水野美也子 先生の独自取材記事

ありがとうございます。地域の方々がいつでも気軽に当院を利用していただけたら、とてもうれしいです。私は大学を卒業してから13年間ずっと当院で働いているのですが、この地域の方々は皆さん気さくで、優しい方ばかりなんですよ。オープンに何でも話せるので、とても診察がしやすいです。ズバッと思ったことをストレートに言ってくださると、私も本音で話ができますし、獣医師と飼い主さんというよりは、人と人としてお付き合いをしている感じですね。赤ちゃんの時からずっと診ているワンちゃんネコちゃんもいるのですが、その子が亡くなってもまた次の子を連れて来てくれたり。もう長いこと親しくしてくださっている飼い主さんは多いです。私が長く勤めていられるのは、そうした飼い主さんのおかげでもあり、また木村院長の人柄に助けられたことも大きいですね。温和で優しく、私たちを信頼してくれているので、のびのびと仕事をさせてもらっています。

ええ、キムラ動物病院は町屋にあるのですが、その木村院長が分院としてこの病院をオープンしました。実は私の主人も同じ獣医師で　ここの院長として勤務していたのですが、２年前に急性心不全で亡くなってしまったのです。そのとき娘は生後2ヵ月で、私は産休を取っていましたが、急遽病院に復帰することになりました。そのときから、誠実で一生懸命に仕事に取り組んでいた主人のためにも、「決して手抜きはできない。しっかりやらなければ」と思うようになりました。じっくりと時間をかけて診察をするのも、心配な動物の飼い主さんに電話で様子を聞いたりするのも、皆主人のやり方を見習っているのです。

そういうことはよくあります。重篤な症状の場合は、いつどういう状態になるかわかりませんから、私も気になって飼い主さんに連絡を入れるようにしています。そこで状況をお聞きすれば、「このようにしたらどうですか？」とアドバイスを入れられますし、飼い主さんも安心だと思うんですよね。当院には4名の獣医師がいるのですが、常時2名は必ず出勤していますので、往診や送り迎えも可能です。寝たきりの大きなワンちゃんがいたり、飼い主さんの脚が悪かったりする場合などは、ご自宅にお迎えに伺って院内で診療し、終わったら送り届けるという方法を取るケースもあります。往診もしていますが、どうしても限られた診療になってしまうので、できれば院内で診るのがベストですね。看護師は3名いて、美容室のトリマーも兼ねています。経験10年以上のベテラントリマーもいます。

はい、当院はカットや宿泊もお受けしています。普段どんな体調なのか、どんなクセがあるかなども細かくお聞きしますので、安心してお預けいただけるかと思います。通常のペットホテルは持病のある動物は断られることが多いのですが、当院では常に経過を診ている子であれば、宿泊もお引き受けできます。宿泊中には当院で処方しているお薬を飲ませ、その子の体調に合わせたケアを行いながら無理のない範囲でお散歩などに連れて行きます。性格によっては滞在中に寂しくなってしまう子もいるので、通りがかったときは必ず名前を呼んで優しく声をかけるなど、常にコミュニケーションを取ることを忘れないようにしています。

そうですね。その子の体調にもよりますが、元気な子でも1年に1回は定期健診を受けることをお勧めしています。春はワンちゃん、秋はネコちゃんの健診キャンペーンをやっているので、そのときに受診する子も多いですね。いつも健診を受けていれば、その子の健康時のデータが分かるので、異常値が出れば「何かあったのでは？」と比較できるという利点があります。悪くなってから突然検査をするより、病気の発見も治療も早くでき、悪化する前に抑えることが可能です。当院には最新の超音波や内視鏡・レントゲン・麻酔の機械など、精密な検査や手術ができる機器がありますので、安心してお任せいただければと思います。がんや心臓病・腸の病気なども、麻酔をすることなく、超音波を使って疑わしいかどうかを判断できます。誤飲の場合などは、喉を切開することなく内視鏡で検査を行えます。食道や胃の疾患なども、内視鏡で診ることが可能です。

たとえ小さな心配があって初診に来られた場合でも、きちんと検査を行ってその子の体調を把握し、責任を持って面倒を見るというスタイルを取っています。病状によって診察が長くなりそうな場合には、午後の診察開始時間30分前に来ていただいて、じっくりとお話を伺うなどの方法も取っています。これからどうしていくかという具体的な方法などは、私の意見をお伝えするだけでなく、飼い主さんの生活スタイルなども伺いながら、負担のない方法を取る必要もあります。私自身も仕事と子育てで毎日忙しいので、飼い主さんに無理な通院などは強要できないと、実感として思うんですよね。かといってベストの治療法というのもきちんとわかっていただく必要があるので、診察は必然的に長めになります。そう言う私も、土曜日は娘を診察室に連れてきて飼い主さんに面倒を見てもらいながら、私はワンちゃんネコちゃんを診察したりしているんですよ（笑）。この地域ならではなのか、地域ぐるみでお互いに助け合っているという感じです。

私は福島で育ったので、受験戦争などに揉まれることもなく、のんびりと育ちました。東京はこの荒川区しか知らないのですが、福島育ちの私にとってとても居心地の良い場所です。勉強はけっこう好きだったかも知れません。学級委員もよくやらされるような、真面目な学生でしたね。音楽が好きで、中学・高校と管弦楽をやっていました。中学生の頃はクラリネット、高校生の頃はバイオリンを弾いていました。ひとりで何かをするより、皆でやるのが好きな方だったので、管弦楽はとても楽しかったです。

私の父が医師で、私自身も医療の道に進みたいとずっと思っていました。中学生の頃から動物に興味を持ち始めて、「獣医師になりたい」という気持ちが芽生え、高校卒業後は福島から上京して大学の獣医学部に進みました。病院は子どもの頃から身近な存在だったので、自然とこの道に進んだという感じですね。

これからも地域のホームドクターとして、皆さんに信頼していただける獣医師であり続けたいと思います。ただ優しく接するだけでなく、ときにはワンちゃんネコちゃんのために、はっきりと真実を言うことも必要だと感じています。「余命がどのくらいですか？」と聞かれれば、うやむやにはせず、「私が思うところこれくらいです」とお知らせします。そして、獣医師として「この治療法がベスト」と思ったときには、飼い主さんを説得することもあります。ただダラダラと時間を引き延ばしても、動物が辛いだけとわかっている場合は、「このまま様子を見ましょう」とは言えませんから。飼い主さんにとっても、動物にとっても最良の結果が出るよう、これからも獣医師として腕を磨いていきたいです。

ワンちゃん、ネコちゃんを間にして、人と人との付き合いができる獣医師でありたいと思っております。どんなささいな心配事でも結構ですので、どうぞ気軽に相談してください。予約制ではありませんので、お散歩のついでに「ちょっと寄ってみようかな」と思われたときにでも、お寄りいただければと思います。当院で診ているワンちゃんネコちゃんであれば、お電話でのご相談にも対応します。「こういう感じの症状が出ているのだけど、どうしたら良いでしょうか？」というような質問も大丈夫です。どうしても連れて来られないほど病状が悪い場合は、往診などフレキシブルに対応しますので、ひとりで悩まずご連絡いただければと思います。