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杉山 公太 院長の独自取材記事
すみか動物病院
(八潮市/八潮駅)
最終更新日: 2023/01/22
つくばエクスプレス線・八潮駅から、広い通りを歩いて徒歩3分。「すみか動物病院」は2017年8月に開院したばかり。鳥・犬・猫・小動物を診療対象としているのが特徴だ。院内は大きな窓から光が入り、木目調の床や椅子も明るい雰囲気で心地よい。壁や棚には鳥のモチーフが散りばめられ、緊張を和らげてくれる。「獣医師と飼い主さんは共通の目標を達成するためのパートナー。動物たちのために一緒に考えていきたい」と話す、院長の杉山公太先生に診療への思いを聞いた。 (取材日2017年10月3日)
飼い主とともに、より良い治療を考える
病院名の由来と、診療内容について教えてください。
「すみか」は、住処、栖、棲家といった漢字で表すことができます。住処と栖は、住まいの方々という安心できる場所を表す言葉です。動物病院は飼い主さんにとってマイナスのイメージを持つ場所だと思いますが、少しでも落ち着けるような環境づくりを心がけています。 また、棲家はもともと鳥獣の生息する巣を表す言葉なので、そういった意味からも良いと思いました。当院は鳥専門の動物病院ではありませんが、鳥類の診療も力を入れて行っていて、犬や猫と同じレベルでの医療の提供をめざしています。
まだ開院されて間もないですが、どのような飼い主さんや動物が来院していますか?
主に鳥、犬、猫が来院しています。数の割合もぞれぞれ同じくらいです。その他小動物も時々来ますね。ありがたいことに、この辺りは新しく開発が進んでいるエリアなので、近隣からみえる飼い主さんは最近引っ越して来た方が多いですね。つくばエクスプレスや車で遠方から来る方もいらっしゃいます。
先生が診療で大切にしていることは何ですか?
獣医師と飼い主さんは、共通の目標を達成するためのパートナーだと思っています。一番大切にしているのは、一緒に考え、決めていくことです。診察は当院で行いますが、通院での治療となった場合、治療には動物のご家族のご理解とご協力が必要不可欠です。診断や治療方針などに疑問や不安が少しでも残っていた場合、ご理解やご協力は得られないと考えています。そのために、常に正しい情報と選択肢を提供し、可能な限り検査や治療のメリットとデメリット、リスク、費用などの情報を提供することを心がけています。詳しく丁寧に説明することで、飼い主さんは一緒に真剣に考えてくれますし、その手応えは日々感じています。私自身、さまざまな動物を飼ってきたので、自分ならどうしてほしいかも念頭に置いて、飼い主さんの思いをくみ取るようにしています。
動物だけでなく、飼い主さんも来やすい動物病院
開院にあたって設備など、工夫された点はありますか?
一番は、鳥や小動物、犬・猫それぞれができるだけストレスのかからない造りにしていることです。肉食動物と草食動物では性質がまったく違いますから、診察室は3つ設け、待合室のスペース、入院室・ペットホテルの居場所も分けるようにしています。出入口の扉は動物たちが逃げてしまわないよう2重構造にし、自動ドアのスイッチもスタッフがすぐ切れる場所に設置し、万全を期しています。また入院室は窓を大きくとっています。診療室や処置・検査室につながる扉を開けなくても、入院室が見えるようにすることで、入院している動物たちの異変にすぐ気づけるよう工夫しています。他には、ちょっとしたドッグランスペースを設け、ペットホテルを利用するワンちゃんの気分転換に活用しています。玄関外のスロープは、高齢の飼い主さんだけでなく、歩けなくなった大型犬をマットで移動させるのに助かったという声もいただいています。
予約優先制を導入しているのですね。
そうですね、待ち時間の負担を考慮しました。優先制なので、救急の動物や診察が長引いてしまった場合には少しお待たせしてしまうこともあるかと思います。ただ健診などで既に来院が決まっている場合や遠方から来られる方は、時間をあらかじめ決めておいたほうが受診しやすいと考え導入しました。他の動物が苦手な子たちは混みあっていない時間帯で予約を取ることもできるので、すぐに診察室にお通しし、動物同士の鉢合わせを防げるよう配慮しました。もちろん、急にペットの具合が悪くなったり、お散歩がてらに病院に寄ったという方にも対応しております。お気軽にお越しください。また、当院では動物だけでなく、飼い主さんも来やすい病院をめざし、工夫しております。予約制もその一環ですが、待合室には本やウォーターサーバーも置いてあるので、飼い主の皆さんにとっても待ち時間が苦痛にならないよう気配りをしています。
鳥の診療について詳しく教えていただけますか?
