飯田 智之 院長の独自取材記事
トミー動物病院
(北足立郡伊奈町/羽貫駅)
最終更新日: 2023/01/22
埼玉新都市交通伊奈線(ニューシャトル)・羽貫駅から徒歩8分。のどかな住宅街の中に「トミー動物病院」はある。院長の飯田智之先生は、1993年3月に開業以来20年以上もの間、地域の動物の健康を見守り続けている。診療動物は犬と猫。動物を救いたい・助けたいという一心で休診日がごくわずかなため、プライベートはほとんどないという。優しいクリーム色の外観のように、ペットも飼い主も構えることなく気軽に足を運びやすい温かい雰囲気が院内に漂っている。インタビューでは飯田先生に診療への強い思いや開院までの経緯、今後の展望に至るまで、じっくり話してもらった。 (取材日2016年7月11日)
わかりやすい説明と治療法の選択肢を幅を持たせて提案
開院して23年、このエリアに変化はありましたか?
開業当時は、この土地に昔から住んでいる人が多かったですが、そのあと町の人口が倍になったこともあり、近年は若い層の患者さんが多いですね。特に若い方はインターネットなどでいろいろと情報を得てから来院されます。私もより一層勉強しないといけないなという思いでいます。また昔から通ってくださっている方と若い層の方が混在されているので、それぞれの飼い主さんに合わせて説明を丁寧にするように心がけています。症状も年とともに大きく変化してきました。開院した頃は寄生虫のフィラリアで来院する犬がたくさんいました。この辺りは蚊も多いですし、飼い主さんもまだフィラリアについてご存知ない方が多く、来院したときには既に命の危険があるケースもありました。当時、予防について広く知らせていくことも当院の重要な役割になると強く感じましたね。
では最近は、どのような症状が多いですか?
消化器系に症状がある犬が多いです。かわいさのあまり飼い主さんがペットフード以外のものをあげてしまうことが多いようです。年末が近づくと、クリスマスにフライドチキンをもらって食べてしまい、下痢・嘔吐になったという犬が毎年、増えます。ほかに年間を通してよくあるのが、散歩中に道端に捨ててあるものを食べてしまったり、中には除草剤を口にしてしまったりするケースです。実際、毒物を大量に摂取してしまって、当院の検査器の値が振り切ってしまうくらい症状が重い劇症肝炎がありました。前日までとても元気だったのが急変してしまうので、注意が必要です。
診療で大切にしていることを教えてください。
飼い主さんへの説明をわかりやすく、そして治療の選択肢の幅をもたせるという2点を大切にしています。例えば、通院が難しいので、極力家でのみ世話したいという飼い主さんには、お薬や症状に合うペットフードをご提案します。また、積極的な治療は避け家で看取りたいという要望があれば、その方の意志を尊重します。このように、飼い主さんがどういうことを望んでおられるかを理解した上で、治療の選択肢をいろいろと提示して、飼い主さんに納得していただける治療を進めていくようにしています。
地域と連携し、チーム医療も行う
獣医師をめざしたきっかけは?
実は大学に入るときには海洋学部を希望していました。海の中の鉱物資源の開発をしたかったのです。当時、母校の日本大学は海洋学部よりも偏差値が高い獣医学科のある生物資源科学部を受験して、そこに落ちたら海洋学部に進めることができたので、それならと生物資源科学部を受けてみたら合格しちゃったんですよ。しかも、よく考えてみると、私は船酔いがひどいので、海の研究よりは獣医師の道の方が合っているかもしれないと心が決まりました(笑)。大学入学後は犬や猫の小動物に興味はありつつも、牛が大好きになりました。夏休みには酪農家のお宅に行って乳牛の世話をさせていただいたこともありましたね。
地域の先生とも連携をされているそうですね。
はい。当院では手術も行っているのですが、ひとりでは手術がどうしてもできない場合は、地域で仲のいい先生と協力し合って、行うことがあります。動物はじっとしておくのは難しいことがあるんですよね。だから、押さえてくれている人が必要なんです。また複数の先生がいることによって、症状の相談もできるので、全員で協力して治療に取り組んでいます。
獣医師になってよかったと思うときはどんなときですか?
まず、心がけていることとして、どうしても診療にCTやMRI検査が必要な場合は、迅速に対応するようにしています。飼い主さんの大切な家族ですので、最善の対応がとれるように二次診療ができる病院を紹介するようにしています。そうやって必要な診療を最適な場所で受けて、また元気な姿をみることができるとうれしいですね。今でも遠方から来院してくださる飼い主さんもいて、さまざまな職業を経験してきましたが、獣医師になってよかったと改めて思いますね。
生活の大半は動物のために
忙しい毎日を乗り切るための健康法はありますか?
仕事をしている時が体調がいいですね(笑)。たまたま連休が取れて、どこかに行ったりしても仕事のことが頭から離れません。もともとのんびりしたいという願望もないですし、薬の買い出しで海外に行かないといけないときは、入院している動物が気になってしまって私から病院に問い合わせたりしてしまいます。まとまった休みも、大みそかと正月三ヶ日の4日間しか取りません。それでもとても充実していますよ。
スタッフについて教えてください。
ドクターの私の他に女性スタッフが一人います。そして、トリマーの妻も勤務しています。開業するときに、妻がトリマーの資格を取ったのです。暑い夏場はペットをすっきりさせたいという飼い主さんが増えますし、年末もトリミングの注文が多くなりますね。動物病院の方は、基本的に私一人で診療を行いますが、どうしても人手が必要な時や押さえてもらわないといけないときは、妻に手伝ってもらいます。トリマーなので、動物をじっとさせておくのが上手ですよ。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
自分で診て自分で面倒をみないと気が済まない性分なので、今後さらに医院を大きくしていこうという気持ちはありません。これまでも全て自分で責任をもちたいという思いで、今に至っています。これからも地域に住む飼い主さんとペットを中心に、通ってくださる方々を大切に診療していきます。当院はどなたでも構えず来院していただき、話しやすい雰囲気づくりに尽力しています。犬や猫のことで困ったことや気になることがあれば、何でもいいので相談にお越しください。ペットに関することをわかりやすく丁寧にご説明いたします。