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都築明美 院長の独自取材記事

ちやふるペットクリニック

(杉並区/荻窪駅)

最終更新日: 2023/01/22

荻窪駅北口から商店街を通り抜け、天沼弁天池公園へ8分ほど歩いた住宅街の中に「ちやふるペットクリニック」がある。院長の都築明美先生はざっくばらんにお話をされる朗らかな方。飼い主との対話の中から最善な治療方法を模索していき、犬や猫の生活環境に関心を寄せている。高度な医療や知識、技術をうたった動物病院は数々あるが、都築院長のように飼い主の話に耳を傾け、真摯に向き合うことに重きをおく獣医師は珍しいだろう。今、動物の世界も人間同様に高齢化が進み、年老いた動物たちのケアは切実な問題になりつつある。都築院長は、動物たちの良き理解者でありたいという信念を持ち、今日も動物の診療を行っている。 (取材日2015年5月26日)

飼い主の生活に配慮した治療を行う

「ちやふるペットクリニック」のちやふるは、どのような意味ですか? 開院当初のことを教えてください。

英語で書くとcheerfulで、快活な、元気、励まし、の意味です。私が中学生の頃から19年間飼っていたキジトラのネコの名前が「ちやふる」だったので、クリニック名を付ける時にこの名前が浮かび、2009年に開院しました。開院して初めての患者さんは柴犬のランちゃん。ランちゃんは亡くなってしまいましたが、飼い主さんとは今でもお付き合いがあるんです。

診療で大切にしていることは何ですか?

動物たちのことを本気で心配する飼い主さんの生活にも配慮した治療プランを立てるようにしていることでしょうか。動物を診察すれば、こうした方がいいという治療プランは考えられますが、それを飼い主さんに押しつけたくはありません。やりたくないケアを毎日やってもらうのは、飼い主さんだけでなく動物たちのストレスにもなりますから。飼い主さんとたわいもない話をする中で、本当はどうしたいのかというのを汲み取るようにしています。飼い主さんが、ペットに費用、時間、手間、この3つの要素をどのくらいかけられるのか、察することができたら提案をする私も、実際にケアをする飼い主さんも、ケアを受ける動物たちも楽ですよね。費用はかけられないけれど時間と手間はかけても大丈夫という方もいれば、費用はある程度かかってもいいからできるだけ手間がかからないようにという方もいますから、本音を言ってもらえるような信頼関係が築けるように日々勉強です。

お家で動物たちのお世話をするのは、飼い主さんたちですから大事ですよね。

そうですね。また、飼い主さんから、日常の生活や動物の様子などの話をうかがえるのも、診療において貴重な時間です。飼い主さんが問題視していない癖や習性が問題解決の糸口になることがよくあるのです。気になること、心配なことは全部教えてください。実際、いろんなお話をうかがう中で、薬の一部をサプリメントに変えたら動物の体調が戻ったということもありました。問題のポイントがわかれば次の一手が打てます。私は飼い主さんとお会いしていない間も、いろいろなパターンを想像して次々と治療方法の作戦を立てています。何もしなかったら、その動物がどうなっていくか見えていますから。助言もできずに動物が亡くなっていくのは獣医師として本当に悔しいです。

獣医師としてシニアの犬や猫、そして飼い主にできることを考える

医療の進歩で動物はも長寿になってきましたね。

そうですね。私は獣医師として年老いたり、何か病気があって、足元がおぼつかないような動物たちのお世話の様子を切実な問題として受け止めています。例えば、高齢の動物たちの様子が変だ、と来院されたとしても多くの飼い主さんは「もう歳だし、どうせ長くないから」「自然に任せたらいい」という結論を出してしまわれます。私は、「年だから」と治療をすることを簡単にあきらめないでほしいと思うんです。また、その様子を見る人間サイドにも疑問を感じています。例えば、年老いた動物たちの世話をしていると、「お金もかかるし、もうやめればいいのに」と言われた、という話をよく聞きます。私自身、17歳のケアンテリアと12歳の日本猫2匹と暮らしていますが、家族に「そこまでするのか」と言われたことがあります。確かに、お金はかかりますし、完治することが難しいこともあるでしょう。しかし、たとえ治らなくても今より楽にすることはできる、これ以上苦しむことはなくなる、そのために治療やケアを続けることも大切だと思うんです。私は苦しみながら最期を迎えるより、安らかな最期を迎えてほしいと思っています。また、飼い主さんがシニアの犬を散歩させたり公園に行ったりすると、その様子を見て、「こんなになるまで生かして可哀そう」「こんなふうにはなりたくない」「この犬、まだ生きてたんだ」と本人の前で言う心ない人がいます。その言葉は正直な気持ちなのかもしれませんが、飼い主さんにとってその子は喜びや寂しさ、つらさを分かち合う家族や友人、子どものような存在です。ご自分の祖父や祖母にそのような声をかけますか? 人間には言わない言葉ですよね。それと同じで、犬や猫にも言わないでほしい。飼い主さんは言い返さない方がほとんどで、ただ心の中で深く傷つき黙るだけ。でも、ちょっと考えてみてください。老いたり、病気になったとしても最後の最後まで飼い主さんに愛情を持ってお世話される動物たちと、「年だから」とあきらめられてしまう動物たちと、一体、どちらの方が、本当に『かわいそうな子』なんでしょうか?

