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吉田 隆公 院長の独自取材記事
仙川リーフ動物病院
(調布市/仙川駅)
最終更新日: 2023/01/22
仙川駅から徒歩約10分、世田谷にも近い調布市の住宅街にある「仙川リーフ動物病院」。院内に入ると、受付カウンターから診療室まで、色も大きさもさまざまなウーパールーパーの入ったケースが、所狭しと置かれている。幼少期から、猿やアヒル、リス、カエルなど多種多様な動物に囲まれて育ったという吉田隆公院長。「とにかく動物が好きだから」獣医師になった吉田院長の動物愛を敏感に感じ取るのか、人見知りしたり病院が嫌いだったりするペットたちも、同院には喜んで行きたがると評判だ。「自分でも理由はわからないですけど、なぜか昔から好かれるみたいで助かっています」。まさに天職に就いているという吉田院長に、同院の成り立ちからプライベートまで、さまざまなことを語ってもらった。 (取材日2017年1月20日)
双葉のように動物たちと寄り添い成長したい
院名の「リーフ」の由来を聞かせてください。クリニックのマークが双葉になっていますね。
住所が若葉町なので、そこから取りました。双葉のマークは、知人のデザイナーに作ってもらったのですが、動物たちとともに寄り添い成長してゆく、生涯にわたった関わり合いや地域へ根付いていきたいという思いを形にしたものです。それに、もともと植物を育てるのが好きだったというのもありますね。院内はお祝いなどでいただいた花が多いですが、家でも趣味で育ててますよ。毎年のように種をいただくので、来院されて興味を持ってくださった方にはお配りもしています。
こちらに開院されたのはどういうご縁ですか?
開院当初、一緒にやっていた女性獣医師のつながりでここを紹介されたのがきっかけです。もともとここは別の先生が動物病院をやっていらして、その院長先生が亡くなられたあと、1年ほど空いたままになっていました。それで息子さんが、引き継いで新たに開院する獣医師を探していて、たまたま「ここで診療しませんか」と声がかかり、私もちょうどテナントを探していたタイミングだったので居抜きで借りることに決めた、というのが大まかな経緯です。想定よりもスペースがちょっと少ないのでどうかなと思っていましたが、やはり手狭は手狭でした(笑)。一通りの検査機器を入れ、手術の設備を入れたらもう新しいモニターを置く場所がなくて、本当にぎゅうぎゅうに詰め込んでどうにかなったという感じです。
ペットを飼っている人が多い地域なのですか?
開院する前に、簡単に調査してもらいましたが、特別多いわけではないですけど、それなりにはいらっしゃるようです。このあたりは一戸建ても多いので、さすがに外でワンちゃんを飼っている方は珍しいですが、おうちの中で飼っている方は平均的なレベルでいるのではないでしょうか。夕方近くになると、お散歩させている飼い主さんをよく見かけますし、近所にドッグランもありますから。ただ、もっと駅寄りはマンションが多くて、しかもペット不可のところばかりなんです。実は、私もクリニックの近くに引っ越そうと思って物件を探しているんですが、なかなか見つからないんですよね。クリニックには入院施設もありますが、お預かりしているペットを夜に連れ帰る必要が出てくることもあるので、今の場所から動けないでいます。
この地域には動物病院が多いようですね。
当院からの徒歩圏内だけでも4軒ですね。確かに開院当初は、バッティングするというか、住み分けが難しいなと思うことはありました。ご挨拶に行った時も、このあたり激戦区なので「大変だけど、頑張って」と、ご近所の院長先生に励まされたりしてね。でも今は、野良猫の保護活動をしている方や、実験動物を引き上げてくる保護猫レスキューの猫ちゃんが来たりして、ようやく特色が出てきたのかなと思います。
飼い主の不安や不満をなくすため丁寧な説明を心がける
診療対象を教えてください。
ワンちゃん、猫ちゃんの他、うさぎやハムスターなども診ています。当院は保護猫活動されている方によく来ていただくので、猫ちゃんの割合が多いのも特色。普通はワンちゃんのほうが多くて、6:4とか7:3とか言われていますけど、たぶん、6:4で猫ちゃんのほうが多いと思いますね。それから最近は、うさぎを診せに来られる方が増えてきました。うさぎやハムスター以外のエキゾチックアニマルは、だいたい一次診療まで。難しい症例の場合は、近所の専門病院を紹介しています。爬虫類などは祖師ヶ谷大蔵にいる先輩ドクター、鳥は同じ調布市の国領で鳥専門にやっている同級生と、信頼できる専門のドクターがいるので、そちらをご紹介しています。
診療の特色についてはいかがでしょう?
