西村 真 院長の独自取材記事
にしむら犬猫病院
(東村山市/東村山駅)
最終更新日: 2023/01/22
西武新宿線・東村山駅からバスで10分程度。自然豊かな空掘川沿いに建つのが、カフェのような外観が目を引く「にしむら犬猫病院」。2009年に院長の西村真先生が開院した。地域密着をめざしているが、遠方から訪れる飼い主も多いという。特に力を入れているのが循環器科、整形外科、歯科。「病気で困っている子の治療に自分の時間をあてたい」と医療に集中するなど、動物の健康に対する思いは人一倍。「ペットにとって、飼い主さんにとってベストの選択とは何か」ということをいつも考えていると話す西村院長に、ペット医療に対する取り組みや思いについて熱く語ってもらった。 (取材日2016年6月10日)
「動物の命を救いたい」幼い頃からの夢を叶えて獣医に
東村山に開院したいきさつを教えてください。
開業するにあたって、まず「豊かな自然環境」の中で病院を開きたいと考えていました。例えば、入院中の犬を散歩に行くようなケースが多くありますが、そういうときに自然が多い環境のほうが犬のストレスも緩和されると思ったんです。そこで特に自然が豊かなのが「川沿い」だと考えまして、川沿いを中心に開院場所を探しました。その中でベストの場所がこの空掘川沿いでした。同じ空掘川でも水が流れていない所もあるんですが、当院の目の前は地下水が湧いていて、サギが来ることもあるほど環境が良いんです。「この川の遊歩道で散歩がしたい」と引っ越してくる飼い主さんも多いそうです。私自身も豊かな自然環境の中で診療できて、とても気に入っています。また、飼い主さんも待ち時間に景色を楽しみながら過ごされています。
病院内のこだわりや工夫についてお聞かせください。
動物病院というと「ニオイ」や「毛」が気になるというイメージがあると思いますが、当院はそれを極力排したいと思い、清潔感第一にするよう努めています。また病院の待合室というといろいろなお知らせやポスターが貼ってあるのが普通ですが、当院では医療に関するお知らせなどは本棚にまとめて置き、飼い主さんから希望があったときだけお伝えするようにしています。というのも、目につく情報が多すぎると、飼い主さんが悩んでしまうのではと思うからです。また、待っている時間もゆっくり過ごしてもらいたいので椅子は座り心地にこだわり、上質な物を置いています。さらに照明も診察室では患部がハッキリ見えるように明るい物を、待合室ではゆったりできるような柔らかい照度の物を、と分けているのもこだわりです。
獣医師になったきっかけは?
小さい頃から犬と猫がいつも身近にいる生活を送ってきました。両親が自営業だったので、ペットは最大の遊び相手でしたね。そんな中で私が獣医師になるきっかけとなったのが、小学5年生の頃に飼っていたシーズー犬との悲しい別れです。7歳ぐらいの雌犬だったのですが、妊娠中のトラブルで死んでしまったんですよ。この時、本当に悲しくて。「知識がなかったばかりに助けられなかった」と落ち込みまして、「こういうかわいそうな子を減らすためにも獣医師になって動物たちを助けたい」と強く思いました。以後、「獣医師になりたい」という思いをずっと持ち続けて、獣医学部に進みました。大学時代は馬の診察にも興味を持った時期があったのですが、やはり初志貫徹、私たちに一番身近な犬猫の命を守るのが使命だと考えて、今に至ります。
検査は最小限。体の負担を減らして最大限の効果を
特に力を入れている治療はありますか?
当院の大きな特徴は「医療に特化している」ということ。そのため、当院ではトリミングやしつけなどのライフサービス等は専門のトレーナーや信頼できるトリマーの方をご紹介させて頂いております。私としては、私の時間は全て「病気で困っているペットたちの治療にあてたい」と思っています。その点については妥協せず頑固に行きたいですね。オールマイティーに診察していますが、その中でも特に高いレベルの治療を提供できていると自負しているのが、循環器科、整形外科、歯科ですね。おかげさまで1日30〜50件の飼い主さんが当院を頼って来てくださっています。中には遠方からお越しの飼い主さんもいらっしゃいますね。
治療をする上で、心がけているのはどんなことですか?
