林 佑将 院長の独自取材記事
青葉どうぶつ医療センター
(横浜市青葉区/青葉台駅)
最終更新日: 2025/01/30

ガラス張りのモダンな外観が目を引く「青葉どうぶつ医療センター」。2階建ての広々とした造りで、待合室では活発な動物もおとなしい動物もストレスなく過ごせそうだ。院長の林佑将(はやし・ゆうた)先生は大学病院やアメリカの大学などで外科の研鑽を積んできた経験を持つ獣医師。高度な外科手術を得意とし、「医療センター」の名のとおり、専門的な医療を提供している。同時に町の動物病院ならではの親しみやすさもあり、日々のケアに通うのにも便利だ。子どもの頃から大の動物好きで、現在も3匹の犬と1匹のオーナーでもある林院長。飼い主の気持ちにも親身になって寄り添う。大切にしている「飼い主さんにできるだけ幅広い選択肢を提示する診療」とはどのようなものなのか、明るい院内で詳しく話を聞いた。(取材日2024年12月17日)
カフェのような空間で高度医療も日々のケアも提供
小さな頃から動物が大好きだったそうですね。

はい。幼稚園の頃から近所の動物園に通いつめるくらい動物たちに夢中で、憧れの職業は飼育員さんでした。ところが、虐待を受けた動物の特集をテレビで見て「けがをしている動物を自分の手で治したい」と獣医師を志すようになったんです。日本獣医生命科学大学では整形外科のチームに所属し、卒業後は日本獣医生命科学大学付属動物医療センター、カリフォルニア大学デイビス校などで軟部外科、腫瘍外科などの研鑽を積みました。帰国後に勤務した安田獣医科医院は今はもうありませんが、町の動物病院で治療を実践する方法、ホスピタリティーの大切さなどすべてを学んだといっても過言ではありません。
その後、東京農工大学農学部附属動物医療センターに入局されたのはどのような理由からでしょうか?
症例数が桁違いに多いアメリカで学び「外科の専門性をもっと高めたい」という思いは常にありました。そんな中で、東京農工大学農学部附属動物医療センターが小動物外科の専門医養成機関の一つであると知り、門戸をたたいたんです。腫瘍外科では数多くのがんの手術を担当。抗がん剤の入院治療もさまざまな症例を経験し、がん治療は私の得意分野の一つとなりました。その後に勤務した動物先端医療センター・AdAMでは神経外科と整形外科の経験を積み、2022年に開業しました。6歳から過ごしてきた愛着のあるこの町で、少しでも地域の方々のお役に立てればと思っています。
こちらのクリニックの特色をお聞かせください。

カフェのような気やすい外観でありつつ、日々のケアから高度医療までオールラウンドに対応しているクリニックです。私が専門としている外科はもちろん、消化器・循環器・呼吸器・腫瘍などの内科、皮膚科などの診療もしています。超音波、内視鏡、エックス線などの検査装置の他、歯科用エックス線検査装置も備えています。歯科、口腔外科も力を入れています。獣医師は2人いて基本的に二診体制です。スタッフは非常勤を含めて5人在籍していて常時2人はいるようにしていますね。火曜日以外は、土日祝日も含めて9時〜12時、16時〜20時までの診療として、12時〜16時を検査と手術の時間にしています。
高度な外科手術が強み。飼い主の心のケアも忘れない
専門である外科で、最近よく手がける手術などはありますか。

