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濱田 宇広 院長の独自取材記事
あいはら犬猫病院
(町田市/相原駅)
最終更新日: 2023/01/22
横浜線相原駅から車で5分。犬猫ならどんな症状でも診る「あいはら犬猫病院」。自然が残り、落ち着いた住宅が立ち並ぶ環境柄、町田市近隣エリアからの来院が多い。その一方で、腫瘍科、眼科、皮膚科の診療を行う獣医師も在籍しているため、遠くから足を運ぶ人も多いという。院長を務める濱田宇広獣医師の診療方針は、動物の治療においては、飼い主を中心としてチームで取り組むこと。飼い主が日頃から観察すること、治療を始めたら根気強く続けることが大事だと飼い主に説き、モチベーション維持のため、丁寧にカウンセリングを行っている。新しく動物用CTも導入するなど、医療設備も充実している同院の特長や、濱田院長が獣医師として歩んできた道のりなど、じっくりと話を聞いた。 (取材日2017年2月2日)
飼い主をを中心に、チームで治療を行うことがモットー
広い院内と明るい色使いが特徴的な建物ですね。
そうですね。広さについては、当院は八王子にあるゼファー動物病院の分院にあたるのですが、CTを導入するために広いスペースを確保できる場所を探して開院したという経緯があります。色使いについては、外観はえんじ色、待合室は大きな窓を設置して明るい院内となるように作ってあります。青を基調として、アクセントカラーには黄色を使って、話をしやすい雰囲気づくりをめざしています。
同院の特色について、お聞かせください。
基本的には、犬と猫の診療を行っています。割合としては犬が6割、猫が4割です。大きな特長として、腫瘍科、眼科、皮膚科を診療する獣医師が在籍していますので、その診療科目にあわせた診療が可能です。そのため近隣からだけでなく、遠方から足を運んでくる方も多いですね。また、設備も充実させています。CTに関しては、去年新しい機種に入れ替えを行いました。
診療方針について、どのようにお考えですか?
犬や猫を治療するにあたっては、主体的な役割を果たすのは飼い主さんであり、私たちはサポート役だと考えています。というのも、入院を除けば、基本的に私たち獣医師が検査や治療を行えるのは病院に来た限られた時間の中だけです。まず大事なのは、日頃から飼い主さんが観察し、様子の変化に気づいてあげることだと思います。そして、治療は一度病院に来て終わりではないので、家でお薬を飲ませてあげたり、食事の与え方に気を配ったりという部分を飼い主さんがやらないといけません。飼い主さんがモチベーションを保って、治療に取り組むことがとても重要なのです。私たちは、飼い主さんが犬猫の様子の変化に気づけるように、情報をお伝えしたり、根気強く治療できるように治療の内容や必要性についてわかりやすくお伝えしたり、コツをお教えしたりするなどフォローしながら、チームになって取り組むようにしています。
飼い主さんに対して心がけていることはありますか?
飼い主さんへの説明に関しては、しっかりと時間を割いています。そして、飼い主さんとして、どこまで治療に取り組めるかを話し合います。ご家庭にはさまざまな事情があります。例えば、仕事が忙しかったり、おじいちゃんおばあちゃんの面倒を見ないといけなかったり、小さな子どもの世話をしないといけなかったり、また、費用面も考える必要があります。治療には時間、手間、費用がかかりますので、それらの状況や飼い主さんの考え方を踏まえて、ここまではやる、ここまではやらない、と相談して決めます。同じ病気であっても飼い主さんのご状況や考え方によって選択肢は変わりますので、できる限り多くの選択肢を提示するようにしています。場合によっては、より専門性の高い病院なら別の選択肢があるとお伝えし、ご紹介することもあります。
動物が身を委ねられるようハンドリングに気を配る
動物に対して心がけていることはありますか?
