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滝田 雄磨 院長の独自取材記事

SHIBUYAフレンズ動物病院

(渋谷区/渋谷駅)

最終更新日: 2025/01/08

渋谷駅から徒歩約5分。明治通り沿いにあるのが「SHIBUYAフレンズ動物病院」だ。建物の前面はガラス張りで待合室は自然光が降り注ぐ明るい空間となっている。2017年に、前身の動物クリニックを引き継ぐ形で開業。以来、地域に暮らす犬猫の健康を見守ってきている。通院している犬の中には、散歩の途中で立ち寄りたがる子もいるという。滝田院長は、地域のかかりつけ医としてどのような症状でも幅広く診察しているが、中でも皮膚疾患の診療に力を入れている。「猫は犬と比べると体調不良がわかりにくいので、日頃からよく観察することが大切です」と穏やかに話す。そんな滝田院長に同院の特徴や獣医療への思いなどについて聞いた。(取材日2024年11月28日)

地域のかかりつけ医として総合診療を実践

来院する動物の種類について、渋谷という地域的な特徴はありますか。

犬ですと小型犬がほとんどを占めていて、中には体重1~2キロの超小型犬の子もいます。やはり地域柄大型犬は少ないようです。また、猫を飼っている方も比較的多い地域です。ただ、当院に来られているのは犬と猫、半々くらいですね。飼い主さんによって獣医療に対する意識や考え方はそれぞれ異なりますが、比較的獣医療に積極的な方が多い印象です。検査をした後に「どこまでの治療をしますか」と聞いた時に、その治療の選択肢の幅が広いように思います。

こちらではどのような症状や疾患を診てもらえるのでしょうか。

当院では地域のかかりつけ医として総合診療を行っています。診察した中でより専門的な獣医療が必要な場合には専門医療機関に紹介しています。症状としては下痢や嘔吐といった消化器症状や、脱毛・かぶれなどの皮膚症状、尿に関連する泌尿器症状、心臓弁膜症などの循環器症状、整形外科症状、目や耳のトラブルなどさまざまな症状に対応しています。犬のほうが、飼い主さん自身で体調の変化に気づきやすいですね。犬は元気がなくなったり散歩に行ってもすぐ疲れたりと行動に出やすいですが、猫はなかなか行動に現れないのでなかなか気づきにくい。診察していく中で「こういった症状はありませんか」と聞くと「そういえば」と気づかれるケースも多いですね。

飼い主が普段から動物をよく見ていることが大切なのですね。

そうですね。飼い主さんには普段からペットたちの表情や動きをよく見ていただきたいです。体調管理の一つとしてぜひ行っていただきたいのが体重測定です。小型犬や猫を抱っこして体重を測り、その後でご自身の体重を測ってそれを引き算するとペットの体重がわかります。もともと体重が少ない動物ですから100グラムでも大きな変化です。もしフードをしっかり食べているのに体重が少しずつ減っていく場合、何か重篤な病気にかかっていることも考えられます。飲む水の量とおしっこの量も確認すると良いでしょう。飲む水の量が増えておしっこの量も増えた場合、中高齢期の猫であれば腎臓病の疑いが出てきます。また他の疾患も考えられますので、飲む水の量とトータルの排尿量を確認していただきたいと思います。

メッセージアプリで体調管理の相談も

診療の際はどんなことを大切にしていますか。

小さな動物病院ですので、いつも僕が診ているという点は飼い主さんに安心していただけるのではないかと思います。どんな時も飼い主さんの話をよく聞いて、信頼関係を築いていくことを一番大切にしています。診察が一通り終わった時に「何か他に気になることはないですか」と聞くようにしています。こちらから問いかけると、「実は」という話が出てくることも多く、できるだけ詳しい情報を得て、より良い獣医療につなげるようにしています。また、最初に飼い主さんが電話で話していたことと診察室で話す内容が違ってくることもあります。飼い主さんもすべての情報を把握することは難しいと思いますので、時間を取ってじっくり話を聞いています。犬猫は自分で症状を伝えられませんから、飼い主さんへの問診が何よりも重要なのです。

