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佐藤 将人 院長の独自取材記事
おひさま動物病院
(大和市/大和駅)
最終更新日: 2023/12/13
大和駅から徒歩8分、国道沿いで車でのアクセスも良好な「おひさま動物病院」。ガラス張りの動物病院で、院名どおりの太陽のような温かい笑顔で迎えてくれるのが佐藤将人院長だ。飼い主にはわかりやすい言葉で丁寧に話し、心配しながら待つ家族のために診療内容をまとめた文章も渡してくれる。動物たちとの生活を優しく支える存在でありたいという思いは強い。なぜなら、当たり前のような日々が一瞬で失われるのを救急医療専門の動物病院で数多く見てきたからだ。明朗快活に話す佐藤院長だが、ただ明るいだけではなく、ハードな経験も重ねてきたからこその強さを感じさせた。先進の検査機器を備え、手術室もある院内で、診療にかける思いなどを詳しく聞いた。(取材日2023年12月1日)
救急医療での経験から予防重視の動物病院を開業
獣医師をめざした理由から教えてください。
実家で犬や猫を飼っていて動物と過ごす時間が多く、きょうだいのように一緒に育ったことが一つの理由だと思います。また、小学校の時に読んだ、札幌を舞台にした獣医学生たちの漫画にも影響を受けていますね。僕自身、札幌出身なので親近感もありました。その後、念願かなって酪農学園大学獣医学科に進学、アイスホッケー部と日本拳法部にも所属して充実した毎日を過ごしました。東京の大学と比較すると牧場が学内にあり、実際に牛を扱う実習が多く、卒業後は産業動物に関わるような業種に進む人が多かったです。でも、僕は開業したいとずっと考えていて、「たくさんの症例を診ることが実力になる」と症例数の多い動物病院を探し、地元の札幌ではなく、東京の動物病院に入職しました。
勤務医時代のご経歴をお聞かせください。
初めに就職した東京の動物病院では早いうちから診察にも手術にも携わり、夜間診療も体験できたのはよかったです。1年が数年分に相当するような日々を6年間続け、希望どおり数多くの症例を診られたのは感謝しています。さらに、その後に4年間勤務したALLONE八王子動物医療センターでの経験も得難いものでした。24時間体制の動物病院で救急対応や集中治療について深く学ぶことができました。腫瘍や心疾患の末期で急に倒れた子の治療も日常茶飯事で、あらためて人の医学書で学び直すこともありました。救急の現場では重症の子がとても多く来院されるため、1日に救えない子が何例もあることに最初はどの獣医師もショックを受けるのですが、いつしか慣れてしまうんです。そうしなければ治療を続けられませんが、「慣れてはいけないのではないか」という個人的な疑問も開業を後押ししました。
大和での開業に至った思いを詳しく伺わせてください。
救急の現場では重症例ばかりを診てきました。だからこそ、「こうなる前にできることがあったはず」と、先進の検査体制を整えた早期発見・早期治療ができる動物病院を開業したいと考えるようになったんです。大和を選んだのは妻の実家に近く、以前からなじみがあり町の雰囲気を気に入っていたというのもあります。実は妻も同じ救急対応の現場でともに苦労を重ねた獣医師仲間です。今は子育てを頑張ってくれていますが、せっかく積み上げたキャリアをいずれは存分に生かしてほしいので、子どもを預けられる実家が近いほうがいいかなとも思いました。
先進の検査機器を備え、難しい手術にも幅広く対応
現在、どのような方がいらっしゃっていますか。
基本的に犬と猫だけを対象にしているのですが、近隣に続々と建設中のペット可マンションにお住まいの方が多いですね。人も犬も猫も足を踏み入れやすいように、外から院内の様子がよく見えるガラス張りにしています。猫は犬の鳴き声や臭いがストレスなので、待合室、診察室、ペットホテルすべてを犬用と猫用に分けています。デリケートな猫に配慮して、さらに仕切りを作るなど工夫しているためか、やや猫が多いかもしれません。犬種でいうと、このエリアはフレンチ・ブルドッグ、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークが多いように感じています。救急やセカンドオピニオンでいらして、そのままかかりつけにしてくださる方もいらっしゃるのはありがたいですね。
