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木村真治院長、門馬郁美副院長の独自取材記事

王禅寺ペットクリニック 新百合ヶ丘病院

(川崎市麻生区/新百合ヶ丘駅)

最終更新日: 2023/01/22

新百合ヶ丘駅からすぐ。「王禅寺ペットクリニック新百合ヶ丘病院」は、いつもゆったりと居心地のいい雰囲気に包まれている。「お散歩ついでに立ち寄ってくれるワンちゃんも増えてきたんですよ」と、お人柄がにじみ出たような優しい微笑みを浮かべるのは門馬郁美副院長。「飼い主さんの一番望まれる寄り添い方に沿った医療を提供していきたい」と、木村真治院長も温かく穏やかな笑顔で出迎えてくれる。長く地域の動物たちの健康を守り続けてきた「<a href='http://animal.doctorsfile.jp/h/10118/df/1/' target='_blank'>王禅寺ペットクリニック</a>」の分院として2013年2月に開業。本院と変わらぬ充実した医療体制を整えながら、より日常ケアに重点を置き、飼い主に寄り沿った診療を心がけている。「動物たちと過ごすかけがえのない時間を思い切り楽しんでほしい」という木村院長と門馬副院長に、日々の診療で感じる思いや目指す医療の姿、獣医師を志した理由やご自身の自由な時間の過ごし方などプライベートなお話まで、たっぷりと語っていただいた。 (取材日2013年6月25日)

オープンな雰囲気のなか、全スタッフ一丸となって動物たちと飼い主をサポート

広くゆったりとした温かみのあるクリニックですね。

【木村院長】ありがとうございます。当院は、長く地域の方々に信頼いただいている「王禅寺ペットクリニック」の分院として2013年2月に開業。私はこちらをメインに、本院でも診療を担当しています。動物たちは犬・猫がほとんどで、どちらかといえばワンちゃんが中心。これまで本院に通ってくださっていた近隣にお住まいの方々のほか、新百合ヶ丘駅から徒歩2分という好立地で、電車を利用して通院くださる方もいらっしゃいます。もうひとつの分院「猫の診察室」も合わせ、電子カルテシステムで情報を共有しているため、どの病院にかかられても前回の診療内容に基づいた治療が可能です。その点も飼い主さんの大きな安心感につながっていると感じています。 【門馬副院長】私は、現在は新百合ヶ丘病院専属で診療をしています。手術や入院に力を入れている本院に比べ、より日常のケアで来院くださる方が多いと感じています。ゆったりと開放感のある待合室は飼い主さんからもご好評いただいていて、一度足を運ばれると「本院よりこちらのほうが」と気に入って移ってきてくださる方も多いです。玄関も広く、道路にも面しているので、お散歩ついでに立ち寄ってくれるワンちゃんたちも増えてきたんですよ。そんなふうに身近に感じてもらえるのはとてもうれしいですね。

オープンな雰囲気の診療室がとても印象的です。

【木村院長】当院はスタッフ全員が同じ場所に集まることを大事にしているので大部屋診療が基本。これは本院もまったく同じコンセプトです。個室にこもってしまうと、例えば「ちょっと犬が暴れてしまった」「わからないことを聞かれた」といった時、すぐに助けを求めることができないでしょう?でも大部屋診療なら、まわりが率先して「助けよう」という空気になります。ドクター側に大きなメリットがあると同時に、よりよい治療結果につながり、患者さんにも喜んでいただけることになると思うんです。それに、どうしても「合う・合わない」というのはあるはず。腕のいいドクターがすべての飼い主さんに受け入れていただけるとも限りません。複数のドクターで診ていれば、何度か通っていただくうちに「この先生は合う」というのもわかってくると思いますからね。もちろん、個別にシビアな話をしなければいけない時に利用する個室もご用意しています。それぞれのメリットデメリットを考慮しながら、臨機応変に対応しています。 【門馬副院長】診療室内の様子は、ガラス越しに待合室からもご覧いただくことができるので、飼い主さんも常にオープンな雰囲気を感じてくださっていると思います。大部屋診療でドクターの数が多いほど、相談できる人も多くなるということ。悩む症例に出会ったときなど、私たちも心強いんですよ。本院分院合わせ22人いるドクターのうち、当院には3〜4人が常駐。本院に比べると少ないのですが、それだけやりがいがあるとともに大きな責任感も感じています。

