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山口史朗 院長の独自取材記事

希望ヶ丘動物病院

(横浜市旭区/希望ヶ丘駅)

最終更新日: 2023/01/22

毎日の通院を数日おきに、週1日に、やがて数ヵ月ごとに。たとえ治療のためでも、動物たちにとって病院は嫌な場所。「だから少しでも早く普段の生活に戻してあげたい」と山口史朗院長は優しく語る。動物や飼い主への深い思いやりは、自らも家族と猫9匹、犬2頭と暮らす経験から生まれるのだろう。相鉄線希望ヶ丘駅から徒歩4分、山口院長が獣医師、妻と妹がスタッフというアットホームな「希望ヶ丘動物病院」は、開業10年で地域に親しまれる動物病院として定着。「この町の獣医になるのが夢でした」という地元出身の山口院長は、病気に必要な治療と飼い主の希望をすり合わせ、丁寧で納得のいく診療を心がけている。その真剣さが伝わったのか「今は娘も獣医師志望なんです」と顔をほころばせる、温かな雰囲気での取材となった。 (取材日2014年9月11日)

動物たちと家族同様に接する、アットホームな動物病院

先ほど猫を見かけましたが、飼っておられるのですか?

いつもは専用の猫部屋や2階の自宅にいるのですが、休診時間はたまに院内に出てくるんですよ。合計すると猫が9匹、犬が2頭の大所帯になりましたね。うちにいるのは、飼い主さんや知人に拾われ、行くところが見つからなかった子たちです。私は実家で多くの犬や猫に囲まれて育ったので、一緒にいると心も体も癒やされますし、妻も娘も動物が大好き。そのためか、いつの間にかこれだけ増えてしまいました(笑)。この子たちを近くで見ていると、ちょっとした体調の変化などが勉強になり、それは病院で診る動物たちの参考にもなります。ここに残ってくれたのも何かの縁。そうした気づきを診療に生かせたら、この子たちもきっと喜んでくれるでしょう。

子どもの頃から希望ヶ丘にお住まいだそうですね。

はい。実家はすぐ近くで、大学にも実家から通いました。入学前から希望ヶ丘で「町の獣医さん」をめざしていて、卒業後はしばらく先輩の動物病院で経験を積み、2004年に開業したんです。診療を始めて10年ほどたち、少しずつ地域に恩返しをしている実感がわいてきました。最初はビルの1階を借りていましたが、数年前に家を建てて一部を動物病院にしたんです。もともと診療していた場所のすぐ隣で、交通の便などは同じ。しかし、お見えになる方には「テナントよりも自宅がいい。地に足をつけた感じで安心だから」と好評で、地域密着の診療という意味でも移転してよかったと思います。院内のレイアウトでこだわったのは、私が手の届く範囲に必要なものを置くこと。当院の獣医師は私一人で、基本的に飼い主さんの目の前で診療を行う方針です。あれこれ足りないと診療台から離れるたび、動物たちや飼い主さんは不安なまま取り残されますから、そういう診療はしたくなかったんです。

一緒に働いているスタッフはどのような方でしょうか?

今は私の妻と妹が当院で働いています。妻は動物看護師としての仕事に加え、受付、事務など全般を担当。同じ大学の同級生で同じクラブ出身なので、動物のことも私の考えも理解し、私の至らなさを補ってくれる半身のようですね。「飼い主さんにしっかり説明する」というのは、開業前に妻と話し合って決めた方針ですが、私はつい病気や治療方法が中心になりがち。そんなとき、妻が動物や飼い主さんの視点から助け船を出してくれるんです。診察が終わって説明を始めたとき、犬や猫が診療台の上で縮こまっていたら、「もう降ろして大丈夫じゃない?」といった助言もしょっちゅう。また飼い主さんの表情にも気を配り、「今の話は少しわかりにくい感じだったから、後でもう一度話してみたら?」と教えてくれることもあります。トリマーとして別のところで働いていた妹にも、頼んで当院に来てもらいましたが、妻と同様、私が気づかない部分をフォローしてくれます。飼い主さんも、獣医師の私より彼女たちの方が話しやすいことも多々あるでしょう。2人とも当院には欠かせない存在です。

理想の治療と飼い主の希望をすり合わせて、納得いく診療を

先生が診療で心がけていることを教えてください。

飼い主さんや動物たちが無理することなく、診療内容、費用面や精神的な部分でも、負担をかけない方向での治療を心がけています。診療に対する考えは飼い主さんごとに違い、どのような対応をするかも千差万別。その方の希望をふまえ、「どんな治療でも受けさせて治したい」という方には、設備もそろい信頼できる先生がおられる二次診療施設を紹介し、「ずっと痛かったのだから痛みをとる治療を優先」という方には、それに合った治療方法を検討します。また、どのくらいで治るかの目安をお伝えすることも、飼い主さんの不安を和らげるには大切なこと。私自身はあまり待てないタイプなので、何とか早くよくなってほしいと考えてしまいますね。そして毎日通院が必要なら数日おきに、やがて1週間に1回で済むようにと、病院に来る負担も減らせるようにできればと努力しています。

飼い主の希望を最優先とお考えなのでしょうか?