動物たちのケアに熱い思いをお持ちですね。

先ほどもお話しましたが、私自身高齢の犬と暮らしていることも関係していると思います。獣医として仕事を始めたばかりのころは、他の動物病院で勤務していましたし、当時飼っていた犬の世話は家族に任せきりになっていたんです。ある日、仕事から帰宅すると「亡くなったよ」と伝えられたことがありました。犬の体調の変化にも気づかず、家族から相談もされず、何もしてやれなかったことが悔しくて。だからこそ、今一緒に暮らしている動物たちは獣医として後悔がないようにと、心に決めているんです。そういったことが今の自分の診療にも表れているのかもしれません。出会ったころは幼く無邪気だった動物も飼い主さんより先に歳をとります。動物たちも飼い主さんも老化という現象と付き合っていかなければいけません。実際、私も行っているのですが、動物たちがフローリングでよく滑るようになったら、滑り止めマットを敷いたりするなど、日常のちょっとした創意工夫から始めればよいのです。いつまでも快適に生活できるようにするには、どうしたらいいんだろうと考えていただきたい。私は、一緒に生活していく上でのケアや食事のアドバイスを行いますし、質問・疑問にも出来る限りお応えしていますので、年老いていく現実を悲観せずにきちんと受け止め、まずは診療という第1歩を踏み出してほしいと思います。

大学卒業後に水族館で働き、28歳で本格的に修業を始めた

獣医師になろうと思われたきっかけを教えてください。

大学受験の時に、進学するなら何か資格がとれる大学にしたかったので、獣医大を選びました。入学する大学を決めるときに、女性の獣医師の草分け的な存在で、上野動物園長になった増井光子さんの出身校である麻布大学に進みました。動物好きなのも手伝って進学したのはいいのですけれど、最初から「開業したい」と考えていたわけではなく、一端は水族館で飼育員として働いていた期間も。本格的に小動物の獣医師なる修行を始めたのは28歳の時でした。

あらゆる道を模索し、獣医師になられたのですね。

ええ、他の人たちより遅いスタートでしたね(笑)。それからは渋谷区や中野区、文京区などの動物病院で働きました。一般診療を行う動物病院でも勤務しましたし、眼科専門の動物病院でも修行しました。いろんな病院を渡り歩きながら経験と技術を身に付けた後、ここを開院することになったのです。こうして院長になってみて、初めて自分本来の姿で飼い主さんと対面したような気がします。動物の病気が治った時、うれしいのはもちろんですが、飼い主さんが納得した治療を行えたなと思えた時は、さらにうれしくなります。当クリニックで看取った動物もいますが、できれば住み慣れた自分の家で飼い主さんと最後まで過ごせたらいいですね。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

動物は人間にわかる言葉を喋りませんが、何らかのサインはたくさん出しています。だからこそ、動物たちのことをもっと見ていてほしいと思います。例えば、ご飯をあげたときの食べ方や、散歩のときの歩き方、トイレの量や頻度、においなど、きちんと様子を見守ってほしい。その中で、もし気がかりなことがありましたら飼い主さん1人で悩まず、動物病院へ来院していただけたらと思います。また、食事管理をしっかり行っていても、動物が歳をとると検査にひっかかることもあります。見た目はいつもと変わらないから大丈夫だろう、元気で若いままだろうと思ってしまいがちですが、気づかないうちに老化や病気が進行していることもあります。後になって飼い主さんが後悔しないよう、それなりの年齢になったら、健康診断をお勧めしています。もし、何か問題が見つかった場合は、飼い主さんと動物の生活スタイルにあった対応を、その都度考えてご提案したいと思っています。ご希望に応じて、専門的な高度医療機関や大学病院をご紹介することも可能です。健康診断は、そのデータを有効活用して、未病な状態を維持するには、何に気をつければよいのか、または悪化を遅らせる為には、どんな対策があるのかなどを、飼い主さんにご提案し、充分に話し合うまでが含まれています。明らかな病気が疑われる場合は、より時間をかけてご説明しなければならない事もあるでしょう。当たり前の話なのですが、受けただけで安心せず、早めに来院していただき、検査結果を直接確認してください。そして疑問に思う点は何でも質問してください。最後まで大好きで愛おしい存在として、動物たちと命を共にしてほしいと思います。

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