石川孝之 院長の独自取材記事
アミン動物病院
(荒川区/荒川区役所前駅)
最終更新日: 2023/01/22
都電荒川線「荒川区役所前」駅より徒歩5分ほどの場所にある「アミン動物病院」。入口はガラス張りになっており、外からでも中の様子が伝わる造りになっている。石川孝之院長の「敷居を低くしたかった」という言葉通り、初診でも気軽に入れるような明るい雰囲気の院内だ。散歩の途中で遊びに来る患者や、こまめに体重を測りに来る患者も多く、飼い主と友人のように日常会話を楽しんでいる。そんな気負いのないコミュニケーションの中で、病気を早めに見出し早期治療に繋げる―そうした姿勢こそ、飼い主との信頼関係を築き、ペットのかかりつけ医として地域に根付いている理由なのだろう。 (取材日2014年6月2日)
大切なのは予防医学。ワクチンで病気を未然に防ぎたい
診療において、最も重視していることは何ですか?
人間医療にも言えることですが、最大の治療方法は「病気にかからないこと」です。そのためにも当院では、ワクチンや予防薬などの「予防医学」を大切にしています。エイズや白血病などの病気は、ワクチンを打っていれば防げるものなのです。予防の手立てがある病気で亡くなってしまうペットを診ていると、とても悲しい気持ちになります。そんな命を1匹でも多く助けたいと考え、飼い主さんには予防の重要性をしっかりとお伝えしています。
力を入れている治療はありますか?
犬のアトピーなど、皮膚病の治療に力を入れています。例えば、最近では「インターフェロン療法」という、注射を用いた治療法を導入しました。これは、免疫を調整することでアトピー性皮膚炎を改善していく薬です。ただし、この治療はこまめに通っていただく必要がありますので、その他にも飲み薬や塗り薬、食事での改善など、さまざま治療法をご提案しています。ペットそれぞれの症状やかけられる金額などを踏まえながら、飼い主さんと一緒によりよい方法を選択していきたいと思います。
動物たちに接する際、心がけていることはありますか?
ペット1匹1匹を自分のペットだと思って診療しています。飼い主さんにとってはたった1匹の大切な家族ですから、丁寧に接することはもちろん、最適な治療法をとことん考え、根拠に基づく治療を進めていく。そのためにも、普段からペットに触れている飼い主さんへの問診はたっぷり時間をかけて行い、見落としがないよう心がけています。それに、飼い主さんも私自身も、ペット好きという共通点があるわけですから、よりよい診療のためにも仲良くなりたいと思っています。人と人の付き合いですし、治療のために動く金額も大きいですから、治療の具体的な内容や金額、期間などについても、誤解が生じないようにしっかりお話します。
自分が本当にいいと思ったものを提供できるのが開業医の強み
先生が獣医師をめざされたきっかけを教えてください。
幼い頃から動物が好きで、実家ではずっと猫を飼っていましたし、学生時代には犬も飼っていました。家族全員が動物好きなので、動物に触れる機会そのものが多かったです。母方の祖父の家には常に20匹ほどの猫がいて、足の踏み場がないほどでしたね(笑)。そのおかげで中学生の時から獣医師になりたいと考えるようになり、それからはずっと犬猫を診れる獣医師になることを志してきました。
勤務医時代にはどんなことを学ばれましたか?
私はずっと犬猫を診たいと思っていたので、牛や馬、豚などの家畜動物の診療を主に学んでいた学生時代とは異なり、実践で犬猫の診療ができた勤務医時代は勉強の連続でしたね。教科書で得た知識が全く役に立たなかったり、その時々、そしてペット1匹1匹で最適な治療薬が異なってくる。日々衝撃を受ける中で、交通事故に遭った急患の動物が運ばれてきたことがありました。その時、瞬時に的確な指示を出して治療に対応していた先輩の姿に、治療は1分1秒が命取りになること、迅速に正確な判断を下すのが医師にとってどれだけ重要なことかを知りました。
開業はいつ頃からお考えだったのですか?
