福本 誠 院長の独自取材記事
上社ペットクリニック
(名古屋市名東区/上社駅)
最終更新日: 2024/10/08
上社駅から歩いてすぐの場所に「上社ペットクリニック」はある。院長の福本誠先生は、コミュニケーションをしっかり取り、飼い主と動物の気持ちにしっかりと寄り添ってきた。長年この上社の地で、常に患者ファーストの姿勢で実直に診療に向き合い続けてきた福本院長。診療時にはどんな場合であっても、必ず触診をしているという。「言葉を話せない動物ですから、必ず触って、こちらからわかってあげられるように、そして見落としのないように努めています」と、真っ直ぐに語る。その言葉一つ一つから、福本院長の誠実さ、優しさがにじみ出ている。こつこつと日々の診療に丁寧に取り組み、確実に信頼を築き上げてきた福本院長に、獣医師になったきっかけや今まで積んできた経験、診療時の心がけなど、多くの話を聞いた。(取材日2024年8月2日)
丁寧かつ適切な触診で、見落としのない診療をめざす
まず、福本院長が獣医師になったきっかけを教えてください。
獣医師という職業に興味を持ったのは、小学生の頃です。小さい頃から家で犬などを飼っていたということもあり、動物はとても身近な存在でした。ただ、その頃どうやったら獣医師になれるということまではわかりませんでしたので、獣医師という職業に対する興味はそこで一度落ち着いたんですね。その後高校生になって、大学に行ったら獣医師になれるということを初めて知りました。それからは、獣医師になるということが目標となり、勉強をして進学し、今に至ります。一番大きなきっかけは、やはり私自身が動物が好き、ということに尽きると思います。
今までどんな経験を積まれてきたのでしょうか?
最初に勤務した松波動物病院(現・松波動物病院メディカルセンター)では、基本的なことをすべて叩き込まれました。朝から晩まで働いて必死でしたが、修行の中で学び得たことはたいへん大きかったです。その後、一旦は別の動物病院の分院長をしていました。24時間体制を敷いている動物病院で、そこでの勤務もハードではありましたが、内科全般、そして骨折などの基本的な外科全般まで、一通り学ぶことができたと思います。幅広く対応するための研鑽は積んできました。若い頃は、休みの日になれば毎週のように東京や大阪などに足を運んで勉強によく行っていましたね。独立後は日々の診療に追われて、なかなかそこまではできていないですが、新しいデータや情報は積極的に得るよう努めています。
経験の中で、印象に残っていることはありますか?
修行先の上司からの言葉で、触らない獣医師にはならないように、ということはずっと自分の中に残っていて、今も常に心がけて実践しています。例えば触診せずにワクチンだけ打つですとか、かゆがっている場合に、皮膚だけ見て触らずに終わるといったことは、決してしません。動物は話すことができないので、こちらから具合の悪いところを見つけてあげなければなりません。ですのでどんな症状であっても、まず大前提として飼い主さんのお話を丁寧にお聞きして、その後聴診から始め、触診で一通り全部診るということは必ずします。それは、トリミング時の診療であっても同様です。一つ一つ確実に行う触診・聴診をめざして、見落としがないようにということは、常に心がけています。
飼い主とよく話すことは、動物の不安軽減にもつながる
大切にされている診療方針は何ですか?
まず、やはり見落としがない診療をめざすということです。そして、飼い主さんとのお話も、大切にしています。動物も、「この人は自分の飼い主とずっと話している」ということを最初の数分である程度認識して、警戒心を解いてくれるんですね。特に認識する力が強い子犬は、飼い主さんとコミュニケーションを取っているかどうかをよく見ています。ですので、問診も動物の見ている前で行っています。そこから、まず聴診器のにおいをかいでもらうなどして、動物との距離を近くしていきます。また、注射の時は動物に危険が及びますのでしっかり保定しますが、それ以外はある程度診察台の上ではフリーの状態でいてもらえるように、ということは心がけています。お越しいただいた方には満足して帰っていただきたいということは、強く思っています。
こちらで診療されているのはどんな動物でしょうか?