動物の扱い方、いわゆるハンドリングについてはとても気を配っています。このことは私が最初に勤めた動物病院の院長や先輩方にしっかりと叩き込まれました。経験を積み重ねた今だから言えることですが、触り方ひとつで動物の反応は変わります。例えば、経験の浅いマッサージ師さんとベテランのマッサージ師さんでは、触れられた瞬間に違いを感じることがありますよね。経験に裏付けられた自信があって、それが佇まいに表れ、どことなく安心できたりすることもあるでしょう。それは動物も鋭く感じていて、ハンドリングに自信を持っているかどうか、すぐに伝わっているのだと思います。獣医師として17年やっていますが、レントゲンや処置をする際に鎮静剤を使ったことはあまりありません。他の病院だと警戒して怒るけど、うちでは安心して身を委ねていると言われるとうれしいですね。
なぜ、獣医師をめざしたのですか?
私は、幼い頃から犬、鳥、魚など動物とふれあって育ちました、特に、犬と一緒にたくさんの時間を過ごしました。言葉にはならないけど、友だち同士の絆というか、信頼関係は生まれるんだなと感じながら育ちましたね。具体的に獣医師を志したのは、高校生になってからです。将来の進路を考えていたとき、ニュースで環境問題が取りざたされていて、絶滅危惧種に目を向けられるようになり、そういう観点からも動物との関わり方に関心を持つようになりました。
学生時代から、その後、同院で院長に至るまでの経緯についてお聞かせください。
学生時代から臨床の獣医師になりたい思いは強くありました。勉強以外では軟式テニスのサークルを立ち上げて、仲間と市民大会に出場したりもしていましたね。思い出深いのは阪神大震災の被災地でのボランティアです。現地で約1ヵ月、被災した動物たちのケアを行いました。また、飼えなくなってしまった動物の里親探しについては、グループのチーフとして活動しました。里親探しは獣医師となってからも、相談に乗ったり、アドバイスをしたりしています。卒業後は同じ研究室出身の先輩が院長を務める病院で、ハンドリングをはじめ基本的な医療スキルを身につけました。その後、あきる野市で勤めていたときに、ゼファー動物病院の院長と一緒に治療を担当したことなどが縁で、2013年から当院院長を務めさせていただくことになりました。
カウンセリングで命を救ったことが大きな経験に
心に残っているエピソードはありますか?
ダックスフントを飼っていた方で、すぐに怒って噛んだりして手がつけられない状態になったので、面倒をみきれないから、その犬を処分してくれないかと相談を受けたことがありました。長い間悩まれ憔悴していましたが、そのときは時間をかけてお話をして、少し踏みとどまってもらいました。そして犬との関係性がうまくいくようにハンドリングの練習など、プログラムを組んでいろいろ試してもらったんです。トレーニングの結果、1年後には噛みつくこともなくなり、正常な関係を築くことができました。飼い主さんは何とかしたいという思いはあったけれど、その方法論がなく困っておられたんですね。そこをうまく解きほぐして飼い主さんと犬を繋いであげることができたので、大きなやりがいを感じた瞬間でした。お薬などは全く使わず、治療そのものは無いけれど、結果的に1頭の命を救うことができ、カウンセリングの大切さを強く感じた大きな経験となりましたね。
休日はどのように過ごされていますか?
小さい子どもがいるので、子どもと一緒に過ごすことが多いですね。仕事を始めてからは仲間とも休みの予定が合わなかったりするので、最近あまりテニスはしていません。そこで、一時期は一人でもできるスカッシュをやっていたこともあります。時間があるときに、またやりたいなと思っています。
読者の方へメッセージをお願いいたします。
当院には専門的な知識や経験が豊富な先生がたくさんいますので、私自身はコンシェルジュのような役割を果たしたいと考えています。私自身は何でも診る獣医師ですので、どんな症状でもまず診ます。その上で、私にできることをやって、状況に応じて専門の先生にお願いすることもあります。さまざまな疾患があって、複数の先生に診てもらっている状況なら、薬の組み合わせを考慮して全体の治療計画を見ながら、調整役を果たすことも一つの仕事だと考えています。適切にアドバイスをして、飼い主さんと動物のトラブルを解決できる存在になりたいです。まずは、どこに行って誰に相談すればいいのかなと迷わず、気軽にお越しいただければと思います。