いわゆるプライマリケアというか、一次診療のクリニックとしてある程度、全部できるようにとは思っています。ワクチン接種、避妊手術、しつけや飼育相談、歯科診療、皮膚科診療などですね。そういったものは一通りやっていますが、「これ」といった特色はありません。強いて言えば、前職の動物病院ではトラブルシューターのような役割が多かったので、飼い主さんが納得いくまでよく説明するということが特色になるかもしれません。処置は適切でも説明がないと、なぜ、なかなか良くならないのかとか、どうしてこの治療をしたのかとか、というように飼い主さんが不安や不満を持つのも当たり前ですよね。
保護猫活動に取り組まれているのはどういうきっかけですか?
近隣に野良猫がいるなら、地域のコミュニケーションにもなるしお手伝いしようとは思ってはいたんです。最初は、あまり見かけないのでいないのかなと思っていましたが、どうやらある区画の人たちが餌をあげてて増えてしまっているという話を耳にするようになり、保護猫活動をしている方たちも来院されて、お手伝いするようになりました。個人的に活動している人もいれば、団体として活動している人たちもいますが、その人たちの献身ぶりというか猫にかける想いがすごいんです。自分のことを顧みずやっている方が多いので、少しでも協力できればな、と。実は、小動物を飼っていて猫に何度も取られてしまった経験があるので、どちらかというと猫ちゃんは苦手だったんですが、最近はすごく好きになってきました。当院に今いる子たちはすごくフレンドリーで、そばに小動物のケースがあってもまったくいたずらしませんよ。
幼少時から動物たちに囲まれて育ち、獣医師に
獣医師になったきっかけをお聞かせください。
動物が好きだから。もうそれだけです。物心ついた時からずっと動物が身近にいて、親がいろいろな生き物を飼わせてくれました。アヒルとか鳥やカエル、カメ、リス、猿……もう何でもという感じでしたね。駐車場で、アヒルを飼っていたこともあります。普通に、柵で囲っただけでしたが、結構長生きしましたね。子どもの時は親がほとんど面倒を見てくれていたので私自身は手間ではなかったんですが、大人になってからリスを飼い始めたら、結構大変でした。そういえば母は今、ブリーダーをやっていて、母から犬を買った飼い主さんが東京に越されて私が往診する、ということもあるんです。
診療後や休診日はどう過ごされていますか?
診療後は、タイミングが合えば勉強会に行っています。あとは、趣味で続けているテニスですね。診療後にサークルの仲間と3時間だけコートで汗を流して、それからクリニックに戻って残りの作業や処置、というパターン。休診日は祝日だけですから、旅行はなかなか難しいですね。そもそも、常に入院している動物がいるので、まったく離れるわけにはいきません。せいぜい、年に1回、代診のドクターに何日かまとめて来てもらって実家に帰省するくらいでしょうか。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
クリニック選びは、気になることがあったら気軽に連絡できるところが一番です。主役はペットでも、結局、飼い主さんと獣医師との相性や信頼感が大切。合わないなと思ったら、無理して通わず別のところを探したほうが良いと思います。治療する側としても、不満を抱えたまま通ってもらうのはやっぱりつらいですから。急にクリニックを替えるのが心配なら、他の病院にセカンドオピニオンのような形で聞くだけでも、ずっと気持ちは楽になると思います。当院では、そういうご相談に来られる飼い主さんに、「向こうの先生にはこういうふうに言ったほうがいいんじゃないですか」とアドバイスしています。そのままここで継続治療されなくても結構ですので、気軽にご相談ください。