妻井雅美 院長の独自取材記事
みやまえ動物病院
(杉並区/久我山駅)
最終更新日: 2023/01/22
久我山駅と西荻窪駅のほぼ中間、閑静な住宅街の一角に「みやまえ動物病院」はある。「何か気になることがあれば気軽に足を運んでもらえるクリニックでありたいですね」と話すのは、優しい笑顔が印象的な妻井雅美院長だ。その言葉通り、自然光がたっぷりと入る待合室は明るく落ち着いた雰囲気で、とてもアットホームな印象だ。「どんな子でも受け入れる」を信条とするクリニックには、明るい笑顔が絶えず、「散歩のついでに、ふらっと立ち寄る方も多い」という。日曜・祝日の診察(要予約)や往診にも対応。ペットを亡くして落ち込む飼い主には、自筆で手紙を送ることもあるという妻井院長。自分を信頼してくれる動物たちと飼い主さんのためにも、病気の早期発見・早期治療にはとくに力を入れているそうだ。そんな真摯な姿勢が支持され、来年には開院15周年を迎える。このクリニックならではの、誠実で温かみのある診療を取材した。 (取材日2013年2月20日)
来年開業15周年を迎える、気軽に何でも相談できる“街の動物病院”
来年、開院15周年をお迎えになると伺いました。
はい。当院は地域の皆さんに「気軽に足を運んでいただける街の動物病院」を目指して、1999年に開院しました。現在は近隣にお住まいの方を中心に、杉並区内や練馬区、世田谷区、武蔵野市などからもお見えになります。なかには開院当初から、長いお付き合いをさせていただいている飼い主さんもいらっしゃいます。診察対象は犬、猫がメインですが、ウサギやハムスター、小鳥などにも対応しています。来年は開院15周年という節目の年を迎えます。飼い主さんにとって、「いつでも気軽に相談できる存在でありたい」という思いは、開院当初から全く変わっておりません。今後も基本を忘れず、皆さんに信頼していただけるクリニックであり続けたいと思います。
患者さんにこの地域ならではの傾向をお感じになることはありますか?
日々診察をしていて思うのは、飼い主さんの意識がとても高いということです。まず、ペットが病気にならないように、日頃から予防をしっかりされます。病気になった場合も、飼い主さんご自身が病気についてきっちり理解した上で、治療にも積極的に参加される方が多いです。説明もしっかり聞いてくださいますし、大切な家族であるペットにとって、最善の治療を一緒に考えたいという姿勢を強く感じます。信頼して来てくださっているので、その期待に応えられるよう、また期待を裏切らないように、こちらも頑張らないといけないと常々感じています。
患者さんと接する上で、心がけておられることは何でしょうか?
病気の説明はなるべく丁寧に話すようにしています。イメージしやすい例を挙げながら、「簡単にわかりやすく」を心がけています。資料やパンフレットも使いながら、治療法や費用、予後について、今後の注意点などを具体的にお話します。飼い主さんによって希望や要望も異なりますから、選択肢はできるだけ多く用意します。治療法は一つでないことも多いですから、それぞれのメリット・デメリットなども提示し、飼い主さんご自身が納得できる治療法を選んでいただけるようにしています。病気について、さらに詳しい説明を希望される方には、より掘り下げて説明することもあります。もし説明に疑問が生じた場合は、きちんと時間をかけてお話をして、飼い主さんの理解を深めるように心がけています。
スキンシップを重視した安心感のある診療
先生の診療方針をお聞かせください。
動物の様子、飼い主様のお話をとても大切にしています。機械を使った検査はもちろん大事ですが、実際に動物に触れて、自分の五感を働かせ何か異常がないか、神経を集中させて慎重にチェックしていきます。検査結果だけではわからなかった異常が、触診により発見されることも多いのです。また、直接触れ合うことで、動物とコミュニケーションが取りやすくなることも大きいですね。人間と同じように、クリニックに連れて来られる動物たちはとても緊張しています。非常に怖がっている場合は、痛みがありそうな箇所をあえて最後に回し、他の部分から優しくソフトに触れることで、安心させてあげることもあります。抱っこされる方が安心な子は、最初から抱っこしてしまうなど、その子によって接し方も変えています。
