石井太郎 院長の独自取材記事

会社全体の理念でもあるのですが、ペットが生まれてから最期に至るまで、トータルケアを提供している点がうちの最大の強みかなと思います。ペットショップ併設でトリミングやしつけ教室も行っているので、ここに来てくだされば全てまかなえるという一体型の経営を行っております。例えばシャンプーをしようと思ってお越しくださった方のペットに皮膚炎があるとトリマーさんが気付いてこちらに回してくださったり、逆にこちらで健康のためにトリマーさんの場所で毛玉をとってもらった方がいいとお勧めしたりだとか、同じ建物の中で異なるスキルを持ったスタッフが連携を取れる点はお客さんのメリットだと考えています。他には毎週木曜日だけですが、外部のしつけの先生にも来ていただいています。患者さんから聞かれても困らないように、獣医も含めたスタッフも勉強させてもらっています。

獣医師になりたいと思った時期は、高校2年生くらいだったと思います。親の方針で実家はペットが駄目だったのですが、祖母の家には18歳くらいの高齢の猫が居ました。その猫と親しんでいるうちに、獣医師になりたいという思いが自然にわいてきました。それ以前も、友だちの家の犬を借りて散歩をするなど、小さいころから動物は好きでした。自分の家ではペットが飼えないので、その分だけ思いが膨らんでいったのだと思います。高校卒業後は日本獣医生命科学大学に進みました。その当時は特別な知識もなかったですし、獣医師に対する先入観もなかったので、大学に入ってからは特にギャップや悩みなどもなく勉強に取り組んでこられました。ただ、卒業後に公務員になるか臨床の世界に行くか、その点に関してはずっと迷っていました。それでも30歳くらいに、自分は臨床が向いているなと思いました。臨床の現場では、患者さんの喜んでくれる姿が大きなやりがいになるからです。特に前職でおせわになった院長先生には非常に感謝しております。

もともとは大学卒業後に、院長1人、僕1人という感じの個人病院で勤務していました。その病院を退職して、「さてどうしようか」と将来の進路を考えているときに、たまたま大学時代の同期が練馬にある「ペットのコジマ」に入っていて「ここいいよ」と紹介してくれました。「ペットのコジマ」は、いろいろな症例を診ていましたし系列でいろいろな先生が居たので、勉強になるなと思って入りました。個人病院に勤めていたころは医師も僕と院長だけだったので、いろいろな得意分野を持った先生の話が聞けるという点は魅力的でした。府中で院長を任されるようになってからは、患者さんもスタッフも皆が安心して笑顔で居られる空間を作っていきたいと思ってやっています。まだまだ勉強不足で、勉強をしていかなければという思いはありますが。

パートも含めて獣医師4名、看護師4名という体制でやっています。患者さんのため、院全体のためになるような仕事を自らやってくれる優秀なメンバーがそろっています。おかげさまで当院は多くの患者さんにご愛顧をいただいております。大変申し訳なく思ってはいるのですが、日によっては2時間程度待たせてしまうほどです。スタッフもかなり忙しいとは思いますが、そのような毎日の中でも気遣いと優しさを忘れないスタッフには本当に感謝しています。クリニックのリーダーである僕としては、できるだけ皆の話を聞かせてもらいながら、そうした優秀なスタッフが働きやすい空間作りを心掛けています。

学生時代は野生動物研究会という場所に所属して、野生のサルの調査を行っていました。サルに発信器を付けて山にどんどん入って追い掛けていくなど、昔から動物が好きだったのですごく楽しかったです。例えばサルはそれっぽい鳴きをすると、鳴き返してきます。位置を仲間と確認するために鳴き合うらしくて、そういった反応は本当に面白かったです。ただ、最近では自然に入っていく時間もなくて、空いた時間に携帯ゲームをするなど、ささやかな楽しみでリラックスしています（笑）それでも健康のために食にはしっかりと気を付けていますし、ジムにも行って体を動かし汗を流すようにしています。毎週1回は整骨院にも行って、体のメンテナンスもしています。

そうですね。獣医師になって8年、9年になりますが、いまだに自分の患者さんが亡くなると耐えられないです。当然、いらっしゃる患者さんの中には治る場合もあれば、治らないケースもあるのですが、腫瘍（しゅよう）とかで亡くなってしまってしまうと本当につらいです。やはり、根底の部分で動物が好きなのでしょうね。

どこも同じだと思うのですが、町医者でありながら大学病院、専門病院並みの1.5次診療を目標に、ホームドクターとしてできる限りの治療をやっていきたいです。もちろんこちらで難しいとなれば、大学に送らせてもらえればと思っていますが、大学病院には大学病院で平日の決まった時間にしか診てもらえない、遠いなどデメリットがあるはずです。可能な限りホームドクターとして、当院で全部診させてもらうというスタンスを理想にしています。

自分の個人的な意見ですが、人間も動物もやはり予防が一番だと思います。今は犬や猫の健康診断もあるので、異変に気付いたらすぐ動物病院に連れていってもらえればと思います。あとは問題があってもなくても構いませんので、毎日の生活の中で何かちょっとおかしいと思ったら、動物病院に足を運んでもらえればと思います。予防できる病気は全て予防していく、そのお手伝いが当院でもできればと思っております。