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嶋村健太郎 先生の独自取材記事
南砂どうぶつ病院
(江東区/南砂町駅)
最終更新日: 2023/01/22
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江東区東部の中心地に、1988年に開院した「南砂どうぶつ病院」。2002年の春に南砂から現在の北砂に移転してからも、ペットのホームドクターとして、近隣の住民から愛されている医院だ。窓が大きく明るい院内は、清潔感がありアットホームで落ち着く雰囲気。漫画『動物のお医者さん』を読んで獣医師を志したという嶋村健太郎先生は、少年のようなはにかんだ笑顔が素敵な勤務6年目の若いドクターだ。南砂どうぶつ病院は「東京イースト獣医師会」に所属しているため、獣医療を通じて社会貢献をしたり、近隣の動物病院と連携しながら獣医師として積極的に活動しているという。穏やかな口調からは動物への深い愛情がひしひしと伝わってくる。日々の診療で感じることや獣医師としてのやりがい、プライベートなお話まで、たっぷりと語っていただいた。 (取材日2012年3月12日)
薬用シャンプー療法をメインとした皮膚病治療を得意とする
まずは、先生のプロフィールを含め、獣医師になったきっかけを教えてください。
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僕は川崎市の出身なんです。祖父母が犬を飼っていたので、いつも散歩させたり餌をあげたりしてかわいがっていましたね。動物は小さい頃から好きでしたから、将来は動物に関する仕事に就きたいなと思っていました。そして当時、『動物のお医者さん』という漫画がはやっていましたから、それを読んで獣医師という仕事にますます憧れを持つようになりました。両親も「自分の好きなことをやりなさい」と勧めてくれたこともあり、迷わず獣医師の道に進むことを選びました。
大学時代から勤務医になるまでのエピソードをお聞かせいただけますか?
日本獣医生命科学大学に入学してからは、野生生物研究会というサークルに所属していました。僕は主に野生のサルの生態調査を行っていました。高尾山などの近隣の山に登ってサルの群れを探すんです。そして、群れを見つけたら遠くからサルたちの行動を観察していました。実際に野生動物に接することは貴重な体験でしたし、何よりも自然に触れるのが楽しかったですね。実は、僕らの時代から動物愛護の問題が取りざたされてきたので、大学で動物に接する機会が少なくなってきたんです。動物実験や解剖実習を行う機会もめっきり少なくなりましたので、獣医師としての臨床経験は勤務してから積みましたね。当院に勤務したのは大学に貼り出されていた求人票を見つけたのがきっかけです。他の動物病院にも就職活動で訪問したのですが、院長やスタッフの人柄に惹かれ、こちらで勤務することを決めました。勤務して5年目になりますが、今でもアットホームで温かい雰囲気が大好きですね。
治療上、大切にしていることや診療の特徴を教えてください。
当院は主に、犬、猫、ウサギ、ハムスター、小鳥、フェレットを診ています。犬猫以外の診療は一次診療となりますので、必要に応じて専門医を紹介しています。当院は、アトピー性皮膚炎、アレルギー、感染症、ホルモン異常などいろいろな皮膚病の治療を得意としています。しかし、当院でコントロールが難しいと判断した場合は、調布市にある動物の皮膚病専門病院「ASCどうぶつ皮膚病センター」にお願いしています。ひとつの病院でできる範囲には限りがありますから、難しい症例や高度な医療を望まれる方には積極的に大学病院や専門病院への二次紹介を行っています。
皮膚病ではどのような症状が多いのでしょうか?
