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窪木 未津子 院長の独自取材記事

富士見台どうぶつ病院
(中野区/富士見台駅)
最終更新日: 2025/05/01

富士見台駅近くにある「富士見台どうぶつ病院」の院長を務めるのは窪木未津子先生。専門性の高い診療も含め多様な動物医療に従事するとともに、皮膚疾患や高齢の犬に配慮したトリミングや猫の保護活動、ドッグカフェ運営など動物と飼い主のニーズに応える取り組みにも次々と挑戦する獣医師だ。明るく活気ある院内の雰囲気は、窪木院長の人柄を表しているよう。スタッフも窪木院長の思いを共有する意欲あふれる人材がそろっており、楽しいイベントを数多く開催しているのも特徴だ。ペットは飼い主の人生を豊かにしてくれる存在。そんなペットの一生に飼い主とともに寄り添いたいという窪木院長に、同院の特徴や動物医療への思いを聞いた。(取材日2025年3月10日)
動物病院の枠にとらわれず、多彩な取り組みに挑戦
ガラス張りの造りがとても印象的ですね。

誰でも気軽に入ってこられるような場所でありたいので、院内を外から見られるような造りになっています。大きな窓に面してトリミングルームや待合室があるので冬でも温かいんですよ。診療としては犬と猫がメインで、うさぎ、ハムスター、フェレット、モルモット、リス、カメなどを診ています。それ以外の動物については、当院での対応が難しい場合は専門の先生のところを受診いただくようお伝えしていますが、緊急性があるかどうかなどを判断するだけであれば、診させていただくこともありますのでご相談ください。それから、皮膚疾患や高齢犬に配慮したトリミングやドッグカフェの運営などにも取り組んでいます。
先生はどうして獣医師を志されたのですか。
父が狩猟をしていた関係で獣医師をはじめ医療に携わる方が家に多く出入りしていました。そんな環境から、父とは違う道で動物の命を助けられる仕事に就きたいと思ったんです。大学を出て、動物専門学校に進み、さらに獣医学部で学び、そのすべての経験が今の私をつくっています。今は、幼い頃から思い描いていた獣医師になれていると思います。一番携わりたかった動物たちの診療はもちろん、ドッグカフェ、保護猫用施設開設と夢が現実になっています。その運営ができているのはスタッフのおかげ。私のやりたいことに賛同してくれて、素晴らしい実行力で次々に実現してくれています。
スタッフの力が大きいのですね。

それぞれの専門性や得意分野を生かし、自主的に力を発揮して仕事をしてくれていますね。動物が好きでないと、動物病院の仕事は難しいと思いますので、採用の時から、何よりも動物が好きでここで働きたいという意欲や人柄を重視しています。当院は活動内容が幅広く、一般的な動物病院よりもイベントが多いのでスタッフの果たす役割も大きく、最近では、診療のお知らせや保護猫の情報などSNSを活用した情報発信も頑張ってくれています。スタッフの活気ある雰囲気が飼い主さんや動物にも伝わって、何でも相談できる場になり、みんなが元気になってくれたらいいなと思っています。
皮膚のトラブルや高齢犬に配慮したトリミングにも注力
診療の際のモットーについて聞かせてください。

とにかく精一杯やる、それに尽きます。常に自分の家の子だと思って診察するようにしています。ただその中でも、自分でできることとできないことの線引きはしっかりしたいと思っていますね。必要に応じて、速やかに専門的な医療につなぐことも重視しています。また、科学的根拠のある診療や診断を意識しています。そうでないと飼い主さんも納得してくれないと思うんです。根拠のある診療・診断で飼い主さんとの信頼関係を築いた上で、しっかりとお話をさせていただく。動物医療というのは、それに尽きると思っています。
飼い主さんとの信頼関係を大切にされているのですね。
動物を診るのはもちろんですが、その前にしっかりと飼い主さんと向き合うことも重要です。動物はここが痛いとか気持ち悪いなど、はっきりと意思表示ができません。それが一番わかるのは飼い主さんですから、飼い主さんと私たちの信頼関係が構築できていないと治療がうまくいくはずがありません。私たちがどれだけしっかり飼い主さんとお話しできるか、飼い主さんが私たちを信頼し、治療やケアをどれだけしっかり頑張ってくださるか、それが動物の命を左右することになると考えています。スタッフもそんな私の思いを共有して飼い主さんとのコミュニケーションには力を注いでくれています。
猫伝染性腹膜炎(FIP)に関するオンライン相談や保護活動にも注力されているのですね。