初診でいらっしゃる場合は1時間くらいかけて食事のことから詳しく説明します。また飼い慣れた方でも昔と常識が変わったこともあるので説明には時間を割いています。鳥類はその習性から「弱ってる様子を見られると、他の動物に襲われてしまう」と体の不調を隠す傾向があり、食べているふりをすることがあります。ですから、食事をきちんととっているのかを確かめるため、体重を測定するのも良いですね。また常に羽を膨らませている状態もよくないので、普段からよく様子を見ていただきたいです。犬や猫でもそれは同じで、口頭で説明するだけでなくリーフレットをお渡しして、いつでも家で見ていただけるようにしています。
これからも学び続け情報発信をしていきたい
先生が獣医師をめざしたきっかけは?
小さい頃から家には常に何か動物が居ました。中でもキャバリアという犬とオカメインコが、獣医師をめざしたきっかけです。 兄弟のように暮らした犬とは、近所の土手を全力疾走で競争しました。でもいつの頃からか自分のほうが早く走れるようになり、犬が人よりも早く年をとることを実感しました。病気で倒れたときはまだ高校生で知識もありませんでしたが、少しでも楽になるよう工夫しました。インコは自分の不注意でケガをさせてしまったとき、血が止まらないのに周囲には鳥を診てくれる病院がなく、右往左往したこともありました。鳥類もしっかり責任を持って診られる獣医師になりたいと思ったのは、その体験があるからです。あれからずいぶん時がたちましたが、鳥類を診る病院は今も少ないので、少しでもお役に立てたらと思っています。
今も、何か動物を飼っていますか?
保護犬でシュナウザーのような風貌の雑種と、黄色いインコを飼っています。犬は春から飼い始めました。開院を機にこの近くに引っ越しましたが、犬と散歩していると当院に通う飼い主さんに声をかけられたりもします。逆に当院に来た方が私を見て「どこかで見た顔だなぁ」と(笑)。このエリアは、これから発展していく新しい街です。公園を散歩すると犬もとても喜んでくれますし、動物を飼いやすい環境だと感じています。
お忙しい日々と思いますが、オフの時間はどのように過ごしていますか?
休診日は金曜のみで、日・祝日は午前中診療があります。入院してる子の対応や家での勉強もあるので、休みという日はほとんどないですね。音楽が好きで以前は毎年遠くの野外コンサートにも足を運んでいましたが、今は難しいです。ですから今は、音楽を聴きながら犬と散歩をすることが、よいリフレッシュになっています。公園に行くと顔見知りの人が誰かしらいるので楽しいですよ。うちの犬はちょっと変わった雑種で目立つので、よく覚えてもらえるようです(笑)。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
まだ医院の設備や診療体制に関して改善したいところがたくさんあります。これからも勉強を欠かさず、「可能な限り正しい情報と、選択肢を提供する」という自分のポリシーに反しない診察を続けていきたいです。特に鳥類臨床は日進月歩です。情報を受け取るだけでなくいずれは鳥類臨床の進展に貢献できるような、そんな獣医師をめざしていきたいと思っています。また飼い主さんには、気になることがあったらすぐ相談に来てほしいですね。病気でなくても健康診断やお手入れのついでに、いろいろ相談していただければお答えできます。病気で来院されたときは他の話をゆっくりできないことがありますので、そうした機会を利用していただけたらと思います。