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松本 慶太 院長、岩品 美智代 先生の独自取材記事
マインズアニマルクリニック
(所沢市/下山口駅)
最終更新日: 2023/01/22
開業して3年の、下山口にある動物病院「マインズアニマルクリニック」は、小手指にある「コジマ動物病院」の分院だ。今回は、両院の院長である松本慶太先生と、分院を拠点に本院にも出向くこともあるベテラン獣医師・岩品(いわしな)美智代先生に、本院との連携やモットー、思い出に残る治療など幅広く聞いた。2人のしゃべりはまるで漫才の掛け合いのように軽快そのもの。特に松本院長は時折冗談を交えながら語り、笑いが絶えない。一方で「うちの売りはスタッフです」と胸を張る真面目な一面も垣間見ることができた。また岩品先生曰く、院長は動物の治療に際し、とにかく涙もろいのだとか。いずれにしても、心が通うペットクリニックであることは間違いないだろう。 (取材日2016年7月26日)
2院の連携であらゆる症状の動物をカバー
こちらは、小手指にある「コジマ動物病院」の分院とお聞きしました。
【松本院長】おかげさまで皆さまに親しまれるクリニックとして成長し、本院の「コジマ動物病院」は開業20年、私が院長になってから10年近くになります。分院をつくるきっかけになったのは、もともとこちらにあったトリミング専門のペットサロンが2013年に閉店するという話を耳にしたことです。地元の方々に愛されていたサロンだったようですので、何とか引き継げないかと思い、そのサロンに勤めていたトリマーさんにも続けて働いてもらいながら、新たに動物病院として開業したのです。こちらは地上4階のビルになっておりまして、1階が診察室、2階が手術室や入院室、3階が「モンファミイ」というトリマーさんがいるペットサロン。常に予約がいっぱいで、キャンセル待ちが出るほど人気です。そして屋上4階は街が一望できるドッグランになっています。
分院の特徴と、本院との連携についても教えて下さい。
【松本院長】こちらの分院は1次医療がメイン。手術としては避妊・去勢など簡単なものですね。対して本院はもう一歩踏み込んだ1.5次医療を主としています。ICUも完備していますから、飼い主がこちらの分院にペットを連れて来たとして、重症の犬や猫に関しては、こちらで説明を一通りしたうえで本院に送り、手術もします。獣医、看護師、トリマーともにスケジュールを組みながら本院と分院を行き来していますので連携はうまく取れていると思います。
岩品先生はその中で、獣医として飼い主さんとどう向き合っていますか?
【岩品先生】ペットの飼い方やその距離感など、人それぞれ。そんな一人ひとりの個性に寄り添いながら、うまくコミュニケーションをとっています。中にはペットを愛するあまり心配しすぎる飼い主さんもいますが、話を聞いて飲み込んであげるだけでも治療がスムーズに進むし、日ごろのペットへの接し方もずいぶん変わってくる気がします。いずれにしても単に治療を施すようなことはせず、心の通った医療を心がけています。 【松本院長】岩品先生は気さくで飼い主とのコミュニケーションの取り方が本当にうまいんですよ。もちろんほかのスタッフも、上からではなく飼い主と同じ目線でものを考えてあげるスタンスが自然と身についています。つまり、うちの売り、誇りはスタッフ。技術の差こそあれ、人間的なものは自慢できると、飼い主さんにも常日頃から言ってるんです。
美と健康。両面から支えるトータルケアクリニック
岩品先生が獣医を志したきっかけを教えてください。
もともと父が犬好きで、ずっと家の外には「マル」という犬が飼われていました。今でも実家で飼われています。今のマルで6代か7代目だと思います。マルの犬種は問わず、ある代は柴犬だったり、チワワだったり、ハスキー犬だったり。でもみんなマルという名前で。そして前より少し大きいとデカマル、小さいとチビマルと命名されていました(笑)。そんな動物が身近にいた環境に加えて、小学生の頃にテレビ番組で、動物王国を作った方の番組を見た私はさらに動物好きに。すると仲の良い友達が「美智代ちゃんみたいな動物が好きな人は獣医になればいいよ」と言われて初めてそういう仕事があることを知ったのです。そんな小学校のころの夢を貫いて今に至ります。
その後、どんな経歴を辿ったのでしょうか?
