- 動物病院ドクターズ・ファイル
- 埼玉県
- 南埼玉郡宮代町
- 東武動物公園駅
- 伊藤動物病院
- 伊藤 洋一 院長、伊藤 浩一 副院長
伊藤 洋一 院長、伊藤 浩一 副院長の独自取材記事

伊藤動物病院
(南埼玉郡宮代町/東武動物公園駅)
最終更新日: 2025/12/08

3つのグループ院とともに地域に根差し「どんな時でもそばに寄り添う、ヒトとペットに優しい病院」を理念に掲げる「伊藤動物病院」。開業以来変わらないアットホームな雰囲気を大切にしつつ、精密な検査や低侵襲な外科手術などを提供し、犬と猫を中心に1.5次診療の役割も果たしている。温かな人柄の伊藤洋一院長をはじめ、外科、循環器、皮膚疾患など、それぞれに得意分野を持つ複数人の獣医師が在籍。伊藤浩一副院長は、父である洋一院長の背中を見て獣医師をめざし、東京大学附属動物医療センターや麻布大学などで二次診療や研究に携わった後に同院の診療に加わった。いずれは同院を率いることも視野に入れ、今も研鑽を積み重ねている。大きなガラス窓から明るい光が差し込む院内で、両先生に話を聞いた。(取材日2025年9月25日)
優しさと技術を併せ持つ、外科にも強い動物病院
院長が開業されて40年近くになりますが、開業当初から変わった部分などはおありですか?

【洋一院長】動物との暮らしが当たり前の時代になって、今は動物にも人間と同様の治療を求められる方が多いですね。皆さん、定期健康診断や健診コースなどの予防医療への関心も高く、よく勉強なさっていて感心させられます。当院もその思いに応えられるよう、設備や体制を年を追うごとに充実させてきました。2024年の暮れには現在の建物にリニューアルして、CTを用いた精密な検査、腹腔鏡などによるさまざまな外科手術、大型犬にも対応したホテルや入院設備、そしてトリミングに至るまで、ワンちゃん猫ちゃんとご家族の求める医療やサービスを広く提供できるようスタッフ一丸となって取り組んでいます。
現在、地域の中ではどういった立ち位置でいらっしゃるのでしょうか?
【浩一副院長】当院の理念は「どんな時でもそばに寄り添う、ヒトとペットに優しい病院」です。かかりつけ医としてその思いは変わりませんが、同時に総合力に磨きをかけ、1.5次診療の役割を果たせる「外科にも強い動物病院」でありたいと思っています。院長や私は外科が得意ですし、ほかにも循環器や皮膚疾患などの専門知識を持つ獣医師がそろっているのも当院の強み。エックス線・超音波・CTも用いての検査でしっかりと診断をつけ、腹腔鏡を使いこなすことで動物の体に負担の少ない外科手術を心がけています。グループ院や近隣の先生から検査や手術のご依頼をいただくこともありますね。土日祝日も含めて毎日診療を行い、予約不要で受付順に対応。事前にご連絡いただければ年末年始も診察いたします。ワンちゃん猫ちゃんが体調を崩した際に、ご家族の不安をいつでも受け止められるのは、体制が整っているからこそできることかもしれません。
中学生の職業体験受け入れや、大学などでの講演もされていると伺いました。

【洋一院長】工学系の技術や知識はさまざまな分野に生かされていて、動物に関連したものも数えきれないくらいあるんですよ。日本工業大学では、医療エンジニアという分野に目を向けてもらえるよう、年に1回程度伺って医療や工学にちなんだ話をしています。医療機器はもちろんのこと、動物の車いすや義足などの技術もありますし、動物が四足で歩く様子はロボット工学にも生かされていますね。そんな話をすると理系の学生さんはけっこう喜んでくれるんです。ほかにも、看護学校に出向いて話をすることもありますね。中学生の職業体験は、毎年数人ほどですが受け入れています。少しでも獣医師という仕事を身近なものに感じてくれたらうれしいです。
診療の質を高める検査とコミュニケーション
院長が獣医師になられたきっかけを教えていただけますか?

