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市川 直紀 院長の独自取材記事

いちかわペットクリニック

(坂戸市/坂戸駅)

最終更新日: 2024/08/08

オレンジ色の犬と猫をモチーフにしたロゴが目を引く「いちかわペットクリニック」は、地域のかかりつけ動物病院として頼りにされている存在。大きな窓から陽光が差し込む明るい院内は、診察室や入院スペースは犬と猫で分けられていて、ストレスがなるべくかからないよう配慮が行き届いている。市川直紀院長はやわらかな口調で丁寧に話してくれる人物。看護スタッフも優しい印象の人が多く、クリニックは和やかな雰囲気だ。自身も猫を3匹飼っているという市川院長に話を聞いた。(取材日2024年7月23日)

幅広い疾患の対応ができるよう準備

ご開業9年目になりますね。

2016年1月の開業ですから、丸8年がたちました。振り返ってみると割と早く過ぎたように思います。周辺地域の方々はご自分の大切な家族の一員であるワンちゃんや猫ちゃんのことに熱心な方が多いようにお見受けします。関心が高く、病状なども詳しくお尋ねになる方が多い印象ですね。新型コロナウイルス感染症がはやった時期には、おうち時間が長いせいか、ちょっとした変化にも気づいて早めに来院してくださるケースが多くなったと思います。人と同じで、早期発見・早期治療が大切ですから。人々の生活が通常モードになるにつれ、徐々にご来院くださるペースも元どおりになってきていますが、何かあれば早めにご相談いただければありがたいです。診療や検査をして何もなければそれでよいと思いますので。飼い主さんが安心するために来ていただく、というスタンスでも良いと思いますよ。

明るく清潔な印象の院内ですね。

待合室の窓を大きくとったのは、外から見えて入りやすいように、というのと院内を明るくしたいと思ったからです。やはり何か不安を抱えて来院されることが多いでしょうし、閉鎖的な空間よりも少しでも明るく開放感のある空間にしたかったんです。私のイメージを設計士さんが上手に形にしてくれました。犬用と猫用のスペースや診察室を分けたのは、特に猫ちゃんを意識してのことです。猫は敏感ですから、ストレスがかからないようにと思ったんです。エコーや内視鏡などの機器類はある程度、どんな疾患の子が来ても対応できるように、と思ってそろえています。検査は何のためにやるのかというと、第一には病変などを迅速に正確に把握するためですが、先ほども申し上げたように、何もないことを確かめて安心するためのものでもあるんです。

スタッフさんはどのような雰囲気ですか?

当院のスタッフは物腰がやわらかくて、ワンちゃんや猫ちゃんのことを真摯に考えられる人ばかりなので安心しています。スタッフは私と一緒に医療を提供する仲間ではありますが、同時にクリニックを和ませてくれる存在だとも思っています。飼い主さんが話しやすい雰囲気づくりも意識してほしいんです。常々私からお願いしているのは、厳しくきっちりというよりも、やわらかく笑顔で対応してほしいということ。獣医師である私とは時には厳しいお話になったり、真剣に病状についてお話ししなくてはなりませんから、私よりもスタッフのほうが飼い主さんはお話ししやすいでしょう。そのスタッフが話しかけにくい雰囲気だと、飼い主さんから十分にお話を引き出すことができません。診療時には、飼い主さんとの雑談や何げない一言から疾患や治療の糸口が見つかることが案外多いのです。ですからスタッフと飼い主さんはフランクな関係になってほしいと思っています。

基本を大切に精密に診断し、きちんと治療する

診療のポリシーはありますか?

診療の際気をつけているのは、スタンダードでありたいということです。高い専門性や特色を出そうと思えば出せるんでしょうが、どんな疾患でも診て地域のお役に立つには王道から外れないということが基本だと思うんです。そして、精密な診断をつけて、しっかり治療すること。ごまかすことは簡単かもしれませんが、診察やさまざまな検査をして診断をつけて、それに沿ってきちんと治療するということを心がけています。また飼い主さんには、ワンちゃんや猫ちゃんの状況についてできる限り理解していただきたいと思っています。病名だけをつけるのではなく、こういう病気だから今後こうなるかもしれない、こういうところに気をつけてほしいなど、一歩踏み込んだ詳しい疾患の状況や内容をお伝えするようにしています。できるだけシンプルにわかりやすく、これだけはわかっていただきたいというところは十分に説明を行っています。

かかりつけを見つけておくというのはやはり大切なことでしょうか?