最優先すべきは、飼い主さんのご希望で間違いありません。しかし、一方で獣医師としてお勧めしたいと考える治療もあります。例えば、疾患によっては内科療法で散らしても、一度損傷した部位が残っていると再発や合併症を起こし、命を落とす可能性が高くなります。このため、その部位を取り除く手術がベターな選択なのですが、飼い主さんが動物の体を傷つけたくない、麻酔は怖いとお考えのこともあるんです。そのご希望と私たちの考えがどう折り合えるかは難しい問題です。麻酔や手術の怖いイメージを取り除けないか、手術を任せていただくには何が大切か、何度も話し合って納得できる着地点を探ることも、獣医師の大切な仕事だと考えています。もし自分が飼主さんの立場なら、どの治療を選ぶかなど、個人的な意見も交えて話をすることもあります。

これまでに思い出に残る出来事はあったでしょうか?

「こんな治療で助かった」というエピソードより、長く心に残るのは力が及ばなかったケースです。ある猫はお利口で辛抱強く、痛みの強い治療にもずっと耐えてくれました。別の病気も併発して難しい状況と飼い主さんにお伝えした数日後、残念ながらご本人がお勤めの時間に、私が看取ることになったんです。そのときは、病院よりご自宅で看取られる方がよかったとの思いがぬぐえませんでした。しかし仕事を終えた飼い主さんから、「長くつらい思いから楽になったんですね」と言っていただいて、私は思わず涙をこぼしてしまった。獣医師がこのような場面で泣くのは、飼い主さんの悲しみを大きくするので、本来はいけないことです。しかし、このときは恥ずかしながら、我慢できませんでした。その方は今は離れたところにお住まいでお会いする機会がないのですが、悲しみを乗り越えられて、その子がくれた幸せな時間と同じ時間を新しい子と一緒に過ごしていらっしゃることを願っています。

近くの獣医師と、診療に役立つ人的ネットワークを形成

土日も診療されていますが、お休みはどう過ごされていますか?

当院の休診日は水曜日、隔週の日曜日です。そこで予定が合えば家族で果物狩りなど、おいしいものを食べに出かけることが多いですね。知人に誘われて始めた釣りも、それ自体の面白さに加え、釣った魚を家族で食べるのも楽しみの一つ(笑)。大抵は緊急時に病院に戻れるよう近場にいますが、年に数回は旅行などで不在にすることもあります。そんなとき頼れるのは同じ旭区で診療をしている先生たち。代わりに診ていただくようお願いし、飼い主さんにも「○○先生が診てくれますから大丈夫」とお伝えして出かけるんですよ。逆に私が代わって診させていただく場合もあり、どちらも診療内容を共有して、その後のケアをスムーズにする連携が生まれています。これなら飼い主さんも気兼ねなく他の病院を利用できますし、動物たちもすぐに診てもらえて安心。みんなが「Win-Win」になる関係だと思いますね。こうした病院同士の連携は普段から盛んで、以前に針を飲み込んだ子が来院したときは、当院だと開腹手術になってしまう。そこで内視鏡をお持ちの先生に相談して無事に取り出していただいたこともありました。

旭区内の獣医師といい関係が築けているのですね。

その通りです。振り返れば学生時代から、私は恩師や先輩、後輩と周囲のみなさんに恵まれたと実感します。例えば大学を卒業したとき「うちで働かないか」と誘ってくれた方は大学のクラブの大先輩。たくさん動物を診る大病院に入り、4年間経験を積んだおかげで開業できたようなものです。先輩に師事しながら、動物はどんなときに嫌がるか、飼い主さんはどんな気持ちでおられるかなど、現場で必要な知識や技術、心構えを身につけました。そして今は妻や妹が非常に頼れる存在ですし、小学6年生の娘も動物が大好きで「将来は獣医師になりたい」と言ってくれます。父の働く姿を見て、その仕事をやりたいと思ってくれるのは、やはりうれしいものですね。しかし頑張って勉強する様子を見ていると、まだたくさん遊ばせてあげたいとも感じ、父として複雑な心境にもなりますが……。

最後に先生自身の夢についてお聞かせください。

動物に嫌われない獣医師になることが、今の夢なんです。私自身病院に通院することが好きではありません(笑)。動物たちはもっと獣医師や動物病院を嫌だと感じているでしょう。調子が悪いとき、訳もわからず連れて来られて、知らない人間にあちこち触られるんですから。そこで私は接し方やさわり方を工夫して、動物たちが穏やかな気持ちで診療を受けられるようにと考えています。症状や治療方法について飼い主さんに説明するのと同じように動物にもたくさん声をかけ、触診のときもその子が落ち着く場所から触って、次第に痛いところを探っていく。そんなふうに動物たちに少しでも気持ちよく治療を受けてもらって、「好きとは言わないけど、触るくらいは許してやっていい。ここで少し楽になるから」くらいには思われたいですね。

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