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金澤 崇史 院長の独自取材記事

吉祥寺あおぞら動物病院

(武蔵野市/吉祥寺駅)

最終更新日: 2024/05/15

武蔵野市吉祥寺本町3丁目、吉祥寺駅から井の頭通りを三鷹方面に少し進んだ左手にある「吉祥寺あおぞら動物病院」。木目にスカイブルーが爽やかな大型看板が目印だ。通り沿いに大きく取られたエントランスには動物たちのシルエットが描かれ、楽しい雰囲気を醸している。「澄み渡る青空のもとに集まるように、人も動物も集まりやすい雰囲気をめざしています」と話すのは、金澤崇史院長。特に眼科分野での専門性を高めるため、専門病院での診療を手がけた経験も持つ獣医師だ。「神経質な傾向がある猫に優しい病院は犬にも優しい」との思いから、キャットフレンドリークリニックとして認定も受けている同院の成り立ちや診療について、詳しく聞いた。(取材日2024年5月8日)

猫も犬も人間も、晴れやかな気持ちで集まれる病院に

まずはこちらの動物病院の成り立ちと概要を簡単にお願いします。

犬と猫を専門に診る動物病院で、2022年にオープンしました。獣医師となった時からいずれは開業をと考えており、実家にも近いこの辺りのエリアで物件を探し、もともと別の動物病院として運営されていたものを引き継いだ形です。開院から丸2年を経て、現在3年目になります。患者としては、ワンちゃんと猫ちゃんが半々といったところです。院名を「吉祥寺あおぞら動物病院」としたのは、澄み渡る青空のもとに集まるように、人も動物もみんなが集まりやすい雰囲気をめざしたいとの想いから。病気や不調が治って、晴れやかで爽快な気持ちになってほしいという願いも込められています。また、わが家には元保護猫の「葵(あお)」と「蒼(そら)」がおり、この子たちの名前にちなんだこともあります。

猫ちゃんに優しい動物病院として認定を受けているそうですね。

国際猫医学会(ISFM:International Society of Feline Medicine)による国際基準の規格である「CFC:Cat Friendly Clinic」で、ゴールド認定を受けています。犬に比べて、より神経質な性質を持つ傾向がある猫は、ちょっとした音で怖がったり、外出で極端に怯えたりすることから受診が大きなストレスになることも。猫に優しい病院であれば、犬にも優しい病院になれるとの想いから、認定をめざして審査を受けました。具体的な取り組みとしては、診療中の音に配慮したり、接し方を気をつけたりしています。扉を開閉する音や、段ボール箱を扱う音など、日常的な音も猫ちゃんにとっては大きなストレスとなることもあるので、バックヤードのスタッフにも徹底させています。また、週に3回猫専用の診療枠を設け、ワンちゃんが苦手な猫ちゃんが待合室で一緒にならないようにしています。

オープンの際には院内を改装されたのですか。

はい。バックヤードにはあまり手を加えていませんが、ワンちゃん猫ちゃんと飼い主さん双方の快適性を考えて、待合室と診察室は大幅に改装しました。特に、ペット同士が近くに接しすぎないように、狭かった待合室は倍以上の広さに拡張。また、猫ちゃんを入れたキャリーケースを置けるベンチを複数設けて、ワンちゃんと目線が合わないように工夫しています。

専門性の高い検査にも対応し、眼科症状の診断に注力

力を入れている診療があれば教えてください。

内科・外科の一般診療から予防、健康診断まで幅広く対応していますが、中でも眼科診療には注力しています。眼科を診るには専門的な機材がそろっている必要がありますが、当院では開院当初から、スリットランプ(細隙灯顕微鏡)、眼圧計、眼底カメラ、網膜電図機器などを導入し、専門性の高い検査にも対応できる体制を整えています。さらに、若い猫に多く致死性の高い猫伝染性腹膜炎(FIP)の診療に取り組んでいるのも特徴です。国内ではまだFIP治療用として承認された薬もないため、大学病院などの二次診療施設でも診療していないことも。しかし、近年研究が進んでいる分野でもあります。症状が多岐にわたり診断が難しい病気なので、経験のある獣医師にご相談いただきたいですね。また、循環器疾患では月に1度専門の先生を招いて診療していただいています。

眼科に注力することとなったきっかけは?

