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犬の前十字靱帯断裂の症状と治療法 回復をめざす流れとは

青葉どうぶつ医療センター

(横浜市青葉区/青葉台駅)

最終更新日: 2025/05/09

犬の膝関節疾患の中で、膝蓋骨脱臼(パテラ)と同じくらい発症率が高いといわれる前十字靱帯断裂。人であれば激しい運動中に起こりやすいが、犬の場合は加齢や肥満なども原因として多いという。そんな前十字靱帯断裂が発症した際は、早期受診と専門家による適切な治療、そして丁寧な術後ケアが重要だと話すのは、「青葉どうぶつ医療センター」の林佑将(はやし・ゆうた)院長だ。整形外科・神経科・腫瘍科を中心に、幅広い領域の専門知識・技術を持つ獣医師である。「前十字靱帯断裂は放置すると重症化の恐れがあり、治療法によっては専門性が必要で、さらに予後のリスクがある病気です。発症の可能性がある場合は、専門家を頼りにしていただくのが良いでしょう」と話す林院長に、前十字靱帯断裂の症状や治療法、術後のケアについてを教えてもらった。(取材日2025年4月15日)

自然治癒はしない前十字靱帯断裂。早期受診、専門家による治療、綿密な術後ケアが良い予後をめざすのに大切

  • Q.そもそも前十字靱帯断裂とはどのような病気ですか?

    A.

    ▲ガラス張りの外観が目印

    前十字靱帯断裂とは、膝関節の中にある大腿骨と脛骨の前側を結びつける前十字靱帯が、何かしらの原因で部分的あるいは完全に切れてしまう病気のことです。前十字靱帯が切れてしまう原因には、加齢による靱帯の強度低下、肥満による靱帯への大きな負荷、ホルモンや他の病気の影響、急なジャンプやカーブといった急激な外力が加わることが挙げられます。猫も発症しますが比較的犬のほうが発症しやすい傾向がある他、どの犬種でもなる可能性がありますので、犬の飼い主さんには知っておいていただきたい病気の一つですね。
  • Q.犬に前十字靱帯断裂が起きるとどのような症状が現れるのですか?

    A.

    ▲整形外科・神経科・腫瘍科を中心に、研鑽を積んできた林院長

    前十字靱帯断裂が起きると、支えを失った脛骨が前方に滑り出てしまい、体重をかけられなくなります。そのため断裂した後ろ足を上げたり引きずったり、かばうような歩き方をするようになるのです。また前十字靱帯断裂は強い痛みも伴うことから、犬によっては触ろうとするだけで嫌がり怒るケースも。靱帯は一度切れてしまうと、再生することはありません。さらに放置すると、最初は部分断裂でも時間経過によって完全断裂になったり、大腿骨と脛骨の間にある軟骨組織・半月板も損傷したりと、悪化の一途をたどることに。ですから犬の足に不調がありそうだと思ったら、すぐに動物病院を受診するのがお勧めです。
  • Q.犬の前十字靱帯断裂の検査・診断方法、治療法を教えてください。

    A.

    ▲安心安全な手術の実施をめざす

    まずは飼い主さんのお話をお聞きした後、関節や筋肉などの部位を触診でチェックします。さらにエックス線検査を行い、病気の診断につなげます。当院ではより精密な診断をめざせるように、2025年秋頃にCTを導入する予定です。前十字靱帯断裂だとわかったら治療に入ります。この時に一般的に提案される治療法は主に3種類。1つ目は保存療法といい、安静と消炎鎮痛剤の投与を1~2ヵ月ほど続けて膝関節の安定化を図る方法です。2つ目はワイヤーを用いて大腿骨と脛骨を結びつけて、膝関節の安定化をめざす関節外制動術。そして3つ目はTPLO(脛骨高平部水平化骨切り術)です。当院ではTPLOを提案させていただくことが多いですね。
  • Q.犬の前十字靱帯断裂に対して行うTPLOとは何ですか?

    A.

    ▲画像を用いてわかりやすい説明を心がける

    TPLOとは、脛骨を切り大腿骨と接する関節の角度を調整することで、膝関節への負担軽減と安定化を図る手術のことです。合併症のリスクが少なく術後の回復が早まることが期待できます。また関節外制動術は膝関節が安定する前にワイヤーが緩んだり切れたりして再手術となる恐れが少なくありませんが、TPLOは再手術のリスクも低いと考えられているのです。こうしたことから獣医療の先進国とされるアメリカでは、一般的な手術とされています。私も多様な診療・手術に携わったり海外で研鑽を積んだりした経験から、前十字靱帯断裂に対する治療はTPLOが良いと考え、優先的に提案させていただいていますね。
  • Q.前十字靱帯断裂を治療した後の経過を教えてください。

    A.

    ▲不安なことがあれば、すぐに相談を

    合併症などのリスクを考慮し、術後5日~1週間ほどは入院していただきます。また前十字靱帯断裂の治療を含む関節の手術の後は、基本的に腫れるものです。ですから入院中は手術を行った膝関節のある足全体を包帯などでしっかりと固定し、保冷剤を用いて患部を冷やして、少しでも腫れを抑えられるように工夫します。状態に応じて、消炎鎮痛剤を投与するなどの内科治療を併せて行う場合もありますね。経過が良好であれば退院となりますが、しばらくはケージ内で生活してもらったり、散歩の時間は少しずつ増やしたりと、自宅でも安静を心がけていただきます。順調に回復すれば、術後2ヵ月ほどで以前のような生活に戻ることも見込めると思います。

動物病院からのメッセージ

林佑将院長

近年、TPLOは日本でも一般的になってきました。ですが提供するには専門的な知識・技術を持つ獣医師と専用の設備・機器が必要なので、対応できる動物病院はまだ多くありません。当院なら専門家も設備・機器もそろっていますので、前十字靱帯断裂の検査から診断、治療、術後ケアまで一貫して行えます。また前十字靱帯断裂はたとえ適切な治療を行っても、予後のリスクが少なからずある病気です。そのことから当院では、病気・検査・治療について丁寧に説明すること、そして飼い主さんがしっかりとご理解・ご納得してから診療することを重視しているのです。愛犬の足に不調があると感じた際に頼りにしていただけましたら幸いです。

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