とても意識の高い飼い主さんが多いそうですね。

【木村院長】そうですね。このあたりにお住まいの飼い主さんは非常に意識の高い方ばかり。それぞれのお考えやご事情に沿った診療するのはもちろんですが、「ベストと思った治療が受け入れられずジレンマを感じる」という場面は少ないように思います。動物たちの平均年齢が上がってきている現在、改めて実感するのが終末期医療の難しさ。病気ととことん闘うのが本当にその子にとってベストとも限らず、人の医療との違いを痛感しています。結局、飼い主さんが求めていらっしゃるのは「最後まで寄り沿っていてほしい」というところ。ちょっとした言葉ひとつが心に響くこともあるでしょうから。「できるだけのことを」「積極的な治療は望まないがずっと見守っていて」という、飼い主さんの望まれる寄り添い方に一番合ったドクターがついてさしあげるのが一番。それができるのも、大勢ドクターがいる当院ならではの部分だと思っています。 【門馬副院長】私は皮膚科を専門としているのですが、皮膚の疾患は目で見てすぐわかることもあって、ちょっとした湿疹でも初期の段階で気づいて連れてきてくださる飼い主さんが多いんですよ。本当に意識の高い方ばかりなのだなあ、と感じます。動物たちのことを考えて診療しなければいけないのはもちろんですが、飼い主さんあってのワンちゃん・猫ちゃん。私は「飼い主さんはどこを大事にされているのか」を常に意識するようにしています。時には、治療である程度の回復が見込めるのに、「そこまでは」と飼い主さんが望まれず、複雑な思いをすることも。何も話せない動物たちを見ていると「治療してあげたい!」と思ってしまうんですけどね。とても難しいところです。

動物たちに囲まれて育った幼少時代。学び続けることの大切さを日々、実感

先生方はなぜ獣医師を志されたのですか?

【木村院長】私は、もう本当に「いつの間にか自然に」というかんじでした。犬や猫、昆虫など小さい頃からいろいろと飼っていて、とにかくいつも身近に動物がいました。病気になると「なんでこうなってしまったのだろう」と、考え込んだりしていたのですが、その延長線上にあったというか。「獣医さんになりたい」というよりは「自分の飼っている動物たちを自分で診られたらいいな」という気持ちが、一番のきっかけだったように思います。 【門馬副院長】私も小さい頃からまわりに動物が多かったんです。実は、実家で牛を飼っていたので、獣医さんがよく通ってくれていて。そんな様子も見ながら育ちましたから、今の仕事とはちょっと違いますが、獣医さんはとても身近な存在に感じていたんです。今、このあたりで酪農をやっている方って、なかなか見かけませんよね。そう考えると「自分はずいぶん貴重な経験をしていたんだなあ」と、心から思います。

一番やりがいを感じるのはどのような時でしょう?

【木村院長】現場にいると、実はそういうことを考える暇さえないんですよ。たまたま先日、手の空いた時間にクリニックのまわりを歩いてみたら、診療を終えたばかりのワンちゃんと飼い主さんを見かけて。診療内容としては避妊手術で一泊お預かりしただけの方だったのですが、もう本当にうれしそうに満面の笑みでワンちゃんを抱っこし、大喜びされているんです。その姿を拝見したら、「私たちは慣れてしまっているけれど、やりがいのあることをしているんだなあ」と、改めて感じずにはいられませんでした。医療は日々、進歩していますし、正直、これだけ勉強してもわからないことばかりの世界だとは獣医師になるまで思ってもいなかった。でも、学ぶからにはとことん突き詰めたい。なかなか厳しいですが、これからも精一杯努力していきたいと思っています。 【門馬副院長】やはり診ていた子がよくなって飼い主さんが喜んでくださる時でしょうか。獣医師だけが治していくのではなく、飼い主さんも「自分たちも一緒に診ていくんだ」という雰囲気のなかで結果が出ると、「やっててよかったなあ」と心から思いますね。私も学生時代は、獣医師がこれほど学び続けなければいけないというイメージは、正直あまりなかったんですよ。でも、実際の現場に出れば出るほど、その重要性を実感。「もっと努力していかなければ」と、日々、感じています。

ご自身の自由な時間の過ごし方をお教えください。

【木村院長】私は、どうしても休みの日も頭のなかが仕事でいっぱいになってしまって(笑)。離れられないというのが大きな課題なんです。唯一、家族と過ごすときだけが仕事を忘れられる時間。大切なリラックスタイムになっていますね。もし、ものすごく自由な時間があって何でも好きなことをしていいと言われたら……誰もいない無人島にでも行って、仕事を一切忘れた時間を過ごしてみたい(笑)。どこに行っても仕事と結びつけてしまう悪い癖があるので、どうなるかわかりませんけれどね(笑)。 【門馬副院長】私は自然が大好き。大学が田舎にあったこともあり、今でも山に行ったり、きれいな景色を見に出かけるのが好きなんですよ。実は、学生の頃からバイクを始め、今乗っているのはハーレー。バイク好きのスタッフとは、箱根あたりまでよくツーリングに行きます。富士山近くまで足を延ばすと本当に気持ちいい。気分転換にもなり、とてもリフレッシュできますね。

動物たちと過ごす時間はかけがえのないもの。ぜひ思い切り楽しんでほしい

開業から約半年。率直にどのようなことをお感じになりますか?