犬、猫が中心で、うさぎ、ハムスターも診ます。ハムスターに関しては手術も対応しています。爬虫類は飼うにあたっての相談など、簡単なことはお受けできますが、専門的なことは爬虫類を専門とされている獣医師にご相談いただくのがいいと思います。ちなみに私は、爬虫類がいつ来院してもいいように、家でイグアナや亀を飼っています。やはり自分で飼ってみないことには、診れませんからね。実際に飼ってみると、爬虫類は環境を整えてあげることが非常に大切だなと感じます。鳥などの小動物系全般にもいえることですが、何か体に異変が起こる際、環境にうまく適応していないことが多いように思います。
どんな動物が多く来院していますか? また、最近多い主訴は何でしょうか?
犬と猫が半々くらいですね。特に猫にいえることですが、特に悪いところはないから、動物病院に来るのは年に一度のワクチンだけ、という方は多いので、例えば健康診断を受けることを促すなどして、定期的に体を調べる機会を設けるため工夫しています。最近多い疾患は、私が日本獣医腎泌尿器学会に入っているということもあるかもしれませんが、腎臓の悪い犬・猫の通院が多いです。尿管結石の手術は高次医療機関などに紹介されることが多いと思いますが、当院では対応可能となっています。あとは心臓が悪いといったことですとか、皮膚病も多いですね。
常に飼い主と動物のためを思い、寄り添った対応をする
スタッフさんに心がけてもらっていることはありますか?
飼い主さんや動物のために動きなさいということは、伝えています。何か自分で判断するというときには、常に飼い主さんファーストで、飼い主さんを思って行動することを常に意識する、ということです。例えば電話をいただいた時に、長い間お待たせすることはあってはなりませんので、私が診察中で出られない場合は、後で院長から折り返しますとお伝えする、といったことですね。また、私の顔色をうかがわなくていいとも伝えています。例えば飼い主さんから、どうしても診療時間に間に合わなそうだという電話が入った場合に、私に聞かなくていいから、そこは気持ち良く、気をつけてお越しくださいとお伝えする、といったことですね。当たり前のことかもしれませんが、飼い主さんと動物のためを思って考えて動くということは、とても大切なことだと思っています。
こちらの動物病院の特徴を教えてください。
トリミングでは、基本的な診療もセットで行っています。ペットホテルは年中無休でスタッフが勤務しており、宿泊中具合が悪くなっても、私がすぐに対応します。例えば心臓が悪くて他では宿泊を断られた場合もご相談可能ですし、獣医師が対応できる環境が整っているのは、メリットとしては大きいと思います。また、慢性的な症状で普通の薬だけでは対処できない場合などに、治療の選択肢を広げるため、動物用に調合された漢方を補助的に使っています。あとは、急患の場合などは休診日や時間外にも対応していますし、足が悪いご高齢の方など、来院が難しい場合は往診や送迎も行っていますので、遠慮なくご相談いただければと思います。また、腎臓系の診療には深く携わってきましたので、腎臓の疾患におけるセカンドオピニオンもお受けできます。
最後に読者にメッセージをお願いします。
飼い主さんには、ぜひ日頃から飼われている動物をおうちでしっかり観察して、異変にすぐに気づけるようになっていただきたいなと思います。何かあってからでは遅いこともありますので、様子がおかしいと感じたらすぐに行動を移せることが大切です。何かあった際にすぐに診てくれる、信頼できる動物病院が見つかることを切に願っています。なかなかご自身で見つけるのは難しいかもしれませんが、触診をしっかりとしているかどうかは、一つ大きなポイントになるかと思います。当院では例えばかゆいという症状であっても、触診、聴診器を当てて診るといったことまで、丁寧に行っています。患者さんにとって信頼できる動物病院であるよう、今後も見落としのない確かな診療をめざしていきたい、そう思っています。散歩に行くような気持ちで、気軽にお越しください。