宮澤 智宏 院長の独自取材記事
あすなろ動物病院
(東大和市/東大和市駅)
最終更新日: 2023/01/22
東大和市駅から車で約9分の場所にある住宅街。その道路沿いにある、木の看板のかわいらしい建物が「あすなろ動物病院」だ。2013年に開業した同院の院内は、緑色と茶色を基調とした北欧風のおしゃれな雰囲気で、犬と猫の待合スペースを分けたり、動物病院では珍しいキッズスペースを用意するなど、気の利いた配慮がなされている。そしてこの医院で犬や猫の健康を守っているのが宮澤智宏院長だ。「動物の不利益にならないような治療をいつも心がけている」と語る宮澤院長からは、動物が大好きであるという気持ちがひしひしと伝わってきた。今後は、老犬の介護にも力を入れていきたいと語る宮澤院長に、医院のことや動物医療にかける思いを聞いた。(取材日2016年1月13日)
動物の不利益にならないような治療を心がける
院名に込められた思いを教えていただけますか。
大好きな小説からとり、「あすなろ」という言葉を院名につけました。「明日はヒノキになろう」という気持ちが、大切だと思っています。ここでできるのは1次診療ですが、すごく高度な治療ができなくても、しっかりと2次診療へ繋げることができる医療をしていきたいと考えています。「偉大なる1次診療」という言葉があるんです。無理な治療をするよりは、そういう治療を専門的にやっている大学病院などの2次医療施設があるのだから、そことしっかりと連携が取れるような仕事をしたいですし、救急に関しては2次医療施設よりも優れていると思いますので、その辺りはしっかりとやっていきたいと思っています。
緑色が印象的な院内ですが、こだわったところはどこでしょう?
緑色は、僕が好きな色なんです。看板は、皆さんが入って来やすいようにと、暖かみの出る木を使いました。あとは、ワンちゃんがいると神経質な猫ちゃんは嫌がってストレスになってしまうので、ワンちゃんと猫ちゃんの待合スペースの場所を分けているのと、動物病院では珍しいと思うのですが、キッズスペースを作りました。私は3人子どもがいるのですが、出かけた先にキッズスペースがあって助かったことが何回もあったので、必ず作ろうと思っていました。
診療の際に心がけていることを教えてください。
動物の不利益にならないような治療を心がけています。検査や治療、すべてにおいてですが、それをやったことによって動物の状態がより悪くなってしまったりとか、過剰なストレスを感じてしまうようなことは、やらないようにしています。と言うのも、飼い主さんにとっての良いことと、動物にとっての良いことに、差があることが少なくないからです。例えば、小さな「いぼ」ができたとします。見た目が悪いので飼い主さんは取ってほしいと言いますが、それが本当に動物の利益になるかはわかりません。もちろん年齢や健康状態によって変わってくるのですが、高齢であったり健康状態が良くなかったりする場合は、わざわざ麻酔をかけて手術をして取っても、それは動物のためにならないんじゃないですか、と飼い主さんに話します。飼い主さんの気持ちも考慮しつつ判断して、話すようにしています。
野生動物が大好きで獣医師に
先生は、なぜ獣医師を志したのですか?
もともと動物が好きで、その中でも特に野生動物が大好きだったんです。テレビとかで野生動物を治療しているのを見て、自分もこれがやりたいと思いました。中学生の頃ですね。そういう思いをずっと持っていたのですが、野生動物の治療を勉強できるところは、国内にはほとんどなく、そこに入るのはすごく難しかったんです。それで他の大学の獣医学科に入って、外科的なことの方に興味があったので外科を専攻しているうちに、犬や猫といった小動物の治療の面白さを感じ、今があります。
実際に獣医師になってのご感想を伺えますか?
たいへんだなというのが一番です。病気やけがは24時間ありますからね。それと、もともとは「すべての病気を治してやる」と思っていたんですけど、実際はそうはいきません。そうなると飼い主さんとの会話が大事になってきますし、場合によっては、治療そのものよりもそっちの方が大事になることもあります。僕らができることは病気を治すことだけじゃなくて、飼い主さんと話すことを含めて、どのように決着をつけるのか。動物の不利益にならないように、どうやって決着をつけるのかが大事だと考えています。
休日は、どのように過ごしていますか?
子どもと遊んでいます。5歳と3歳の男の子、それと0歳の女の子がいます。一番上の子がやんちゃ盛りですが、それがかわいいですね。何か話していても「これ知ってるよ」みたいに生意気を言ってくるのが、かわいいんです。子どもたちと遊んでいるだけで、1日はあっという間に過ぎてしまいますね。遊園地とか、最近はアスレチックに連れていくことが多いのですが、いつもけっこう急になっちゃうんです。行けると思った時にあっちに行って、そっちに行ってという感じで連れて行っています。
痴呆症の犬をケアしていきたい
今後の展望を教えてください。
より多くの症例を診ていきたいと思っていますし、いろいろな人に来てもらいたいと思っています。僕は犬や猫の生涯を診ていきたいと思っているので、今もパピーパーティーとかもやっていますが、小さな頃から来てもらって、その子の一生を診ていければ良いなと思っています。もう1つは、老犬の問題です。高齢になったことで痴呆症になってしまって、自宅で面倒が見きれないという飼い主さんが少なくないんです。老犬の介護なども、今後はやっていきたいと思います。
痴呆症になってしまう犬は多いのですか?
最近は増えてきています。特に高齢の日本犬に多いのですが、年齢に関係なく8歳や9歳でなってしまう子もいます。症状は人間と似ていて、夜泣きとか、徘徊と言うか夜中に動き回ったりですね。それで飼い主さんも高齢の場合だと、面倒が見きれなくなっちゃうんです。中型犬くらいになると、寝返りをうたせるのに一苦労とか。全部を引き取るわけにもいかないので、自宅で介護をしやすいようなアドバイスをしたりとか、飼い主さんが疲れきってしまっている時に一時的に預かることは、今でもしています。これらのことには今後、もっと力を入れていきたいと思っています。
最後に読者へメッセージをお願いします。
当院は、病気やけがの時に来るだけではなくて、普段からいろいろなことを相談しに来てほしいと思っていますし、来やすいような雰囲気をつくるように心がけています。また、飼い主さんには、犬や猫の定期検診をオススメしたいですね。犬や猫の病気は見つかりにくいことが少なくありませんので、定期的に検査を受けるのは大切なことです。年齢や種類、予算などの都合に合わせてプランを提案させていただきますし、例えばこの種類の犬は心臓が悪くなりやすいから、その検査も一緒にやりましょうといった提案もできます。このようなことの相談や、中にはクリニックに慣れさせるためにと遊びに来る方もいます。おやつを出すことくらいならできますので、気軽に来てください。