松原 且季 院長の独自取材記事
ヴァンケット動物病院 三宿動物医療センター
(世田谷区/池尻大橋駅)
最終更新日: 2024/08/08
池尻大橋駅から徒歩7分の場所にある「ヴァンケット動物病院 三宿動物医療センター」。2012年に松原且季院長の地元である池尻大橋で開業し、2022年にそこから数分の場所に移転して現在に至る。犬や猫などの哺乳類はもちろん、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、節足動物に至るまで、幅広い動物の診療に対応している動物病院だ。入り口は犬とそれ以外とで分けられており、誰もが安心して受診できるように環境を整えている。このような工夫に加え、設備・環境・技術などの条件を満たして、2024年6月にはキャット・フレンドリー・クリニックのゴールド認定を取得した。「動物が好きだったから獣医師になりました」と笑顔で語る松原院長に話を聞いた。(取材日2024年7月17日)
犬・猫・エキゾチック。幅広い動物を診る動物病院
動物の種類を問わずに診察してくださるのが、こちらの特徴だそうですね。
はい。動物の種類に制限を設けることなく、犬・猫はもちろんエキゾチックアニマルの診療にも対応しています。エキゾチックアニマルとは犬・猫以外の動物全般のことで、具体的にはうさぎ、チンチラ、フェレット、ハムスター、両生類、爬虫類、魚類、鳥類、節足動物などが該当します。変わったところではタランチュラを診たことがありますし、大型の熱帯魚に麻酔をかけて手術をした経験もあります。エキゾチックアニマルに広く対応する動物病院は全国的にも少ないのが現状で、当院には全国各地からさまざまな動物とそのご家族が来院されています。
2022年に移転され、その後「キャット・フレンドリー・クリニック」として認定されたのだとか。
2012年にここからすぐ近くの場所で開業したのですが、徐々に手狭になってしまいまして。そこで規模を拡大し、2022年に現在の場所に移転しました。移転前も現在も、大きなガラスから院内の様子をご覧いただけます。これは「すべての人に対してオープンな獣医療を提供していきたい」という想いから。また、ワンちゃんとそれ以外とで入り口を分けましたので、どなたでも安心して受診していただけるかと思います。特に猫ちゃんやうさぎさんは、近くにワンちゃんがいるとストレスになってしまいますからね。このような工夫に加え、設備・環境・技術などの条件を満たして、2024年6月に「キャット・フレンドリー・クリニック」のゴールド認定を取得しました。
院内設備について教えてください。
手術は可能な限りディスポーザブルの用具を使用して、衛生管理に配慮した陽圧室で行います。小動物の心臓も診られる循環器専用のエコー、おなかにガスを送る気腹装置や腹腔鏡、また内視鏡は消化器と気管支にそれぞれ対応できる機器を設備。ICUや、動物種に応じた環境の入院設備も十分な数を備えています。
どのような体制で診療されているのですか?
腫瘍の診療を専門とする私と、眼科、麻酔科、歯科など各分野に強みを持つ獣医師たちが計6人。そのほか、外部からも専門知識を持つ先生がいらしています。治療の一貫性を保つため、獣医師は担当制です。画像診断の際は院内でダブルチェックを行い、適切な診断につなげています。また、診療を支えるスタッフたちは、ほぼ全員が愛玩動物看護師の資格を持っています。獣医師もスタッフも情報共有を密に行い、スムーズな診療に努めています。
正しい診断を心がけ、ともに治療を考える
こちらの動物病院の診療方針を教えてください。
表面に出ている症状を抑えることをめざす対症療法ではなく、客観的なデータに基づいた確定診断をきちんと行った上で、治療計画を立てるようにしています。私は日本獣医がん学会獣医腫瘍科認定医II種や、日本獣医腎泌尿器学会認定医を取得しており、腫瘍や整形外科の手術を得意としています。腫瘍はワンちゃん猫ちゃんのような哺乳類だけでなく、爬虫類、両生類、鳥類、魚類と、あらゆる動物に発症し得るもの。腫瘍に限らずですが、根拠のある正しい診断と標準治療を基本とし、ご家族と一緒に治療方法を考えていきます。
診療の際に心がけていることはありますか?