動物たちをリラックスさせてあげることが大事なのですね。
その通りです。たとえば、今まで一度もクリニックに来たことがない子の場合、獣医師がいきなり触ると警戒するのは当然です。ですから、ある程度慣れるまでは時間をかけて、決して無理をしないことを心がけています。とくに初診の場合は、飼い主さんと僕が話をしている横に、自然にいてもらうことから始めます。診察台に乗れる子は乗せますが、その際もすぐに診察するのではなく、診察台を挟んで飼い主さんと話を続けます。動物は飼い主さんの顔色や表情、雰囲気をよく見ています。たとえば、飼い主さんが警戒すると、動物も警戒します。逆に飼い主さんがリラックスしていれば、動物もリラックスするのです。「この人はどういう人なのか?」「信頼できる人なのか?」といった情報を、飼い主さんを通して感じ取るのです。少し警戒心が解け、信頼関係ができるまでは、ゆっくり時間をかけます。
ペットの異変を見分けるポイントを教えてください。
やはり普段から常に一緒に生活していらっしゃる飼い主さんの直感が、とても大事だと思います。この「普段と違う」「何かがおかしい」という感覚は、僕たち獣医師では気付かない部分ですからね。動物が出しているわずかなサインを、どうぞ見逃さないであげてください。そして、少しでも気になることがあれば、ぜひ動物病院に相談してください。注意して見ていれば病気の早期発見・早期治療にもつながります。受診して何もなければ、それはそれで安心できますしね。受診に迷われる場合は、電話での相談もお受けしていますのでご利用ください。
「あらゆる患者さんを診る努力をする」という、獣医師の基本姿勢を学んだ勤務医時代
獣医師を志したきっかけを教えてください。
小さい頃から動物が身近にいましたので、動物に関わる仕事をしたいという思いはありました。「これ!」という具体的なきっかけは覚えていないのですが、実家では犬や猫、ウサギや鳥を飼っていて、今思えばこういう環境で育ったことが、今につながっているのかなと思います。獣医師のやりがいを感じるのは、治療した動物がちゃんと治って、元気になってくれることに尽きます。すべての病気を治せれば一番いいのですが、実際はなかなか厳しいのが現状です。それだけに、動物たちの元気な姿や飼い主さんの喜ぶ顔を見た時は、本当にうれしいです。
影響を受けた恩師はいらっしゃいますか?
大学卒業後は長野の病院、東京の大学病院、杉並区の民間病院に勤務しました。そのすべての場所で、尊敬できる恩師に出会うことができました。皆さんから教えられたのは「誠実にしっかり診る」ということです。中でも一番印象に残っているのは、「あらゆる患者さんを診る努力をする」という獣医師としての基本姿勢です。たとえば、すごく暴れたり、獣医師にも敵意剥き出しの子が来た場合でも、診察する努力をする先生方の真摯な姿勢を目の当たりにし、自分も獣医師としてそうありたいと思いました。
先生のリフレッシュ法は?
最近、健康のために学生時代にやっていたテニスを約20年ぶりに再開しました。でも、びっくりするぐらい体がついてこないんですよ。頭では若いつもりでも、からだは全然だめですね(笑)。オートバイやネット、カメラ、車など趣味は幅広いのですが、一度やり始めると夢中になってしまう性分なので、今は専らテニスを楽しんでいます。
最後に今後の展望と読者にメッセージをお願いします。
少しでも気になることがあれば、気軽に足を運んでいただきたいという基本的なスタンスを大事にしながら、これからも皆さんに信頼してもらえるクリニック作りをしていきたいです。人間と違い、動物は痛いとか苦しいとか口に出すことができません。「何かおかしいな」と思われたら、どうぞ遠慮なくお越しください。何でも話していただけるよう、できるだけ敷居を低くして、スタッフ一同お待ちしております。また、一次診療施設として、病気の早期発見・早期治療に努めるとともに、大学病院や専門病院に速やかに紹介できるような体制もさらに強化していきます。