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岡添紀子 院長の独自取材記事

ベルどうぶつクリニック

(町田市/鶴川駅)

最終更新日: 2023/01/22

自身の愛犬のみならず、動物すべてへの深い愛情が言葉の端々から伝わってくるのは「ベルどうぶつクリニック」の岡添紀子院長。2人の女性獣医師がチーム医療を確立し、先進の医療機器・設備を搭載した環境の中でとても丁寧な診療を行っている。最新の超音波手術装置は個人開業医レベルでは導入しているところはまだ少ない。このような先進の機器を揃えつつ、女性らしいきめ細かなやさしい心掛けも人気の理由だろう。ペットに極力痛みを与えない注射にもその姿勢が表れている。自身の愛犬とのエピソードも含め、ペットと人間のあり方についてもわかりやすく教えてくださった。(取材日2011年7月1日)

最新の超音波手術装置など先進の設備・機器で病気を早期発見

開院されたのはいつですか?

2003年3月に開院し今年で8年目です。当院には私以外にもう1名女性の獣医師がおり、彼女は20年以上のキャリアを持つベテラン獣医師です。チーム医療としてペットたちの病気をはやく見つけてあげようと頑張っています。それが動物医療における家庭医としての役割ですからね。あともう1名、心強い仲間がいるんですよ。体重32キロのスタンダードプードルのアンディーもここにいます。このエリアは郊外ということもあって、大型犬を飼っているお宅が結構多いです。50キロ台のラブラドールもここに来てくれます。「小柄な女性の獣医師だと大型犬は大変じゃないですか?」と聞かれたことがありますが、まったくそんな心配はいりません。大型犬の方が言うことを聞いてくれやすいというか、優しい子が多いです。もちろん小さなワンちゃんも可愛い性格をしてますよ。ただ日頃、ワンちゃんの世話をしているのは大体女性です。なので女性の言うこともちゃんと聞ける大人しくて忠実なワンちゃんが、このエリアには多いように感じます。

こちらではまだ珍しい最新機器が充実していると聞きました。

最新の超音波手術装置のソノサージを導入しています。これは手術時の出血や体に残す縫合糸を最小限にとどめられる効果があります。なぜそこにこだわるのかというと、一般的な避妊手術の場合でも縫合糸が異物として体内に残ります。するとそれがアレルギーの原因になってしまうペットがいるんです。そのシルクを減らすためにはこの機械は非常に有効です。また組織や血管を凝固切開することも可能です。最近はペットの高齢化に伴って腫瘍切除の必要があるワンちゃんやネコちゃんが増えています。手術の場合、局所麻酔という選択肢もあるのですが、私が一番大事だと考えるのは完全に切り取って根治させることです。そのためには局所麻酔でペットを押さえつけて手術するよりも、安全な麻酔で眠らせてきれいに切除し、1回の手術で終わらせてあげたいです。ソノサージを導入している大学病院は多いですが、開業医レベルではまだ少ないかもしれませんね。

他にもさまざまな設備や機器を用意されてますね。

スーパーライザー(近赤外線照射治療器)は整形外科の分野で使っています。あくまで緩和ケアの一つですが、心地好い温熱感があります。大型犬は小型犬に比べて、やはり関節のトラブルを起こしやすいです。大型犬は動けなくなると飼い主さんが本当に大変な思いをされますからね。他にもデジタルX線画像診断システム「FCR」もあり、レントゲンの画像をより正確に見ることで病気の早期発見に繋がります。珍しいものとしては動物のための眼圧計も用意しています。柴犬などは緑内障にかかりやすく、また緑内障は急激に進んでしまう特徴を持っています。なので眼圧計は失明しないように、はやく目の異変に気付くために力を発揮します。耳をやさしく洗う耳道洗浄の機械などもありますよ。

注射の痛みにもとことん配慮した「動物にやさしい医療」

先生の診療におけるモットーは?

一言でいうなら「動物にやさしい医療」です。先ほど最新機器について触れましたが、ただ新しい機器を置いているだけではありません。細かな部分になりますが、注射をするときに痛みのないように注意しています。具体的には注射は1回針先をバイアルに差してしまうと、針先が切れにくくなって、そのまま注射するとペットにはとても痛いんですね。そこで注射液を吸った針は処分して、新しい針につけかえて注射しています。その甲斐もあって、うちでは注射のときにキャン!と声を上げる子はほとんどいません。また当たり前のことですが衛生面にも非常に留意していて、すべてディスポーザブルの新しいシリンジ(注射器)と針を使用し、汚染されたものが絶対にペットの体内に入らないように気を付けています。このような一連の作業も、飼い主さんの不安を少しでも軽くできるよう目の前で行っています。

飼い主さんやペットたちとの記憶に残るエピソードは?