力を入れている分野について伺います。

特に力を入れているのが皮膚科疾患です。東京農工大学農学部附属動物医療センターの皮膚科の研修医として研鑽を積みました。そこでは皮膚科全体を総合的に学ぶことができ、現在の診療に役立っています。傾向として、犬は膿皮症・外耳炎の症状が多く見受けられます。最近は、アトピー性皮膚炎も増えていて、犬種で言うと柴犬に多いですね。垂れ耳の犬は外耳炎になりやすい特性がありますが、年に数回外耳炎を繰り返す犬に血液検査をしたら、アトピー体質や、食物アレルギーを持っているケースもありました。反対に、猫は犬に比べると皮膚症状が出ずらく、カビの仲間である皮膚糸状菌による脱毛や炎症を起こすことがしばしばあるため、注意が必要です。カビは環境に残ったり、他の猫にもうつる可能性があるため、早期発見と治療が重要です。歯科の需要も高く、特に小型犬は歯石がたまりやすいので、今後、歯科にも力を入れていこうと思います。

こちらではメッセージアプリを活用しているとか。

はい。診療予約やフードの注文などはもちろんアプリでできますが、急な体調不良が起きた時などもこまめにやりとりをしています。例えばペットが下痢をした時にはその写真を送ってもらって、疾患の可能性などを伝えています。メッセージアプリはご自宅でのペットの情報をより多く得られたり、当院に来る前の段階での選択肢を増やすなどといった利点があると思います。また他院で検査を受けた時も、その画像を送ってもらうなどして情報共有しています。

病気になったペットには明るく前向きな声かけを

健康診断や予防接種などにも対応しているのですね。

健康診断や予防接種、さらにトリミングやペットホテルのサービスも提供しています。健康診断は年に1回、ワクチン接種の時に一緒に行うことが多いですね。ただ、9歳を超えたら年に2回の頻度で受けることをお勧めします。犬や猫は老化のスピードが速いですから、こまめな体調確認が必要です。また、当院ではトリミングにも力を入れていて、犬と猫、両方に対して行っています。

これまでで何か印象に残ったエピソードはありますか。

開業前に勤務していた動物病院を退職する際、多くの飼い主さんから「これまでありがとうございました」とか「これからも頑張ってね」と温かく送りだしてもらえたことがうれしくて、今でも印象に残っています。少しは、飼い主さんたちに信頼していただけていたのかなと感じる出来事でした。開業後でいうと、慢性的な皮膚炎や強いかゆみなどで長年苦しんでいた患者さんがセカンドオピニオンで来院され、改めて一から丁寧に基礎的な問診と検査をやり直して原因を究明し治療を行い、感謝されたときは素直にうれしい気持ちになりました。

ペットの高齢化も一つの問題ですね。

もしペットが、がんなどの重篤な病気になった時など「かわいそうね」という言葉はかけないでいただきたいと思っています。かわいそうと思う気持ちはわかりますが、悲観的な雰囲気はペットにも伝わってしまいます。それよりも、私たち人間も明るく笑っているほうが免疫力が高まるといわれているように、「大丈夫だよ」「頑張ろうね」と前向きに明るい雰囲気で話しかけてほしいと思います。ペットの負担を考えて手術を選択されない場合も、その選択が間違っていなかったと思っていただけるよう前向きにサポートしていきますので安心してください。

今後の展望とメッセージをお願いします。

今現在、ペットの飼育頭数が減少の傾向にあります。フードの価格高騰などもあり、ペットを飼いにくい環境になってきていると感じています。これは世界的傾向で、今後考えていかなくてはならない課題だと思います。もしペットの飼い主さまがご高齢で亡くなられたとき、その後は、飼い主さんに代わって最後まで面倒を見る施設や動物病院があるということも、ぜひ多くの方に知ってもらいたいと思います。飼育環境やライフスタイルの変化による不安があれば相談に乗らせていただきます。そして、地域の方々にはいつでも気軽に遊びに来ていただきたいです。これからもコミュニケーションを取りながらペットたちの健康を見守っていきたいと思います。

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