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若い猫に多いFIP(猫伝染性腹膜炎) 専門的な診断が重要
ブルーム動物病院
(横浜市鶴見区/鶴見駅)
最終更新日: 2023/11/14
子猫や2歳までの若い猫に特有の病気、FIP(猫伝染性腹膜炎)は、不治の病とされている。しかし、手の施しようがないわけではないという。そこで、FIP(猫伝染性腹膜炎)の専門家であり、今までに1000頭以上のFIPの猫を診療してきた経験を持つ、横浜市鶴見区の「ブルーム動物病院」の片山政都院長を取材した。「FIPは診断が難しく、専門性や豊富な診療経験が必要。ぜひ専門家を頼ってほしい」という片山院長の話を参考にしてほしい。(取材日2023年10月30日)
目次
若い猫に多いFIP。診療経験の豊富な動物病院で、早期の診断を受け、適切な対応につなげよう
Q.FIPとはどのような病気でしょうか?
A.ほとんどの猫の体内には、「猫腸コロナウイルス」というウイルスが存在します。まだ原因はわからないのですが、なんらかのきっかけでこのウイルスが突然変異を起こして、発症するのが猫伝染性腹膜炎(FIP)です。病名のとおり腹膜炎を起こすことが多く、腹水がたまり腹部が膨らんでぶよぶよした感じになります。胸水がたまることや、頭や目の炎症など全身的にさまざまな症状が起こります。若い猫に多く、致死的な病気とされてきました。伝染性といっても猫から猫に伝染するものではなく、人間が感染するコロナウイルスとは異なるものです。ストレス環境が関係するともいわれていますが、どの子にも発症する可能性があります。▲明るく広々とした待合スペース
Q.FIPは診断が難しいそうですね。
A.FIPは治らない病気、諦める病気とされているので、一般的な動物病院では診療経験が少ないところも多く、また、全身にさまざまな症状が出るので、診断が難しいケースも多いのです。典型的な腹水や胸水がたまる「ウェットタイプ」は、腹水や胸水のPCR検査を行えばFIPかどうかすぐに診断できますし、おなかに肉芽腫というできものができる場合も診断がつきやすいのですが、胸水や腹水がたまらない「ドライタイプ」や、単に神経症状や発熱が続くという場合は検査材料が少ないため、確定診断にはかなりの経験が必要です。FIPは2歳までの若い猫に発症することが多く、発症率は10%といわれていますが、もう少し多いと感じています。▲丁寧に検査を行い、怖がらないように配慮
Q.先生が診療を行う中で大切にされていることを教えてください。
A.僕は、今までに1000頭以上のFIPの猫を診察し、海外で論文も発表しております。飼い主さんとよくお話をして、納得して治療法を選択していただくことも大切にしています。また当院では、遠方から来られているケースも多いので、地元のかかりつけ動物病院と連携して、必要な時だけこちらに通院してもらうなど、動物や飼い主さんの負担を軽くすることも心がけています。▲検査機器も充実している
Q. FIPと診断された場合はどうしたら良いのでしょうか?
A.FIPと診断されたら、できるだけ早く行動を起こす必要があります。FIPを根本的に治療するための医薬品で日本で承認されたものはありませんが、発熱といったつらい症状を抑えるための対症療法は行うことができます。FIPに対して診療経験の少ないかかりつけの動物病院で「FIPかもしれない」と言われたら、すぐにFIPに詳しい動物病院を紹介してもらうか、セカンドオピニオンを受けたほうが良いと思います。日常の注意としては、2歳未満の子で元気がない、食欲がないという場合は様子を見ないで動物病院を受診すること。猫風邪や腸炎と診断された場合、初期治療で回復に向かわない場合は、FIPに詳しい動物病院を受診してください。▲体調が回復しない場合は、FIPに詳しい医師に相談を
Q.こちらではセカンドオピニオンにも対応していると伺いました。
A.かかりつけの動物病院で、FIPと言われたという飼い主さんや、別の疾患と診断されて治療を受けているがなかなかよくならない、という飼い主さんがセカンドオピニオンを求めて来られます。一般的な動物病院では、FIPが疑われる場合、腹水や胸水の検査を外部委託するケースが多いと思います。検査結果がわかるのに1週間ほどかかることもあり、結果が出てから対応を考えるのでは手遅れになる可能性もあります。「FIPかもしれない」と言われた時点で、セカンドオピニオンを受けることをお勧めしたいですね。セカンドオピニオンを受けることは飼い主さんに勇気が必要かもしれませんが、大切な子のために、頑張っていただきたいと思います。▲気になることがあれば、すぐに相談してほしいと語る片山院長
動物病院からのメッセージ
片山政都院長
FIPは、新しい治療薬の研究も進んでいます。現在は、多くの動物病院がFIPに対応するようになりました。しかし、まだ治療の手順などが確立されていないので、独自の方法で治療を行う施設もあるようです。また、信頼できないインターネットの情報とコストで安易に治療を選択すると、経過不良につながりかねないということは、飼い主さんに知っておいていただきたいですね。僕は早くからこの疾患に取り組んできましたので、その経験を生かして適切な治療法を確立し広く発信したいと思っています。若い猫に発症する病気ですから、できるだけ多くの子を救いたいと願っています。
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