やはり愛犬や愛猫の状態が悪くなったときに、飼い主さんが親身になってお世話されている姿は本当に胸に染みます。以前も状態がかなり悪くなったワンちゃんのために、毎日毎日手作りのフードを作ってあげて、口に運んであげていた飼い主さんがおられました。大学病院へ紹介したのですが、腫瘍が体のあちこちにできている状態で大学病院では対応できないと言われました。そして別の高度医療を行っている動物病院で手術を受けたのですが、退院する日の朝に天国へ行ってしまいました。その子は2週間とても頑張ったんですよ。でも残念な結果になってしまいました。しかし私は飼い主さんとワンちゃんの双方が一生懸命頑張っている姿を知ってましたし、飼い主さんの献身的な行動に「最善を尽くすってこういうことなんだな」と学ばせてもらいました。このエリアは本当に親身になってペットを見てくれる人が多いと思います。

先生ご自身も愛犬家ですものね。

愛犬家だし愛猫家でもあります。今、猫も2匹飼ってますからね。私自身も愛犬のつらい死を経験しています。3歳で腎臓が悪くなったゴールデンレトリバーを飼っていました。犬の場合、人間と違って腎臓移植などはできません。そこである先生から腹膜透析をやってみようかと言われ、それで危機を脱したこともありました。けれど結局半年後には旅立ってしまいました。毎日山のように薬を飲ませ、介護も本当に大変でした。ゴールデンレトリバーですから、体が大きい分、いざというときの世話は本当に大変です。そういうことは飼ってこそわかることなんですよね。なのでここに来られる飼い主さんの感じる不安や心配、ときにはつらくなる気持ちもよくわかるんです。

夜8時まで、土曜・日曜も診療。飼い主さんもペットも通いやすい環境

ペットロスで苦しむ飼い主さんも多いですね。

ペットロスを少しでも軽減させる方法があります。それは多頭飼いです。これはしつけにおいてもとても効果的なんですよ。もちろんペットロスに苦しむ人の気持ちはよくわかりますし、他にペットがいたからと言って、亡くなった子の代わりができるわけではありません。でも他にもペットがいることである程度ダメージを減らすことはできます。しつけの場合も、今、ここにいるスタンダードプードルのアンディーを大人しい利口な子にしつけてくれたのは、じつは以前一緒に飼っていたゴールデンレトリバーなんです。多頭飼いだと、ペットたちは留守番の間もさみしくありません。実際にいつもキャンキャン留守中に鳴いていたワンちゃんがいたお宅に、もう1頭ワンちゃんを増やしたところ、2頭で大人しくお留守番するようになったそうです。そもそも犬は集団で暮らす動物ですからね。ただし難しい話になりますが、多頭飼いは頭数が多すぎてもまた問題が発生します。私個人の考えでは2頭ぐらいが一番いいかもしれませんね。

ところで先生は休日をどのように過ごしてますか?

最近、テニスを始めました。ウクレレも少し練習してます。でも結局休みの日も愛犬と一緒にドライブし、ドッグランへ行ったりと、動物と切り離して時間を過ごすことは少ないですね。そもそも当院は土曜も日曜も診察を受け付けてますし、夜も8時まで開院しています。またお電話でアポイントを取ってくださった場合には、診療時間以外でも対応しています。やはり私自身もその一人ですが、皆さんとてもお忙しいでしょう。なので少しでも皆さんが通いやすいように、ペットが少しでも気軽に医療機関で診てもらえるようにこのような診療時間にしています。本当は24時間働きたいぐらいです。でもそれだと体を壊してしまいますからね(笑)。私のそんなヤル気の源は、やはりペットたちですね。

最後に読者の方にメッセージをお願いします。

よくお電話でワクチンの値段を聞かれることがあります。もちろん大事なことではあるのですが、人間の場合、病院をワクチンの値段で選ぶことはあまりないと思います。やはりクリニックの診療方針や設備類の充実度、雰囲気などで選ぶことが多いでしょう。なので動物病院を選ぶときにも、人間と同じぐらいいろんな視点から選んでいただきたいです。そしてできることなら、かかりつけ医を持っていただきたいですね。そのペットの状態を何でも知っているかかりつけ医がいることはとても安心です。またぜひ、ペットの体にはできるだけ触れてあげてください。当院はトリミングも大変好評で、トリマーがペットの全身を触ることで腫瘍や怪我をはやく見つけることがあります。当院の場合、泥パックが人気で本当に手触りも良くなりますし、ワンちゃんたちもとても気持ちよさそうです。ペットは口をきけません。だからこそ触ってあげてください。そして十数年しか生きられません。だからこそ心から大事にしてあげてほしいです。

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