【洋一院長】私が中学2年生の頃の理科の先生が獣医師の資格をお持ちの方でした。ある時その先生のお宅に遊びに行きましてね。いろいろお話を聞かせていただいたのですが、その時に「獣医師の仕事はなにも犬や猫の病気を診るだけではない、もっと幅の広いものだ」と教えていただきました。そこからがぜん獣医師という職業に興味を持ちまして、この道に進もうと決めたのです。子どもの頃から犬を飼っていたこともあり、獣医師という存在が身近なものだったせいもあるかもしれません。
浩一先生は大学で二次医療にも携わってこられたそうですね。
【浩一副院長】私は院長と同じく北里大学を卒業後、東京大学附属動物医療センターや麻布大学などで二次診療や研究に携わってきました。父である院長の背中を見ながら獣医師になり、「いずれはここの診療に関わりたい」とずっと考えていまして、数年前から当院で勤務しています。院長は技術だけでなく患者さんとの距離感も絶妙で、獣医師として学ぶことが多いです。それに少しでも追いつけるように研鑽を積みながら、今は「橋渡し役」としての役目も担っているように思います。スタッフと院長のコミュニケーション、患者さんと当院とのやりとり、また一次診療からの受け入れや二次診療につなぐ見極め。その中間に私が存在することで、物事がスムーズに進めばいいなと思っています。
日々の診療で心がけていることをお聞かせください。

【洋一院長】第一には動物をしっかりと診させていただくこと。そして、ご家族の考えや思いに耳を傾けることですね。「この子のために最大限のことをしてあげたい」という思いは私たちもご家族も共通ですが、細かい考えなどは皆さん違います。十分にコミュニケーションを取って信頼関係を築き、その子にとって一番良いことをしてあげたいと思っています。 【浩一副院長】動物は言葉を話せませんし、ご家族は「きちんと診てほしい、助けてほしい」と不安でいっぱいなことでしょう。獣医師は動物の体に触れたり、心音を聞いたり、顔や体の状態を見るなどして診察を進めますが、同時にデータを取ることもとても大切です。数字は確かなエビデンスになり、動物たちの言葉にできない症状がそこに表れることも。当院がCTを備えて精密な検査を重視する理由もここにあります。
人の4倍のスピードで生きる動物たち
獣医師の仕事の難しい点は何でしょうか?

【洋一院長】一つは先ほども挙げたコミュニケーションの大切さであり、もう一つは独り善がりの診療にならないように気をつけるべきだということです。自分が常に正しいと思わず、時には他の獣医師の意見も仰いで判断すべきです。絶えずさまざまな情報を取り入れて、治療に全力を尽くす。「その子のためになる治療とは何か」を常に考えなくてはいけないと思います。当院では診断の根拠もできるだけお伝えできるよう検査に力を入れていますし、より適切な判断をするために他の獣医師の考えを聞くこともありますね。
動物と暮らす人に、知っておいてほしいことはありますか?
【洋一院長】近年はインターネットで病状などを調べていらっしゃる方が多いのですが、あまり固執しないようお願いしたいです。参考程度に思っていただければと思います。 【浩一副院長】動物と人間の寿命は同じではありません。ワンちゃん猫ちゃんは私たちの4倍のスピードで生きています。人もある程度の年齢になれば毎年健康診断を受けるようになりますが、ワンちゃん猫ちゃんに換算すると年に4回のチェックが必要ということ。それは難しいとしても、特に8歳を過ぎたら年に1~2回は健康診断を受けるようにしましょう。また、人にも季節性のアレルギーなどがあるように、動物たちにも「冬は猫のおしっこトラブルが増える」「特定の犬種に多い皮膚症状」など、その種類や季節によってかかりやすい病気というものがあります。当院では年齢や種類に応じた健康診断のメニューを、季節に合わせて提案しています。ぜひ参考になさってください。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

【洋一院長】その子のそばに一番長くいるのはご家族です。ですから、気になることはなんでも情報としてお聞かせください。家族間でも意見が異なる場合もありますが、それらもすべてお聞かせいただくと助かります。その情報のかけらをまとめるのが私たち獣医師の仕事です。 【浩一副院長】検査により病気が早く見つかることもありますし、何もなければそれだけでも安心できるでしょう。動物たちは不調を感じても言葉にできません。ちょっとした違和感を感じ取って早めに医療につなげるのは、一緒に暮らすご家族だからこそできることだと思います。