そうですね。ワンちゃんの場合は予防接種がありますから、それがかかりつけ医を見つける一つのチャンスでしょう。猫ちゃんは避妊、去勢の手術でしょう。猫ちゃんのほうが動物病院との関わりが少くなりがちですね。なので、意識して来ていただけるとうれしいです。私たちと飼い主さんの双方が「かかりつけ」に意識を持っていることが大切だと思います。やはり定期的に診ていると、体重が急に減ったなとか変化の状況がわかりますし、予防接種などは簡単な健康診断のチャンスでもあって、そこでちょっと怪しいな、と思うこともあります。そうすると検査をお勧めしたり、こういうことがあったら早めに来院してほしいと注意を促すこともできます。爪切りでも歯科検診でも何でも構いませんので、定期的に私たちとコンタクトを取ってくださると、お互いにいざというときに慌てなくて済むと思いますし、安心できると思います。

歯科診療にも取り組まれておられますね。

ワンちゃんも猫ちゃんも、きちんと歯を磨けている子は少ないのが現状です。ワンちゃんは成犬の9割以上が歯周病だといわれていますし、定期的なケアを続けることは寿命の延伸にもつながるといわれています。小さい頃からお口の中や歯の状態をチェックする習慣をつけておくことも、口腔内の状態を把握しやすくなるので良いと思います。また、当院では何らかの歯科処置が必要になると、全身麻酔が基本になります。無麻酔で無理やり処置するのは不完全な処置になりかねませんし、トラウマになってしまうこともありますから、当院では行いません。歯科の定期検診もお勧めですが、年齢や状況によってお勧めの検診間隔は違いますから、ぜひご相談ください。

様子に違和感を感じたら早めに受診を

ペットを飼うときに気をつけたいことはありますか?

飼い主さんの生活スタイルに合う子を選ぶことが大切だと思います。例えば飼い主さんが留守がちなら、アクティブで運動量の多いワンちゃんを飼うと互いにストレスになると思います。小型犬や、室内飼いの猫なら良い関係になれると思います。家族として迎えたい子と、飼い主さんの生活スタイルが合っているかどうかを考えてから迎えると良いのではないでしょうか。飼い始めたらぜひ一度、お顔を見せにいらしてください。健康チェックをかねて、犬種などによる注意点、どんな病気に注意が必要かなどもお伝えできると思います。飼い始めたばかりの方が「どうしたらいいか」とご相談に来られることもあるので、ご遠慮なくどうぞ。

獣医師になられたのは、何かきっかけがあったのですか?

小学校高学年の時に犬を飼い始めたのですが、家に来てすぐに調子が悪くなってしまったんです。その時、獣医師さんがすぐに治療してくれたんですよ。それで良い仕事だな、と。それ以来、ぶれることなく獣医師をめざしてきて、夢をかなえた感じです。獣医師という職業は、診る対象と病状などをお話しする対象が違うところが難しいですね。調子が悪そうといっても、具体的にどこがどんな感じなのか本人は具体的にしゃべってくれないので、飼い主さんから日常のご様子を聞いたり検査したりして探っていくわけです。ですから飼い主さんとのコミュニケーションが重要になってきますね。

読者へのメッセージをお願いします。

ワンちゃんも猫ちゃんも調子が悪そうに見えたときには、残念ながら病状が進んでしまっていることが多いものです。ですから飼い主さんがちょっとでも気になることがあったら、早めに受診することが大切です。そのために日頃から、いつでも何でも相談できる「かかりつけ」を持っておかれることをお勧めしたいですね。ちょこちょこ吐くけどご飯も食べていて基本的に元気、というような状況が、特に受診が遅れがちで危険です。何もなければそれでいいからちょっと診せておこう、そんな気持ちで気軽にお越しくださいね。

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