畠中 道昭 院長の独自取材記事
草加みどり動物病院
(草加市/見沼代親水公園駅)
最終更新日: 2023/01/22
埼玉県草加市の南西部に2014年オープンした、島忠ホームズ草加舎人店。ホームセンターを核とする巨大施設の開業と同時に、1階ペットショップに隣接する場所で診療を始めたのが「草加みどり動物病院」だ。草加市のほか、隣接する川口市、東京都足立区の住民からも支持を集めている同院の畠中道昭院長は、グループの中核である「久米川みどり動物病院」(東京都東村山市)の院長職も長いベテランだ。充実した医療と飼い主に役立つサービスを追求している畠中院長に、ホームセンター内という立地に合わせた工夫や、動物との関係づくりのあり方などを聞いた。 (取材日2016年9月20日)
ペットは我が子同然。よい関係づくりの手伝いを
新店舗のホームセンター内、ペットショップの隣に開院してまもなく2周年になるそうですね。
2014年11月に開院した当院は現在、私を含めた4人の獣医師が交代で診療を担当しています。広い駐車場とレストラン、スーパーなどもある便利な施設の中ですが、デジタルレントゲン装置をはじめ、カラー超音波画像診断装置、麻酔装置、電気メス、歯科治療の器具一式があり、手術を含めた大半のケースにしっかり対応できる体制を整えています。外来の7割は、隣接するペットショップでご家族さまを見つけたワンちゃん、猫ちゃんなどの診療です。動物の種類別ではワンちゃんが6割、猫ちゃんが3割で、そのほかがハムスターやフェレット、うさぎなどとなっています。鳥の診療についても時々お問い合わせがあり、私も以前は手がけていましたが、現在は鳥類専門の動物病院をご紹介しています。
東村山の本院とは、どのような違いがありますか。
当院の設備は本院とほぼ同じで、スタッフの兼務も多く、本院と変わらない水準の医療をご提供しています。当院と本院は直線距離で30kmほど離れていて、最寄り駅の路線も異なりますが、地域差のようなものはあまり感じません。ただ、動物病院は多くの場合、ペットが小さいうちに連れて行ったところが生涯のかかりつけとなります。ですので、私が独立開業して以来15年がたつ本院で“患者の高齢化”に直面し、加齢に伴う心臓病などの治療が増えている一方、開設から間もないこちらでは若い子を診ることが多く、しつけや飼い方のアドバイスに力を入れているという違いはあります。
こちらでは、ペットを購入したばかりの飼い主をサポートする役割が大きいのですね。
飼いだして最初の半年、1年は楽しくあっという間に過ぎますが、特にワンちゃんの場合、この時期をどう過ごすかがその後の生活を大きく左右します。ショップのお隣ということもあり、当院では、家庭に迎えられたペットが我が子同然にずっと愛され、良好な関係を築いていくためのお手伝いをしっかり行っていきたいと考えています。それと同時に、私たちはショップにいる動物のかかりつけ医であり、さらに購入後、ご家族さまへ引き渡される前の検診も担当しています。この検診ではショップとご家族さまとの間で中立的な立場が求められますので、持病の有無や健康状態について正しくお伝えできるよう細心の注意を払っています。専門家としてペットの体調を考え、「引き渡しを少し待つように」といった判断をすることもあります。
通院を楽にする工夫と丁寧な説明で支持増やす
幼犬のしつけなどを学ぶ講座に力を入れていると聞きました。
ワンちゃんがトイレの方法や人間との接し方などを学ぶ「パピーパーティー」を定期的に開いています。ご家族さまと一緒に2~3組、同時にトレーニングを行うことで、他者がいる不慣れな環境への適応力を高めていくプログラムで、ワンちゃんが見るもの・触れるものを柔軟に受け入れられる生後4ヵ月ぐらいまでの「社会化期」に参加させることをおすすめしています。初めての環境を怖がらないようになれば、ほかの犬を見てほえたり、手を出した人にかみついたりしないので、社会とスムーズにかかわることができ、ワンちゃん自身の幸せにもつながります。現在のパピーパーティーは毎回完結型の内容ですが、近いうちに数回のコースをご用意するなど、カリキュラムを充実させていく予定です。
診療で来院する際は、ごほうびとして与えるおやつの持参を勧めているそうですね。
ええ、特にワンちゃんに効果的な方法としてご案内しています。動物病院で診療を受けるのは、知らない人に触られたり注射されたりと、本来決して楽しいものではないはず。しかも多くのワンちゃんはいずれ、避妊・去勢手術という大きなハードルを越えなくてはなりません。もし具合が悪くなって来院しなければならないときに、来院自体がストレスになるようでは大変です。診療中におやつをあげるのは「あそこに行けば、嫌なこともされるけど、好きなものがもらえる」ということでこの場所を受け入れてもらい、次回以降に備えることをめざした取り組みです。
スムーズに連れてこられるようになれば、飼い主にとっても助かりますね。
ご家族さまからは「喜んで通院しているみたい」「リラックスした状態で連れてこられる」という声をいただいています。まさに私たちの狙いどおりで、うれしいですね。通いやすい環境づくりとあわせて、ご家族さまからのお話をしっかり聞き、こちらから丁寧にご説明するのも当院のモットー。系列の3拠点からベテランの獣医師・看護師が交代で入る体制なので、診療やケアの手順を全員で統一し、各院が行ったすべての診療を獣医師が毎日オンラインで確認できるといった仕組みにも工夫しています。当院へお越しになるのは草加市や川口市、足立区といった周辺エリアにお住まいの方が中心ですが、こうした方針を評価いただき、少しずつ遠方から来院いただくケースも増えてきました。
広めたい「ペットの歯磨き」「飼う前の相談」
そのほかに力を入れている分野がありますか。
ワンちゃん、猫ちゃんに共通することですが、歯のケアですね。人間と同様、歯周病の治療と予防がペットの健康にとって非常に大切であることが、ここ4~5年で理解されるようになってきました。実際、歯周病が改善して「5歳は若返った」と思えるワンちゃんのケースもあります。しっかり食べられること、歯周病に起因する感染症のリスクを避けることは長寿の基本といってよく、できるだけ早く「ペットも歯磨きをするのが当たり前」という時代になってほしいですね。
ペットの歯磨きを習慣づけるには、どうすればよいでしょうか。
まず獣医師に相談することをお勧めします。すでに歯周病などで痛みのある部分があるかもしれず、その場合は歯磨きの技術習得よりも先に治療が必要というのが1つと、もう1つは正しく無理のない方法を身につけてほしいからです。嫌がるワンちゃん、猫ちゃんの歯をむりやりブラッシングしようとしたら、たぶんケンカになりますよね(笑)。後々のことを考えると、歯磨きの習慣も早めに身につけたほうが楽ですので、基本的なしつけを終えた後、おおむね1歳までを目安に取り組まれるのが理想的だと思います。
最後に、ペットを飼っている方、飼おうとしている方へのメッセージをお願いします。
さきほど、ペットは我が子同然の存在だと申し上げました。それは、人の子と同じく病気になったり、思い通りにならなかったり、自由を制約されたりするということでもあります。獣医師としては、動物たちが寿命をまっとうするまでの10数年間、共に過ごすことの重みを、すべてのご家族さまに理解していただけることを願っています。ワンちゃん、猫ちゃんの性格や運動量、必要なケアなどは品種によって大きく異なり、ご家族さまのライフスタイルとの相性もあります。「この犬種を飼いたいけれども大丈夫だろうか」といったご相談にも応じていますので、ホームセンターでの買い物ついでにでも、気軽にお問い合わせをいただけたらと思います。
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