野上友輔 院長の独自取材記事
のがみ動物病院
(荒川区/赤土小学校前駅)
最終更新日: 2023/01/22
「のがみ動物病院」は、東部スカイツリーライン・赤土小学校前駅徒歩5分のゆったりとした住宅街にたたずむ一軒家の動物病院。ブルーの大きな建物にイエローの文字が映えるインパクトある外観だ。待合室に入ると診察室が2つあり、院長の野上友輔先生と妻である野上三枝先生が日々、犬・猫専門の診察を行っている。心がけているのは、飼い主と犬・猫とのコミュニケーションをしっかり取り、部分的ではなく体全体を丁寧に診る医療。検査機器も超音波、レントゲンなど基本的なものだけでなく、眼科の検査や手術に用いる機器もそろえられている。気さくで相談しやすい雰囲気の野上院長に、動物診療に対する強い思いをさまざまな角度から伺い、心温まるひとときを過ごさせていただいた。 (取材日2015年3月17日)
動物の体の状態をトータルで診る、獣医師夫妻が診療する動物病院
獣医師になろうと思ったきっかけは何ですか?
子どもの頃から動物が好きで、動物関係のテレビ番組をよく見ていたんです。特に野生動物の生態を扱った、動物が厳しい世界でいかに生きていくかというような番組がすごく好きでした。動物の生態に興味を持ったことで、小学校の頃から獣医師になりたいと思っていました。自宅の環境から犬や猫を飼ったことはなかったのですが、どうしても飼いたいという気持ちがありましたので、余計に惹かれたところもあったかもしれませんね。父が会社を経営していたので、それも選択肢の1つとしては考えましたが、やはりこの道に進みたいと思い、獣医学部に進学しました。その後、愛知県と東京で勤務医をして、1999年に開業しました。
どんな動物病院をめざして開業されたのですか?
最初はすぐ近くのビルのテナントで開業し、その後こちらに移転したんです。外観と内装は私の好きなブルーを基調にした、ちょっと目を引くものを選びました。開業当初からずっと、獣医師が主導権を握るのではなく、飼い主さんにしっかりと説明して、納得してもらった上で治療することを心がけています。いつも自分が飼い主さんだったらどんな病院がいいかなと考えると、私はやはり犬や猫がどんな病気にかかっている可能性があるのかをしっかり説明した上で、どういう治療法があるのかという選択肢を提示し、それを飼い主さんに選択してもらった上で、その希望に対してできる限りの治療をさせていただく、そういう動物病院でありたいと思っています。飼い主さんとも犬・猫ともしっかりコミュニケーションを取りながら双方にとっての最善の治療法の選択をしてもらうということですね。また、診察の時は飼い主さんからの情報が最も重要ですが、最初から体の一部分だけを見てしまうと病気をを見逃してしまうこともあるので、総合的に診察を行い診断するようにしています。例えば、目がおかしいとのことで来院されたからといって、実は目の病気ではなく、他の病気から目に症状が出ていることもあるんですよ。ですから必ず、診察の時は全身のチェックと症状から考えられる病気をご説明してから、必要な検査や治療法を提示し、飼い主さんに検査法や治療法を選んでもらうようにしています。
こちらは獣医師の先生がお2人いらっしゃるということですが。
妻は、大学の同級生なんです。普段の診療は、2つの診察室に分かれてそれぞれで行っています。眼科の症状の際は私が診ますが、2人とも総合診療を行っていますので、特に意識的な区別はしていません。ただ、犬・猫にも女性医師、男性医師で相性のある子がいるので、そういう時にはどちらの子にも対応できますね。また、当院は手術も行っています。手術の際には妻が麻酔をし、私が術者となって、最低でも3、4名のスタッフで行っています。
動物とのアイコンタクトを大切にしてほしいという思いから、眼科の機器も導入
こちらでは、どのような検査が可能ですか?
獣医師の先生はみなさんおっしゃることですが、動物はしゃべれないので微妙な症状がつかみづらいんです。飼い主さんから得る情報がすべてになりますので、やはり検査は重要だと思っています。超音波、血液検査、レントゲンなど基本的な健康診断のほか、眼科の検査機器もそろえました。健康診断は最低でも年に1回は必要だと思います。ただ、まだ若い子はいいのですが、犬も猫も人間の4倍の速度で年を取りますから、1年に1回ということは4年に1回ということになりますよね。そんなにほっておいていいのかという不安もあるので、人が人間ドッグに行くのと同じで、年を重ねたら3か月か6か月に1回は健康診断するのが理想だと思います。
眼科の検査機器をそろえられたのはなぜですか?