診療の特色について教えてください。
整形外科、循環器科、てんかんなどの神経疾患に関する豊富な経験を生かした一般診療の他、予防診療、救急医療にも力を入れています。避妊・去勢手術はもちろん、脱臼、ヘルニア、膀胱結石、脾臓摘出、胃切開、腸切開など手術の守備範囲は広いです。内視鏡も誤飲・誤食したものを切開せずに取り出すのに使用しています。また、消化管の腫瘍が疑われた際などに内視鏡で消化管組織を一部切り取り、生検することも可能です。超音波検査機器は、解像度の高いハイスペックなものにこだわりました。早期発見・早期治療をめざす上で非常に重要な医療機器だからです。特に消化器疾患、心疾患の検査に力を入れています。椎間板ヘルニアやてんかん発作などでMRI検査が必要な場合は「日本大学動物病院ANMEC」、集中治療が必要な時は「横浜動物救急診療センター VECCS Yokohama」や「神奈川どうぶつ救命救急センター」などを紹介可能です。
診療で大事にしていることを教えてください。
できるだけワンちゃんネコちゃんが喜んでおひさま動物病院に来てもらえるように頑張っています。医療行為を行う場所なのでなかなか難しいのですが、少しでも動物たちにストレスを与えないために、できるだけオーナー参加型の診療にすることを大切にしています。診察室での体重や体温の測定、ワクチン接種などの際、できればオーナーさんに抱っこやよしよししてもらったり、優しく声かけしてもらったりするようにしています。そのほうが落ち着いて検査や処置をさせてくれることが多いです。もちろん「自分で抑えるのは怖い」という場合は、動物とのコミュニケーションが得意なスタッフが対応しますのでご安心ください。
犬や猫の「秘密」に気づき健康を守っていきたい
今後の展望についてお聞かせください。
まず、勤務医時代には後輩の指導にもあたっていた整形外科領域の手術にさらに力を入れるため、機材も拡充していきたいです。また、悪くなってから慌てて来るのではなく、できれば元気な時に予防のために通っていただける場所にできたらと思っています。今でも散歩の途中に入ってこようとするワンちゃんなどもいて、そんな子がもっと増えたらいいですね。地域に密着してオーナーさんたちのコミュニケーションの場にもできたらと考えています。目標としているのは、犬にも猫にも人にもフレンドリーで、立ち寄りやすい動物病院です。トリマーなどのスタッフも増やしていこうと思っていますが、誰もが働きやすいように穏やかな人間関係を大切にしたいです。命に関わる仕事であり、急患が重なる時など瞬間的にかなり忙しくなることもある職場だからこそ、どんな時もみんなで助け合って乗り越えていけるように明るく穏やかな職場環境をつくるように心がけています。
お忙しい毎日ですが、リフレッシュ法があれば教えてください。
格闘技が好きで勤務医時代にはキックボクシング、ブラジリアン柔術などの格闘技ジムに通っていましたが、今はたまにスポーツジムで筋トレするくらいですね。開業して少し自由にできるようになったのがギターです。スタッフルームにギターを置いて、休憩時間にたまに弾いています。ギターは中学時代からやっていて、バンドを組んでいたこともあるんですよ。邦楽も洋楽も好きでよく聴きます。スタッフルームには動物病院で飼っている文鳥、トカゲ、カエルがいて、スタッフたちの癒やしにもなっていますね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
犬や猫は言葉を話せません。それどころか、本能で体調が悪いのを隠そうとさえします。野生では弱いところを見せたら攻撃されてしまいますから、内緒にするのがうまいんです。救急の現場で働いていた時も、「この子はこれまで一度も病気をしたことがなくて」というオーナーさんがたくさんいましたが、調べてみると実はかなり前から患っていた子も少なくありませんでした。そんな、ワンちゃん、ネコちゃんが隠している「秘密」を見つけるためにも、定期的な健康診断は大事です。できれば、かかりつけの動物病院を持って、その子の「いつも」をわかっている獣医師に診てもらうのがいいと思います。ちょっとした変化が大病のサインということもありますからね。若い子はもちろん、中年以降の子の不調こそ「もう年だから」で済ませず、末永くきめ細かに見守らせていただければと思います。