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口の中で診る犬や猫の健康状態 ペットの口腔ケア・クリーニング
麻布十番犬猫クリニック
(港区/麻布十番駅)
最終更新日: 2021/10/12
愛する犬や猫の口の中を把握しているだろうか。ペットの健康を気にしていても、よく食べて、よく遊んで、便通が良ければ安心と思い、口の中の状況は見逃されがちだ。ペットたちもアピールしにくく、重症化する傾向がある。手入れが不十分だと、歯周病などの口の中の症状にとどまらず、心臓や腎臓など全身の疾患につながる危険性もはらんでいる。早期発見・治療を呼びかける麻布十番犬猫クリニックの與名本輝副院長に聞いた。(取材日2015年5月26日)
目次
ペットの口に触ってあげて、早期発見を
Q.ペットの口腔ケアの大切さを教えてください。
A.ペットのお口のトラブルは、人よりも虫歯が少なく歯周病が多いという特徴があります。歯周病とは、歯肉炎(歯肉の炎症)と歯周炎(歯根や歯槽骨の炎症)を指します。ペットに歯周病が多い理由は、人と違い口腔内がアルカリ性なので、歯垢が歯石に変化するのが早いためです。ペットも一般的に高齢になるほど歯周病は多くなり、大型犬に比べて小型犬に多いのも特徴です。ただし、3歳以上の犬猫の80%は歯周病を生じているといわれており、小さい時からオーラルケアを行うことが大切です。放っておくと、歯根が溶けてぐらつく、抜ける、といった事態になり、さらに歯周病菌が全身に回って心臓や腎臓などの疾患を引き起こすとも指摘されています。▲ついつい後回しにしがちな歯科治療。定期的なメンテナンスが重要
Q.普段の生活ではどのような注意が必要ですか。
A.ペットが、口に触られることに慣れることが大切です。小さい頃から口や歯に触られることに慣らしておくと、大きくなってからのオーラルケアがしやすくなり、歯磨きなどで口腔内の健康維持を進めることにつながります。忙しくて時間がない時は、歯垢を取るガムなどを利用することも有効です。そのような中で、口の匂いが気になったり、歯の表面が茶色くなっていたりしたら要注意です。鼻水やくしゃみなどがあったらすでに歯周炎かもしれません。「ペットだから」と軽く考えずに、積極的に体調の変化を見つけていってほしいと思います。ちょっとしたことと思われても、実は大きな病気の前兆だったり、それを引き起こす原因だったりするからです。▲数多くの症例経験からペットとの付き合い方も熟知
Q.動物の口内の変化にも気を配ることが大切なのですね。
A.歯垢が歯石になるまで、人は数日〜1ヵ月といいますが、犬は3〜5日で歯石になってしまうといわれています。早期発見が何より大切です。もし、犬や猫が痛がったり、不快そうにしていたら、人に施すのと同じように、口の中をよく診る必要があります。そこで状態が悪い場合は、抜歯などが必要になることがあります。▲與名本先生は早期治療に熱い思いを持っている
Q.口腔内クリーニングの大切さを教えてください。
A.定期的なクリーニングで歯石を取れば細菌を減らせるので、歯周病を予防できます。歯石は1歳にならない時期から付着してしまいます。症状は出にくいのですが、歯が茶色くなった場合は歯石が付着しています。抜けずに残った乳歯(乳歯遺残)には歯石が付きやすいので、なるべく早く、ワクチン接種などをきっかけに、月1回は健診を受けるのが理想です。乳歯遺残や不正咬合も問題です。早い段階で処置すれば、良い噛み合わせに導けることが多いです。▲院長の島田先生は皮膚科が専門
Q.どのような思いで動物の治療をしていますか。
A.子どもの頃から動物が好きでした。昆虫に興味を持ったり、馬の世話をしたいと思ったりもしたのですが、犬や猫など身近な動物の世話をすることで、ご家族たちの手助けにもなれればと思いました。動物たちは痛みや具合が悪いことがあってもご家族に訴えないケースが多くあります。その分、ご家族とともに獣医師が動物たちの日頃のケアを重視して、早期発見することが必要です。なぜ病気になるのか、どのように治すのかといった研究も常に進化しています。それらを常に勉強し、世話をした動物たちの状態が良くなったときにご家族から感謝されることがわれわれ獣医師の励みになっています。▲自身の経験を生かし、ペット目線の診療を飼い主と共にめざす
動物病院からのメッセージ
與名本輝副院長
歯周病はほかの臓器の病気のもとにもなり得る怖い症状です。ご家族にとっては、なかなか自分のペットがそのような状況にあるとは思わないでしょうが、歯周病はとてもありふれた症状で、特別なものではありません。ただ気付いていないだけなのです。早期発見・治療にこしたことはありませんが、悪くなっても治療法はあります。ペットの口の中の症状を改善することで、ご家族にとっても、ペットにとっても、生活の質(QOL)を向上させることができるのです。動物たちは、自分の痛みを我慢する傾向があります。ひょっとして、体調の悪さをご家族が気付いてくれることを待っているのかもしれません。
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