FIPは獣医師による的確な対処が鍵になりますが、残念ながら医療の地方格差は解消されていないこともあり、FIPに関してはオンラインでも相談に応じています。猫の保護活動では当院で病気などのスクリーニング検査をして、新しい飼い主さんのもとへ送り出しています。猫の保護施設は人通りの多い道路に面しているので、よく見えるところにキャットウォークを配置して猫の生活の様子を多くの方に見ていただき、みんなが猫の仕草に癒やされる町の憩いの場になればいいなと思っています。また、24時間保護猫たちの様子をライブ配信もしています。動画で出会った猫を家に迎えたいと思っていただければうれしいですね。
こちらでは、トリミング前に獣医師によるチェックを行うとお聞きしました。
そうですね。当院では、トリミング前に必ず獣医師によるボディーチェックを行っています。体重を測定し、目や耳、皮膚の状態を確認してから、その子に合った薬剤を選び、トリミングに入るようにしております。皮膚のトラブルがある箇所は様子を見ながら対応し、動物にできるだけ負担をかけないようなトリミングを心がけています。必要であれば、薬の処方も可能です。また、病気や高齢により一般のサロンではシャンプーやトリミングを断られるような子も受け入れていますのでご相談いただきたいですね。
飼い主にも、スタッフにも選ばれる動物病院をめざして
専門の立場から、飼い主さんに伝えたいことはありますか。

ぜひ日頃から、日常の様子をよく見てあげてほしいですね。よく見ていれば、小さな変化にも気づくことができます。逆に言えば、些細な変化に気づいてあげられるのは、飼い主さんだけだとも思います。注意ポイントとして1つ挙げるとしたら、食欲ですね。いつもよりたくさん食べるのか、少ないのか。体重管理も重要で、急な体重の増減は何かのサインかもしれません。あとは体臭や、飲むお水の量など、本当に生活の中でのちょっとした変化に気づいてあげてほしいんです。また、今は情報化社会で飼い主さんが動物病院を選ぶ時代です。予防接種など継続的に通院することになりますので、迅速な対応ができて信頼できるところ、この先生やスタッフなら大丈夫と思えるところを見つけてください。信頼できる獣医師やスタッフとの出会いが肝心です。
今後の展望について聞かせてください。
診療や取り組みをさらに充実させて、「ここでなくては」と飼い主さんに選ばれ、スタッフも「ここで働きたい」と思える動物病院でありたいと考えています。といっても特別なことをするわけではなく、来てくださる動物や飼い主さんを大切にして、皆さんが必要とされる医療やサービスを一つ一つ増やしていきたいと思っています。また診療面では、FIPだけでなく他の病気に関しても、オンラインでできることの可能性を感じています。いずれ日本だけでなく海外の飼い主さんともつながることができれば、日本人で海外在住の飼い主さんに言語の壁や物理的な距離を気にすることなく相談していただけます。そうすればもっと多くの命を救うことにつながるのではないかと思っています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

当院は、誰でも気軽に立ち寄り集える場、地域の動物と飼い主さんの憩いの場となってほしいと思っています。動物との生活は人生を豊かにしてくれます。私たちは、そんな皆さんの動物を大切にする気持ちに寄り添っていきたいのです。新しくペットを迎える方は、最初の予防接種などの時に、犬種など動物の特徴や、かかりやすい病気や気をつける点などをぜひお尋ねください。私たち獣医師は飼い主さんと一緒に歩むパートナーですから、どんどん活用してください。動物との生活にも苦労はあるかと思いますが、子育てと同じで、時が過ぎて振り返れば一瞬だったと思うものです。私たちは、ほんのちょっと力をお貸しするくらいのことしかできませんが、ぜひ一緒にペットとの生活を楽しみましょう。そして、何か困ったことがあれば、どんなことでも、私やスタッフに相談してください。