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麻酔リスクの高い症例や無症状にも対応 無麻酔CT検査について

動物検診センター キャミック城北

(さいたま市南区/中浦和駅)

最終更新日: 2024/10/11

直接見ることができない体内の様子を立体的に把握できるCT検査。骨や歯の異常や、胸部・腹部の腫瘍などを迅速に発見でき、適切な治療に結びつけられる有用な検査だ。一定時間体の動きを止める必要があるため、麻酔下で行われることが多いペットのCT検査だが、経験豊富な獣医師・看護師の操作のもと、短時間での撮影がかなう新鋭機器と専用保定具の登場により、無麻酔での検査も可能となってきている。動物画像検査を専門とする「動物検診センター キャミック城北」センター長の伊藤泰毅先生は、「麻酔への不安から病気を見つける機会を逃すのは、ペットにとって不幸なこと。無麻酔検査という新たな選択肢があることを知り、適切な治療へ結びつけるために活用してほしい」と話す。そんな伊藤先生に、ペットの無麻酔CT検査について詳しく聞いた。(取材日2024年9月17日)

ペットの負担を抑えながら、腫瘍や骨・歯の異常を迅速に発見できる無麻酔CT検査

  • Q.こちらではCT検査を数多く手がけられているそうですね。

    A.

    ▲複数の獣医師が連携して検査を実施すると話す伊藤院長

    動物の画像検査と診断を専門とする当センターでは、年間数多くのCTおよびMRI検査を実施しています。中でも、心電図同期撮影が可能なCT検査機器を導入しており、拍動によるブレが生じやすい心臓周辺でもブレのない画像を得ることが可能です。また、全身麻酔のリスクが高いケースや、飼い主さんの希望で麻酔を避けたいといった場合には、無麻酔CT検査にも対応。すべての検査は担当医を中心とした複数の獣医師チームにより実践されており、バイタルモニタリングも徹底しながら、安全性に配慮しています。読影・診断も複数の目でチェックするなど、見落としを防ぐための体制を整えています。
  • Q.CT検査ではどのような疾患を発見できるのでしょうか。

    A.

    ▲メスを入れずに、体内の状態を把握できる

    CT検査は主にがんを含む腫瘍の診断に用いられます。超音波検査でしこりが見られた場合に、その大きさや場所を特定して適切な治療へと結びつけるのがCT検査の主な役割です。肺がんや肝臓がんといった内臓の腫瘍に加え、鼻血や鼻詰まりがひどい場合に鼻腔のがんが見つかるケースなどもあります。また、誤飲・誤食による体内異物や、骨折や脱臼、外傷、奇形など、骨や歯の異常を調べるのにも有用です。動物たちは痛みや違和感を感じたとしても、上手にそれを伝えることができません。CT検査は、そんな動物たちの病気や異常を早期に発見し、早期治療へとつなげるのにとても重要な検査となっています。
  • Q.ペットの負担を考慮した無麻酔CT検査について教えてください。

    A.

    ▲負担を軽減した検査に尽力する

    動きを止める必要があるCT検査は、基本的に全身麻酔下で行います。麻酔リスクが高い場合や気管挿管が難しい場合には、検査自体を諦めざるを得ないのがこれまでの状況でした。しかし、専用の保定具を使用し、経験を積んだ獣医師の操作のもと、高機能CTによる高速撮影を行うことで、麻酔をかけずに検査実施が可能となりました。保定具の装着が可能な10キロ未満の犬猫で、うつ伏せの姿勢を保持できる子に限定されますが、麻酔なしで造影検査を含めた検査が可能です。症状はないが念のため画像検査を受けておきたいというケースにも対応できます。麻酔リスクが高い症例はもちろん、麻酔を避けたいという飼い主さんの希望にも応えられます。
  • Q.無麻酔CT検査の流れについて教えてください。

    A.

    ▲けががないように丁寧に保定し、検査を実施する

    まず、飼い主さんに検査について詳しく説明する時間を取ります。ペットの性格や呼吸状態、関節痛の有無などで無麻酔検査が難しいケースがあることや、頭部・頸部の検査は困難であることなど、無麻酔CT検査について十分にご理解いただいた上で、実際の検査に入ります。処置室にて膝・肘が曲がらないように四肢に保定具を装着し、CT室に移動して寝台の上にうつ伏せで寝かせ、体の軸がブレないように上下左右から保定具で固定します。保定具が外れないようにバンドで固定し、撮影に入ります。ストレスを最小限にとどめるため、検査時間の短縮に取り組んでおり、保定具装着から検査終了までの平均時間は15分以内です。
  • Q.細胞診検査を組み合わせ、精度を重視した診断も行えるのですね。

    A.

    ▲さまざまな検査も併せて実施できる利点も

    麻酔下でのCT検査と同時に、超音波下で患部の組織を採取し、提携機関による細胞診を受けていただけるようになりました。CTの画像診断レベルは向上していますが、細胞診を組み合わせることでより精密な診断を下すことが可能です。細胞診のために改めて麻酔をかけることはペットの負担も大きく、CT検査と同時に行えないかとのご要望が高まっていました。とはいえ、これには専門性の高い技術と経験が求められ、グループ院の中でも当センターの一部の獣医師のみが行える検査です。胸腔内・腹腔内・体幹などの幅広い領域で、一度の麻酔で一歩進んだ診断をめざせる体制となりましたので、必要があればぜひご活用いただきたいと思います。

動物病院からのメッセージ

伊藤泰毅センター長

「以前飼っていたペットを麻酔トラブルで亡くした」という飼い主さんや、身近にそうした話を聞いたという方で、CT検査を避けている方が多くいらっしゃるようです。適切なケースを選んで、きちんとした管理のもとで行えば、麻酔は決して危険なものではありません。しかし、麻酔に対して不安な気持ちを拭えない方がいらっしゃるのも仕方のないことでしょう。現在では、麻酔を避けたいという方にも、検査を選べる選択肢が増えています。麻酔への不安から検査を避け、適切な治療を受けられないとしたら、それはペットにとって不幸なこと。ぜひ新しい選択肢があることを知り、ペットのためにも一歩を踏み出していただければと思います。

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