実はもともと眼科は苦手分野だったのです。大学ではひと通りを座学で学ぶ程度ですし、臨床においてもしっかりと知識と技術を身につけた先生に出会わない限りは、検査機器の扱いすら学ぶ機会がありません。それでもペットの目の異常を訴えてこられる飼い主さんは多く、なんとかしなければという思いが募りました。最初は苦手を克服するためにセミナーに通い始め、学びを深めるうちに眼科分野の面白さに目覚めて専門病院勤務を選びました。目の症状は多岐にわたりますが、単純な充血でもその裏に全身に関わるさまざまな病気が隠れていることもあり、精密な検査が求められることも多いのです。専門的な設備が整っていないと判断が難しく、適切な治療に結びついていないケースもよくあります。当院では眼科を中心にセカンドオピニオンでのご相談もお受けしており、近年増加傾向にあると感じています。

診療の際に心がけていることはありますか。

獣医師目線だけでなく、動物目線、飼い主目線に立つことを心がけています。これは診察に限らず、電話や受付での対応から院内の衛生管理まで、すべてにおいて大切に考えています。動物目線に立つという点では、診療時には椅子に座った状態で目線を合わせ、圧を与えないようにする配慮も。触診の際も少しずつゆっくりと触るようにしています。また、大切な家族であるペットのためにできることをしてやりたいという飼い主さんの想いにも親身に寄り添うことが大切です。秘めた想いを引き出すためにはお話を聞くことが重要で、診療時間は長くなりがちですね。

疑問や不安はそのままにせず、気軽に相談してほしい

獣医師を志されたきっかけがあれば教えてください。

ありきたりな話だと思いますが、子どもの頃実家で柴犬を飼っていたことがきっかけです。いつかこうした子たちを助けられる存在になりたいと思いました。私にとって犬のいない生活は耐えられないもので、学生時代から大学の研究室からや実験犬として飼われていた子などを引き取っては、途絶えることなく飼っています。診察室に飾ってある絵も、以前の飼い犬を描いていただいたものです。一時は4頭と暮らしていたこともあり、人間1人の暮らしなんて考えられません(笑)。飼い主さんのご自宅の庭で生まれた保護猫や、クリニック前で交通事故に遭った猫も引き取っており、にぎやかな生活です。多くの動物たちと暮らすのは大変なこともありますが、やはり好きなのでやめられません。

今後の展望を教えてください。

病院自体の規模を大きくしたいといった考えはないのですが、おかげさまで多くの方にご来院いただき忙しくなってきたことから、獣医師を増員してスムーズな診療がかなう体制を整えていきたいです。いずれは新しいクリニックを一から設計したいという思いもあります。改装の際、看板や壁に天然木を取り入れ、自然で温かみのある雰囲気をめざしました。そうした雰囲気はそのままに、気軽に立ち寄れて心地良く過ごせる空間をつくりあげてみたいですね。

読者に向けてひと言メッセージをお願いします。

とにかく何でも聞いてほしいということは、すべての飼い主さんにお伝えしたいと思っています。診療時にその場で疑問に思ったことはもちろん、家に帰られてからふと湧いてきた疑問や不安も、決してそのままにせず、次回の診療時でもお電話でも良いので聞いてほしいのです。診療する中で、「前に受診した先生は話しにくくて」というお話を耳にすることもよくあります。人間同士なので相性もありますが、何でも気軽にご相談いただける存在でありたいと思っています。井の頭通り沿いで間口を広くとってあることもあり、当院にはお散歩ついでに寄っていただく方や、お薬だけをお求めになる方も多数いらっしゃいます。不調の際に限らず、元気な時も気兼ねなく立ち寄れる街の拠点となれればと思っていますので、ぜひご遠慮なくお立ち寄りください。

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