ペットにとって「検査」は肉体的にも精神的にも大きな負担です。そのため当院では検査は最小限。まず大切にしているのが「視診」です。一度診察した動物のイメージや雰囲気は覚えていますので、それと比べて印象が違う時は、環境の変化など、原因を探っていきます。またペットが亡くなった時、飼い主さんに「やるだけのことはやった」と思ってもらえるような、「後悔のない、納得のいく治療」を提供することも特に心がけています。基本的に治療法は飼い主さんに選んでもらうのですが、その時の選択肢が多すぎると飼い主さんも困ってしまうので、私どもが一つ一つ丁寧に説明し、ご理解頂いた上で治療の選択をして頂いております。そんな「ペットと飼い主さんにとってのベスト」な提案をするためにも、私たちスタッフもディスカッションを繰り返し、真剣勝負の毎日です。
印象深いペットとの出会いは?
私が獣医師になって3年目ぐらいに出会った、肝臓がんを患っていたチャウチャウのことは今でも忘れられません。肝臓がんになるとその影響で胃にガスがたまってしまうので、定期的に病院でガスを抜かなくてはならないんですが、ある時、飼い主さんから、そのチャウチャウはお腹が張ってくると車に近寄っていく、という話を伺いました。つまり病院に連れて行って欲しい、と意思表示をしていたんです。「車に乗って病院に行き、お腹のガスを抜いてもらうと体が楽になる」ということをわかっていたんです。その話を聞き、そんなに信頼してもらっているんだ、と目頭が熱くなりました。動物なりに、いろいろなことを判断し、くみ取ってくれていたんですね。改めて、物言えぬ動物達と医療を通して心から信頼し合えたという経験は、私にとって大きな影響を与えてくれた出来事の一つですね。
小さな気づきが大きな病気発見の糸口。早めの受診を
プライベートはどのようにお過ごしですか?
1日自由な日はほとんどないですが、時間が取れたときは、できるだけ子どもたちと過ごしています。それこそ、遊園地に行ったり、お買い物に行ったりなど子どもと過ごす時間を大切にしています。子どもの希望もあり、歴史スポットをよく巡ります。最近では武田信玄ゆかりの武田神社や、北条氏ゆかりの小田原城に行きました。そこで甲冑を着て記念写真、というのがお決まりです。私自身も勉強になるのでとても楽しいですね。夏休みには一緒に名古屋城に行く予定で、子どもも楽しみにしてくれています。他には日曜大工も好きでよくやっています。病院内や駐車場の補修も、趣味と実益を兼ねて行っています。いい気分転換になりますね。
これから取り組んでいきたいことを教えてください。
開業して7年たち、当院も内容的にも充実し、そろそろ「熟してきた」というタイミングに今はあると思います。これからも日々の小さなことを大切にして真面目に、真摯に医療に取り組んでいきたいと思います。そしてできるだけ「濃い」医療を提供していきたいですね。また「傷を少しでも小さく」「痛みを少しでも小さく」する工夫や努力も続けていきたいと思っています。さらに大切にしたいのがスタッフ一人ひとりのグレードアップです。個々人のスキルが向上していくことで、結果的に病院全体も成長していくと思います。これからも毎日の診療をブラッシュアップしながら、地元・東村山の皆さんのために貢献できるようがんばっていきたいです。
飼い主さんへメッセージをお願いします。
いつもペットと過ごしている飼い主さんはペットの変化に気付きにくいものです。そのため、飼い主さんが気づいた時には病状が進行していることもあります。小さい気づきが大きな病気発見の糸口になることもありますので、ちょっとしたことでも、気軽に診せに来ていただきたいですね。また、セカンドオピニオンにも対応しています。飼い主さんの不安を少しでも取り除けるよう、一つひとつのことに丁寧に真剣に取り組んでいますので、ぜひ一度、当院にいらしてください。