獣医になって初めての実習で、松本先生が副院長を務めていた東京・福生市にある動物病院に行きました。いろいろな現場を目の当たりにしましたが、獣医になることが目的だったので、違和感なく受け入れられました。むしろすべてが初めての体験で面白かったですね。往診のために外回りするのも性に合ってましたし。こうして松本先生のもとで学んだあと、私は子育てのため一時期獣医は小休止していたのですが、ちょうど松本先生がコジマ動物病院の新院長に就くと聞き、院内を見学させてもらったところ、大変気に入り「ぜひ来たい!院長お願いします」と頼みました。院長もスタッフの働き手が欲しかったので承諾。以来、間は空いていますが延べ20年間、松本先生のもとでお世話になっています。そして3年前、分院のスタッフに選ばれました。
こちらでの思い出深いエピソードはありますか?
【岩品先生】かわいくしてあげられるトリミングサロンが併設されているのも当院の強みですが、そんな中でトリマーの方は日ごろから犬の体を細かく見ているため、我々も気づかないような病気を発見することもあります。ある犬をトリミングしているとき、皮膚に出ている紫斑をトリマーが見つけたんです。それは難治性の血液の病気によるものだったんです。ただし飼い主さんは高度医療を望まない方だったので、こちらでできる範囲でケアを続けました。その後3年間、亡くなるまで一生懸命診たら最後「ありがとうございました」と感謝されました。他にもいろいろ、いろんな思い出があります。院長と泣いた思い出もあります。
まずは命を守ることが一番大切
飼い主から感謝されるのはうれしいですよね。
【松本院長】そうですね。ペットが亡くなったあとしばらくして、「新しい子を飼ったのよ」と我々に教えに来てくれたとき、心から信頼されていることを実感します。飼い主さんからのそうした言葉は励みになるし、なんだか救われますよね。ほかにも、飼い主さんからいろいろ気づかされることもありますし、またペットから学ぶこともある。我々もまだまだ半人前以下です。教えたり、教えられたり、お互い様という関係ですね。
みなさん仲が良さそうな職場ですが、雰囲気づくりに関して気をつけていることはありますか?
【松本院長】年に1回は必ず、従業員とその家族を連れて遊園地に行ったり、バーベキューをしたりしています。年末の忘年会は30~40人集まりますかね。ただやるだけだとつまらないので、プレゼントも用意してビンゴ大会を開きます。別に絆を深めるとかおおげさなことは考えず、とにかく楽しもうとしています。 【岩品先生】山梨にみんなでイチゴ狩りに行ったときもありました。その時は借り切ったバスの車内で、私と娘がバスガイドの制服を一緒に着て、旅の案内やレクリエーションの司会をさせていただきました(笑)。
改めて院長先生、岩品先生から、読者へメッセージをお願いします。
【松本院長】動物病院は、未だに「いくらお金を取られるんだろう」と怖がられるような、行きづらいイメージが強いかもしれません。そんな不安をお持ちでも、まずは気軽に声をかけに来てください。まずは病気優先。お金がないなら診られませんという病院にはしたくありません。ちょっとずつでも相談しましょうというスタンスでやっています。 【岩品先生】そうですね。院長の言うようにお金のことは置いておいて、まずそこに行って相談しなくちゃというふうに思ってもらえるような存在にしたいです。他にもいろいろな病院があり、いろいろな先生がいますが、うちも選択肢の一つとして考えてもらえれば。狭い限られた空間の中で、やれることしかできないのですが、頼りになる場所になればなあと思います。病気で戻ってくるというのも変かもしれませんが、いつでも安心して来られるような場にしたいと思っています。