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最も多いのが犬の皮膚病で、アトピー性皮膚炎やアレルギーよりも、ばい菌による感染症が目立ちます。皮膚には普段から皮膚常在菌という菌が存在していますが、体調を崩して免疫力が落ちるとこの菌が異常繁殖して皮膚病を発症してしまうんです。とくに夏になると、汗をかいて皮膚に汚れや皮脂がたまりやすくなり皮膚病が増える傾向があります。症状としては、痒みやフケが出たり、皮膚に赤い発疹ができたり、毛が大量に抜けたりします。そこで当院では皮膚病治療に薬用シャンプー療法を勧めています。シャンプーは日常のスキンケアの他に皮膚病の治療としても有効だからです。軟膏などの外用剤は被毛で被われている犬や猫には効果が薄く、気にして舐めることでかえって皮膚を悪化させてしまうことがあるんですね。なので、薬用シャンプーでの洗浄が皮膚の外用治療のメインとなります。皮膚病の性質に合わせて薬用シャンプーを選択していますので、もし、皮膚に少しでも異常を感じたり、皮膚病でお悩みであれば当院にお気軽に相談していただければと思います。
刺激を与えないように診療しながら、人間と同じように接する
治療するときに心がけていることはありますか。
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動物を診る前に、まずは飼い主さんとよくお話させていただきますね。飼い主さんのお話をじっくりと聞いた上で、分かりやすく説明して、きちんと納得していただいてから治療するように心がけています。病気の治療も大切ですが、その子がどういった性格なのかということも飼い主さんに確認します。同じ症状でも、その子の性格によって治療のアプローチの仕方を考えなくてはならないと思っているからです。そして診察するときは、その子の状態をよく把握しておくようにしています。例えば、病院に慣れていない子だったら、キャリーバックから出た途端に逃げてしまうことがありますから、捕まえられるようにあらかじめバスタオルを用意しておいたり、猫ならば狭い場所を好む習性を生かして洗濯ネットを活用したりします。そして、その子の名前を呼びながら「痛くないから大丈夫だよ」と言って安心させてあげたり、なでてあげたりすると緊張がほぐれておとなしくなってくるんですよ。できるだけ刺激を与えないように気をつけながら、人間と同じように対等に接するようにしています。
動物たちの異常を察する方法はありますか?
例えば、以前よりも水をたくさん飲むとか、おしっこの量が多いとか些細なことでもいつもと違うと気づいたら、とにかくすぐに動物病院に電話で連絡したり、連れて行ってあげたりしてください。常に接している飼い主さんが変だと感じたら、その子の体に異変が起こっている証拠だと思います。もちろん、一過性の症状である場合もありますが、大きな病気が隠れていることもあるので、素早い対応を心がけていただきたいですね。
日々の診療においてお感じになるのはどんなことでしょう?
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近頃の飼い主さんはインターネットなどで情報を収集して知識も豊富ですから「ネットで見つけたんだけれど、この薬ってどうなの?」という質問をよくいただいたり、飼い主さんのほうから治療方法を提案されることもあります。しかし、誤った情報に惑わされている飼い主さんがたくさんいるように思います。例えば、治療方法そのものは良くても、その子に合うかどうかわかりませんし、状況も違えば同じ病気とは限らないものです。ですから何ごとも自己判断せずに獣医師などの専門家の意見を仰ぐと、より確かな情報が得られると思います。
動物病院同士で連携を取りながら獣医療を通じて社会貢献をする
これまで診察してこられたなかで印象深いことはありますか?
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やはり動物が亡くなっていく姿を目にすることはとてもつらいものです。末期がんなどでどんなに手を尽くしても病気を治せない場合もあります。苦痛を与えるだけの延命治療はしたくないので、できるだけ苦しみをとってあげて、安らかに最期を迎えられるように心がけています。僕は、基本的に安楽死という選択はしたくないんです。しかし、ペットとの間に強い信頼関係を築いて絆がある飼い主さんが希望されるのであれば、よく話し合って飼い主さんの意思を尊重します。最期は飼い主さんに看取っていただきたいですね。
お休みの日はどのようにお過ごしですか。
近所の動物病院の先生と親しいので、一緒にゴルフをしたり飲みに行ったりしています。江東区とか墨田区などの近隣の動物病院同士で仲良く協力しながら獣医療に取り組んでいるんですよ。当院は皮膚病に強いのですが、眼科や整形外科などの他の分野については、その分野が得意な先生に診せたり相談したりすることもありますね。当院は「東京イースト獣医師会」に所属しています。東京ベイエリアにある有志の動物病院が出資して作った団体なんですが、会員獣医師同士の情報交換や交流も活発ですし、連携を取りながら獣医療を通じて社会貢献もしているんです。例えば、江東区主催の区民まつりなどに毎年参加して、ペットの健康やしつけの相談会を行ったり、迷子になった動物の情報交換や里親探しの活動にも取り組んでいます。現在は、災害時の動物救護活動の準備と対策を進めています。
今後の展望も含めて読者へメッセージをお願いします。
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医療は日々進歩していますから、新しい知識を柔軟に取り入れながら、精一杯勉強して当院をさらに盛り立てていきたいと思っています。今は勤務医ですが、いずれは当院を任せてもらえたらいいな・・・と。今後も地域と連携を取りながら、ペットの健康を守っていきたいですね。飼い主さんには、できるだけたくさんペットとコミュニケーションを取っていただきたいと思います。叱るよりも褒めて良いところを伸ばしてあげたほうがペットは幸せを感じるものです。そして、定期的な健康診断はもちろんのこと、少しでも気になることがあればすぐにご相談いただきたいですね。