治療を進めていく過程では、時として「腎不全でもう治療の手立てがありません」とか、「腫瘍のため余命はこれくらいです」など、ご家族にとって酷と思えるようなことを伝えなければならない場面もあります。正直、ご家族の気持ちを思って迷ってしまうこともありますが、やはりそこはきちんと伝えるのが獣医師の役目。判断の根拠となったデータをお見せしながら、できるだけ客観的かつ丁寧にご説明するように心がけています。とはいえ、データはあくまで平均値を示しているに過ぎませんから、目の前の子にそのまま当てはまるかといえば、必ずしもそうではありません。データ上の余命は100日前後であっても、1年以上生きる子もいますし、残念ながらそれより短い期間で亡くなってしまう子もいる。そういった点についても、その際に併せてお話しするよう心がけています。
セカンドオピニオンにも対応されているのですね。
はい。先生によって見解が変わるのはよくあることかと思いますし、ご家族も納得しないままでは治療に踏み切れないこともあるでしょう。当院にもセカンドオピニオンでいらっしゃる方は多く、逆に当院で判断に迷った際は、大学病院でのセカンドオピニオンをお勧めすることもありますよ。セカンドオピニオンを受ける際は、処方されている薬や、今受けている治療の情報、また検査結果をお持ちください。当院では電話予約のほか、ホームページやメッセージアプリから、セカンドオピニオンを含むすべての予約をお受けしています。
気になることがあってもなくても、定期的に受診を
ところで、先生はなぜ獣医師をめざしたのですか?
動物が好きだったからです。子どもの頃は部屋一面がケージという状態で、ハムスターやジュウシマツ、トカゲ、ヘビ、カメ、タランチュラなど、それこそ哺乳類から両生類、爬虫類、昆虫に至るまでさまざまな動物を飼っていました。動物の生態や飼い方を本や図鑑で調べることも大好きでしたね。大学受験の際には、「動物に関係した仕事に就きたい」と迷わず獣医大学を選びましたが、いざ入ってみると大学で扱う動物は牛、豚、鶏、犬、猫くらいで、ほかの動物を診る機会はまずない。そもそもエキゾチックアニマルを診ることができる獣医師の数自体が少ないことを知り、「誰もやらないなら自分がどんな動物でも診られる獣医師になろう」と、卒業後はエキゾチックアニマルの診療も行っている病院に勤務して臨床経験を積んできたんです。
開業を思い立ったきっかけは?
勤務医時代から、ゆくゆくは自分の病院を持ちたいと考えていました。やはり病院によってそれぞれ治療方針というものがありますから、勤務医の立場ではやりたいと思っても、できないことがある。自分が本当にやりたい診療スタイルを実践するには、開業するしかないなと思っていました。それで勤務医として約5年の臨床経験を積んだ後、子どもの頃から慣れ親しんだ土地でもある、この池尻大橋での開業を決めました。
院外活動も積極的にされているのだとか。
学会発表や専門誌での執筆など、獣医師に向けた情報発信には以前より力を入れています。私自身も外部の勉強会で新たな知識を学び、それを当院内で共有してレベルアップにつなげていますよ。そのほか一般の方を対象に、各種イベントでセミナーを行うこともあります。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
ワンちゃんも、猫ちゃんも、エキゾチックアニマルの子も、ぜひ定期的に健康診断を受けてほしいと思います。特に猫ちゃんは体調が悪くても隠してしまう習性があり、気づいた時には病気が進行しているというケースもあるんです。また肥満はワンちゃんの気管虚脱にもつながりかねませんし、尿路閉塞は定期的に尿検査をしていれば防ぐことも望める病気。気になることがあればすぐに、何もなくても健康チェックにいらしてください。
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