちの診療も受け入れています。そんな子たちの診療や手術については特別価格を設定しているので、ご相談いただければと思います。里親を探している犬や猫の譲渡会の場としてクリニックのスペースをお貸しする予定です。里親探しの情報提供や告知などにも協力しますので、こちらも気軽にご相談ください。