早稲本 隆司 院長の独自取材記事
ドギーズアイランド 松陰神社前動物病院
(世田谷区/松陰神社前駅)
最終更新日: 2024/02/20
世田谷線の線路に交差して、松陰神社の参道でもある商店街が伸びる松陰神社前駅。さまざまな世代が行き交い、活気にあふれるその商店街に面して、2023年12月に「ドギーズアイランド 松陰神社前動物病院」がオープンした。同じフロアにグルーミングサロン、地下に広々としたペットホテルを併設。「皆さんの大切な家族であるペットの健康維持をお手伝いできれば、こんなにうれしいことはありません」と早稲本隆司院長。一日も早く地域に頼られるクリニックをめざしたいと話す院長に、同院の特徴などを聞いた。(取材日2024年2月1日)
グルーミングサロンやペットホテルを併設する動物病院
さまざまな現場での臨床経験を経て、こちらの院長になられたきっかけは?
当院は、愛犬と過ごせる複合リゾート施設を運営するグループ会社の新たな取り組みとして、渋谷区松濤、目黒区学芸大学の系列院と並んで立ち上げられた動物病院です。医療を軸としながら、グルーミングやペットホテルのサービスともつながることで、大きなメリットを生み出せる点が特徴です。動物たちとの暮らしをより良いものにするためのトータルサポートをという理念に強く共感し、動物とご家族の日常を支えることをめざし努めています。こうした施設を理想としながらも、実際に形にすることは一人の獣医師の力では難しいと実感していたこともあり、こちらであれば、獣医師として私自身の思い描く医療とサービスの連携を実現できるとの思いから、こちらのチームに入らせていただきました。
こちらではグルーミングサロンやペットホテルを併設しているのですね。
系列院ごとに特色がありますが、私は、当院の特色は地下に設けられたペットホテルだと思っています。ペットホテル自体は併設している動物病院も少なくないのですが、こちらの大きな特色はホテル用の居室を専用に設けてある点。入院室と同様のステンレスケージで動物たちを預かる形式が一般的となっていますが、こちらでは木材などぬくもりある素材を多用した、居心地の良い空間でお預かりしています。地下をほぼ丸ごとホテルフロアとし、運動用のスペースも十分に確保。プログラミングにより照度が調整される、生体リズムに配慮した照明も採用しています。また、区画を分けて猫専用の預かりスペースを設置しているのも特徴です。場所慣れが難しい猫ちゃんではペットシッターを利用するケースも多いようですが、こちらなら安心してお預けいただけるかと思います。
診療の特徴を教えてください。
専門性を追求するのではなく、ゼネラリストとしての一次総合診療と、予防医療に力を入れていることが特徴です。これまで元気に過ごしてきた動物たちが、いざ病気になってしまった時、すぐに適切な受診先がわかる飼い主さんは多くないのではないでしょうか。当院では健康な状態にある時から動物たちやご家族と深く関わり、病気が見つかった際には必要に応じて専門病院や大学病院など、適切な二次医療施設へとご紹介します。少し格好つけた言い方になりますが、ご家族と専門病院をつなぐ、地域におけるハブでありたいと思うのです。従来より長生きするペットが増えたことから、近年では腫瘍関係や認知症といった老齢性疾患が増えています。こうした疾患も早期に見つけ、適切な診療へとつなげていきたいと考えています。
多彩な健康診断コースを用意し、病気の早期発見に尽力
病気を早期発見するため、健康診断にも力を入れていらっしゃるとか。
はい。血液検査と尿・便検査のみを行う手軽なクイックコースから、画像診断を加えたコースや中年齢以上で甲状腺疾患や歯周病の検査を加えたコース、心疾患を診るコースまで、各種取りそろえています。他に、心臓、腎臓などの臓器別に設定したコースもあり、犬種や猫種、既往症などに合わせてお選びいただけます。また、ペットホテルでの預かりと健康診断を組み合わせてご利用いただくことも可能です。検査前のつらい絶食なども、ホテル環境での専任スタッフによる適切な管理の上で受けていただけます。
ペットホテルと連携していることで、そのような対応もできるのですね。