【門馬副院長】開業からまだ間もなく、本院ほどの混雑がないこともあって、これまで本院に通ってくださっていた方々が来院くださると、今まで以上に会話をすることができるんです。私たちも声をかけやすくなりましたし、患者さんも「質問しやすくなった」とおっしゃってくださる。結構深いところまでお話させていただくこともあるんですよ。そんな何気ない雑談の時間が増えたことが「よかったなあ」と心から思うんです。これからもずっと大切にしていきたい時間ですね。 【木村院長】ある意味「本院は病気を治す」救急医療の場所。ここでは「本院でできなかったことをしっかりやろう」という思いがあり、今後、動物病院として飼い主さんに対してしていかなければいけないことは何かを考えながら取り組んでいるつもりです。例えばもう7、8年のお付き合いになるワンちゃんは、難しい病気を抱えながら高齢になるまで頑張ってくれて、すでに介護の段階。今日は飼い主さんが介護疲れしてしまわないよう短時間だけお預かりしていました。そういうお付き合いをされている方もいるように、医療現場は必ずしも病気を治すだけではないんです。私は、動物を飼っている方々が「犬や猫と生活することはこんなに楽しいんだ」と気づき、もっと幸せになっていただきたい。実は、今、看護士主体で「ワンちゃん・猫ちゃんを飼っていて楽しかったエピソードを教えて」というアンケートをとっているのですが、想像もしなかったエピソードが次々に出てくるんです。今後は、それを集めてみなさんに発信していくつもり。「動物病院に通うと楽しいペットライフに出会えるんだ」という風になってくれるといいなあと思っています。

先生方の今後の展望をお聞かせください。

【門馬副院長】当院では日中だけ動物たちをお預かりするペットホテルを行っているのですが、そちらの需要がとても高いんです。「買い物に連れてきたけど車に置いておくのは心配だから3時間だけ」とか「仕事で出ている時間ずっと」とか。本当に保育園のように、もう固定で預けていかれる方もいらっしゃいます。そういう本院とは違った流れの患者さんたちを大切にしていきたいですし、動物たちの日常ケアに力を入れつつ、今後は救急も含め、本院でやっているような医療にも対応できるよう、連携部分もあわせた体制作りに力をいれていきたいですね。また、個人的には専門の皮膚科の診療を充実させていきたい。勉強する環境をいただけることは、私自身、自信もつき、向上心につながっていくと感じるんです。今、大学病院でも診療していますし、そんな高い専門性を生かし、まわりのクリニックからも頼っていただけるよう一層の努力をしていきたいと思います。 【木村院長】私は、今、クリニック経営側の視点で考えることのほうが多くなっているのですが、よい医療を提供しようと思うと、やはりいい獣医師、看護士を育てなければならない。その人たちが力を発揮しやすい環境を作っていかなければならないと思うんです。例えば、日本の女性の獣医師は30代後半くらいになると臨床現場にほとんどいないとも聞きますが、それは一度現場を離れてしまうと復帰しにくい環境にあるから。せっかくの豊富な経験や能力を発揮できるような場を提供していきたいですし、当院のスタッフに関してはさまざまな事情が変わっても働き続けられるようになるべくサポートしていきたいですね。また、年々求められる医療レベルの高さが上がってきている現在、正直、一人のドクターがすべて網羅するのは不可能。その点、当院には腫瘍、整形外科、眼科、皮膚科など専門色を出している先生も多くいて、何かあればその専門ドクターに聞くという体制を整えています。私が目標にしているのは、当院を受診くださった動物たちは当院のなかだけで十分な診療ができるようにすること。身近なクリニックでありながら、高度な医療をご提供し、しっかり診てさしあげたいと思っています。

動物たちと一緒に明るく快適な生活を送っていくため読者にメッセージをお願いします。

【門馬副院長】動物はしゃべれませんから、飼い主さんが気づいてあげないとわからないことがたくさんあるんです。病院に連れてこられると緊張して余計に隠してしまうこともありますしね。今の飼い主さんはとても意識が高く、ちょっとしたことでも「これはおかしい」と気づいてすぐに連れていらっしゃる方が多のですが、ぜひ、これまで以上に普段の様子をしっかりみて「いつもと同じかどうか」と気にしてあげてほしい。とにかく、病院は「病気のときにだけ行く場所」ではなく、「もっと気軽に足を運んでいただいていい場所」。日常のケアや健康診断、しつけ、毛玉や歯みがき、予防など病気ではないところでの相談も気軽にしていただきたいですね。本当にお散歩がてら、ちょっとのぞきにいらしていただけるとうれしいです。 【木村院長】私はやはり、動物がいる生活ってものすごく特別なことだと思うんです。いるのといないのとではライフスタイルがまったく違ってきてしまう。飼っている方には「ペットと過ごす時間は楽しい」と、より実感していただきたいですし、もし病気にかかって治療が必要な方にも、飼っていることがつらくなってしまわないでほしい。私たちも、例えば毎日通う方もつらくならないよう、なるべく楽しいお話をしますし、あとで思い返したとき、「長く通ったけれど通院も楽しかったな」と、感じていただけるような病院作りをしていきたい。とにかく、動物と一緒に過ごすというのは、たくさん楽しい思い出をもらえるもの。単純ですが、たくさん写真を撮ったり、じゃれあったり。一緒に過ごす時間を思い切り楽しみ、かけがえのないものにしていただきたいですね。

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