犬の前十字靱帯断裂に対するTPLO手術(脛骨高平部骨切り術)をすることが増えていますね。前十字靱帯断裂は犬によくある疾患でいろいろな術式がありますが、アメリカで最も一般的なのがTPLO手術です。合併症も少なく、術後の回復が早いというメリットがありますし、私はTPLO手術の経験も豊富なのでぜひご相談ください。その他、尿道閉塞の解除のための治療をすることも多いですね。過去に手術をしたものの「歩き方がおかしい」「おしっこの様子が変」という初診の方も少なくありません。院内でできる外科手術が多彩で、迅速に対応できるのも当院の特色です。何でも大学病院に紹介するということはないのでご安心ください。
診療にあたって大切にしていることは何ですか。
できるだけ治療の選択肢を広く提示して、患者さんに納得して選んでいただけるようにすることです。飼い主さんとペットは一組一組が異なる状況にあります。金銭的に余裕がない方、忙しくて通院時間がなかなか取れない方もいるでしょう。飼い主さんが本当は何を望んでいるのか、人間を見る力も問われます。どうしても助けられない場合もありますが、「助かりません」と言うだけではだめです。飼い主さんと動物たちがより良く最期の日々を過ごせるよう、緩和ケアを提案することもあります。獣医師の仕事は単に動物の病気を治療するだけではなく、犬や猫を通して飼い主さんの心を楽にすることです。安楽死という動物特有の選択肢もあり、答えがなかなか出ないことも少なくありません。それでも、誕生から看取りまでを見守るのは獣医師の任務だと考えています。
これまでの診療の中で忘れられない経験はありますか。

獣医師になって最初に診た黒いラブラドールのことは忘れがたいですね。末期の腎不全でしたが、飼い主さんは音楽家で家を空けることも多く、ずっと入院していたんです。少しでも良くしたいと論文を探したり、いろいろな先生に聞いたりと、やれることはやり尽くしても改善は見られませんでした。私もまだ若くて、その頃はまだ飼い主さんの表情の変化から思いを察するようなスキルもなかったですね。だからこそ、飼い主さんの考えを正しく共有するために、とことん話し合いました。飼い主さんは最終的には安楽死を選択されたのですが……痛みを伴わないはずのない結論に至るまでの長い時間を今でも時々思い出します。
先進的な医療にも意欲。幅広い選択肢を飼い主に
今後の展望についてお聞かせください。

来年には獣医師2人、スタッフ5人が新たに加わる予定です。開業当初は私と妻の2人だけでのスタートでしたが、いずれは20〜30人規模のクリニックにできたらと、スタッフが動きやすい導線にも配慮しています。今、2階は何もありませんが、いずれは手術室と検査室を移す予定です。1階の空いたスペースにはCTを導入し、より充実した診療を提供できたらと考えています。また、常に国内外の最新情報にアンテナを張り巡らせ、先進的な治療を提供していきたいですね。例えば、全身麻酔が難しい高齢の動物に対してアプローチすることをめざした再生医療分野の研究などを注視しています。当院も、飼い主さんの安心のためには24時間体制での診療が理想的ではあるので、いつかかなえられたらとも思っています。
お忙しい毎日ですが、休日はどうお過ごしですか。
妻、年長さんの息子と3人で動物園や水族館によく行きます。でも、一番よく出かけているのは年間パスポートも持っている千葉のテーマパークかもしれません(笑)。家で一緒に住んでいる動物たちとゆっくり過ごす休日も多いですね。犬3匹、猫1匹がいて、当院の看板犬でもあるスタンダードプードル、ペギニーズ、ペギニーズとビションフリーゼの雑種、ノルウェージャンフォレストキャットたちが、いつも元気いっぱいです。妻は動物飼育の専門学校で学んだ経験もあり、上手にお世話をしてくれているので助かっています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

大切なペットのためにも、治療は心から納得した上で受けるようにしてください。当院では可能な限りの選択肢を提示し、しっかりと説明して、飼い主さんが後々「これで良かったのだ」と選択を後悔しない診療を心がけています。もし、当院の提案にピンと来なかったらセカンドオピニオンを求めるのは飼い主さんの当然の権利です。逆に、当院へのセカンドオピニオンの相談も歓迎しています。手術だけを当院で受け、後はかかりつけの先生に戻りたいといったご希望にも対応できます。予防にも注力し、ワクチン接種、フィラリア予防、ノミ・ダニ予防、健康診断、がん検診なども行っていますので、気軽にご相談ください。