そのほかにも、ペットホテルやグルーミングといったサービスと連携することで、診療という限られた時間では把握しづらいペットの変化にも気づきを得やすいというメリットがあります。また、持病があるなどの理由で他の施設で対応を断られる子も、動物病院に併設されていることで、対応しやすいという安心感もあるでしょう。グルーミングはおしゃれの観点からするものと思う方もいるようですが、3週間ほどで新陳代謝するといわれる犬の皮膚では、汚れがたまると皮膚病の原因にも。これは、年を取ったり、病気になったりした犬でも同様です。定期的にグルーミングを受けることが、健康の維持にも役立つのです。当院に併設するグルーミングサロンでは、界面活性剤による肌への負担を極力抑えるため、少量のシャンプーでも十分に汚れを落とすことができるシャワーマシンを導入しています。高齢や持病のある子でも、安心して受けていただけるでしょう。
診療の際に心がけていらっしゃることは何ですか。
家族であるペットの病気を、ご家族に理解して帰ってほしいということです。帰宅後に別の家族から「どうだった?」と聞かれて、「何となく大丈夫みたい」といった回答しかできなかったら、質問した家族としては「その動物病院で本当に大丈夫なのか?」と不安になりますよね。付き添われたご家族が、帰宅後にご自身の口で病状や治療について説明できるレベルまでご理解を深めていただけるよう、言葉を置き換えたり、具体例を挙げたりしてわかりやすく説明するように心がけています。メモを書いて説明することも多いですが、書いたメモはお渡しし、帰宅後に見返していただけるようにも努めています。
立ち話程度の相談も可能。散歩のついでに気軽に来院を
院長は動物たちとの関係づくりに長けていらっしゃると伺いました。
獣医師としては当たり前のことをしているだけですが、たいていのワンちゃん・猫ちゃんは初対面でも体を触らせてくれます。飼い主さんとしては診察室に入ったらすぐに触るのだろうと思うかもしれませんが、まずは様子を見て、あいさつ代わりにお尻からなどゆっくり触らせてもらうのがポイントです。目を合わせない、上から手を出さないなどの注意点はありますが、お尻の脇から背中、肩、首といった順で、痛みのある部分を避けてゆっくりと触ります。あと、飼い主さんの緊張は動物にも伝わりますから、十分なコミュニケーションで緊張をほぐしておくことも大切です。と、偉そうに話していますが、時にはお散歩中のワンちゃんと道ですれ違う際に避けられてしまうこともあって、「獣医師っぽさが消せてないのかな」と反省することもありますよ(笑)。
獣医師をめざされたきっかけがあれば教えてください。
3歳の頃、家で飼っていた犬の具合が悪く、動物病院に付き添ったことを覚えています。先生に「明日には良くなるから迎えにきて」と言われたものの、翌日行ったら母の到着を待っていたかのように、その腕に抱かれて亡くなってしまったのです。獣医師となった今では、避けられない状況であったことも理解できます。しかし、その時に「自分が治せる獣医師になろう!」と思ったのですね。そうした経験から、今でも付き添いで来る子どもたちへの声がけにはより慎重になっています。時には心が抉られるような質問を受けることもありますし、「先生も頑張ってやってみるよ」としか言えないような状況も。ただ、常に正直でわかりやすくありたいとの思いは持っています。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
近くに大きな公園があり、由緒ある松陰神社の参道でもあるこの駅前通りは、モダンとレトロが共存するすてきな空間。いろいろな世代が生活していらして、ほど良く活気があります。この通り沿いで、お散歩やお買い物のついでにお立ち寄りいただける動物病院を運営できることを、心からうれしく思っています。動物たちとご家族のメリットを一番に考え、皆さんの大切な家族であるペットの健康維持をお手伝いできれば、こんなにうれしいことはありません。元気な動物たちがもっと元気になれるようサポートしていきたいとも考えています。立ち話程度のご相談でも大歓迎です。ぜひお気軽にお立ち寄りください。