犬・猫の眼科は学校でもあまり学べる分野ではないので、以前は専門医に任せていたのですが、自分の診療の幅を広げるためにも、ここでも目の病気を早期発見できるように勉強し、積極的にやっています。犬や猫も白内障や緑内障になりますし、目の病気はとにかく早期の発見が重要なんです。普段、犬や猫と暮らす中で、目ってとても大事だと思うんです。犬や猫と目を合わせることって普段の生活でもすごく多いですし、目でコンタクトを取って会話していると思いますから、それができないと飼い主さんも寂しいですし、犬や猫もかわいそうだと思うんです。ですからスリットランプや眼圧測定、眼底検査などの検査機器のほか、目の手術ができる機器もそろえました。特殊な顕微鏡などが必要になる手術は専門医をご紹介していますが、簡単な手術は当院で行うことができます。
犬や猫を飼い始めた時に気をつけることはありますか?
歯に関することは飼い主さんによく相談されるので、来院された時は必ず口の中もチェックしています。歯に関しては歯磨きが一番いいので、小さい時からいやがらないように習慣づけるといいですね。口を触るところから始めて徐々に慣らしていくんです。できたらごほうびをあげて学習させてあげると、歯ブラシを持っただけで寄ってくるようになる子もいますよ。1日1回程度でいいので、歯の表側中心に小さい頃から初めてほしいですね。また、去勢や避妊も子犬や子猫を飼ったらすぐに相談に来ていただきたいと思います。女の子も男の子も年齢が高くなると性ホルモン関連の病気が増えていきます。少なくとも避妊・去勢手術をしておけば、そういった病気の発生を予防できる可能性が高くなります。とくに女の子場合は若いうちに避妊手術を受けておけば乳腺腫瘍の発生の確率は低くなりますし、女の子も男の子も年を重ねてからでは、麻酔が体の負担になりますし、必然的に傷の大きさも大きくなりますから若いうちに手術を受けていただくことを推奨しています。また、飼いはじめにはしつけも勉強しないといけないですし、動物病院を早めに訪れて、獣医師とよく相談してほしいですね。病院に不慣れなわんちゃんや猫ちゃんには、診察台で飼い主さんの許可を取っておやつをあげて慣れてもらうこともありますよ。中には、そのうち診察台で喜んで待つようになる子もいます(笑)。
健康状態をつかむためにもより気軽に来てもらえる動物病院に
情報発信に力を入れてらっしゃるのはなぜですか?
どうしても動物病院は敷居が高いと思うので、もっと気軽に来ていただけるようにしたいんです。メールマガジンで情報発信やキャンペーンのお知らせをしていてたくさんの方に登録していただいています。月に1回はスタッフとみんなで会議を開いてキャンペーンなどの企画をするようにして、まずは病院に足を運んでもらえるよう努力しています。私自身も病院に行くのは好きじゃないですし(笑)、フードの相談や購入などで気軽に来院していただけるようにしたいんです。やはり年に1回しか会わない子より、何度も会っている子のほうが健康状態もわかりやすいですからね。普段から飼い主さんとわんちゃん猫ちゃんとコミュニケーションを取っておきたいんです。
プライベートなお話もお聞きしたいのですが、休日の過ごし方や信条としていることについて教えてください。
最近は妻と一緒にゴルフを始めたので、ゴルフの練習に行くことが多いですね。あとはもともとサッカーをやっていたので、ゴルフやサッカーなどのスポーツをしていることが多いです。そのほかは平日に行けない勉強会に出席しています。大切にしているのは、「努力」ですね。「努力」という言葉は好きです。最初からできる人はいないと思うんです。勉強でも仕事でも何でもそれをいかに自分で努力して身につけていくかだと思うんですよね。常日頃、そういうことは考えていますね。
最後に、今後の展望をお聞かせください。
基本的には変わらず、飼い主さんとしっかりコミュニケーションを取りながら動物の体をトータルに診る医療を続けていきたいですね。それに加えて、いろんな情報発信ができればいいなと思っています。最近は子犬を飼う方が少なくなってきて、犬や猫の世界も人間と同じで少子化高齢化ですので、シニアの検査も積極的にやっていけたらと思っています。また、猫の診療も積極的にしていきます。犬のように散歩に出ないので、猫ちゃんは他の猫とのコミュニケーションをとることもなく、病院の情報や病気の発見も遅れがちなので、できるだけ来院しやすい病院の環境も作っていきたいですね。これからも飼い主さんにも犬猫にも親しまれる病院を目指していきたいと思います。