獣医師をはじめた頃からずっと、ゆくゆくは開業したいと考えていました。勤務医としてしっかり経験を積めたかなと感じていた頃、地元であるこちらの場所が使えることになり、開業を決意しました。荒川という土地柄、患者さんは地域の方々が多いのですが、最近は口コミやご紹介でいらっしゃる患者さんも増えてきましたね。地域に根付いていきたいと考え、往診も積極的に行っています。動けないペットはもちろん、診察時間にご来院できないお忙しい飼い主さん、そしてお車をお持ちでない飼い主さんなど、さまざまな事情を考慮して広い範囲にお伺いしています。また、院内はバリアフリーにしたので、高齢の飼い主さんやペットカーを引いていらっしゃる飼い主さんにも喜んでいただいています。内装は白を基調に清潔感を大切にし、壁は外からでも雰囲気がわかるガラス面にしました。
開業して良かったことは何ですか?
やはり、治療法や薬について、自分が本当にいいと思ったものを提供できることですね。勤務医時代は、この症状にはこの薬が効くと考えても、その病院で取り扱っていないものなら提供することができませんでした。しかし開業した現在は、本当にいいと感じた治療法や薬をどんどん取り入れ、たくさんの選択肢から選んでいただくことができます。ペット1匹1匹の症状や性格、飼い主さんの方針やかけられる費用などをしっかり把握した上で、最適なものを見極めること。これは、勤務医時代からずっとめざしてきた私の治療方針です。
気軽に、そしてこまめに通えるような医院をめざしたい
そんな先生のリラックス方法はありますか?
車やバイクが好きなので、学生時代は自動車部とオートバイサークルに所属していました。運転が好きで、研究室に入る3年生までは毎週末サークルでドライブやツーリングをしていましたね。今でも車やバイクに乗ることはありますが、子どもが産まれてからの休日は家族との時間になりました。子どもたちも全員動物好きなんですよ。「次のお休みはどこに行きたい?」と聞くと、3回に1回は動物園と答えるほどです(笑)。上野動物園の年間パスポートを持っていて、家族全員でよく出かけていますし、家でも犬や猫、カエルや熱帯魚などを飼っています。将来は病院を継いでくれるかな、と少し期待しながら、楽しそうに動物と遊ぶ子どもたちを見ている時間が、1番のリラックスになっていますね。
トリミングサロンやペットホテルも併設しているのですね。
私自身ずっとペットを飼っていたので、トリミングサロンやペットホテルの必要性を感じていました。シャンプーや宿泊時の様子から異常が見つかり、そこから病気の早期発見に繋がることもあるのです。当院では、診療の際に正しいシャンプーの仕方をレクチャーすることもあるんですよ。時間があれば、トリミング室で実際にシャンプーをしながら、耳や顔などの洗いにくい箇所の洗い方や、ペットが嫌がらない水のかけ方などを細かくお伝えしています。ペットの健康を維持するためには、ご自宅でのケアも非常に重要です。例えば、アレルギーのため専用の食事を処方しているペットの場合、かならず処方している食事だけを食べていただく必要があります。他の食べ物を食べないように、ご家族全員がペットの状態を把握していることが大切です。そのため当院では、ご家族全員がペットの症状やご家庭でのケア方法をご理解いただけるように、資料を作ってお渡ししています。
2013年10月から、武田先生と一緒に診療されているのですね。
武田先生は高校時代からの友人で、富士サファリパークでゾウやキリンの診療をしてきた、異色の経歴の持ち主なんです。サファリパークの動物たちは基本的に直接触れて治療することができませんから、ずっと犬猫の診療をしてきた私には思いもよらないアイディアをもらうことができ、とてもいい刺激になっています。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
ペットのことで困ったら、「アミン動物病院に行けば大丈夫」と思っていただけるような病院でありたいです。その子から得られる情報はすべて飼い主さんに伝え、必要な場合は責任を持って専門医をご紹介させていただきますし、他院に行っていろんな先生の意見を聞いていただくことも、むしろいいことだと思っています。また、気軽に遊びに来れる場所でもありたいです。体重を測るだけ、食事に来るだけ、それだけでも構いません。日常会話の中でも、病気を発見できることはたくさんあります。敷居を低くしてお待ちしておりますので、気軽に、そしてこまめに通院していただきたいです。