深堀祥光 院長の独自取材記事
リアン動物病院
(横浜市都筑区/北山田駅)
最終更新日: 2023/01/22
横浜市都筑区で開院して2ヵ月弱。おしゃれな外観は洋菓子店かヘアサロンかと思うほど。「敷居が低く、気軽に足を運んでもらえる動物病院にしたい」と語る深堀祥光院長は、大学卒業後、神奈川県内にある動物病院で勤務したのち、大学付属病院で専門的な研究や治療に従事。その経験を活かし、「ホームドクターとしての1次診療」と、「高度な専門医療を提供する2次診療」の中間を意味する「1.5次診療」をモットーに掲げ、一般診療から難治性疾患まで幅広く対応。その充実した診療内容に、早くも街の飼い主達から厚い信頼が寄せられている。「『リアン』とはフランス語で『絆』の意味。言葉を話せない犬や猫と、飼い主様の架け橋になりたい」と、日々、真摯な態度で治療に当たる深堀院長に、この街で開院して想うことや今後の展望について熱く語ってもらった。 (取材日2014年1月27日)
ペットと飼い主様の“絆(フランス語で「リアン」)”になりたい!
開院してまだ2ヵ月。現在の状況はいかがですか。
私の妻が横浜出身ということもあり、開院するならぜひ横浜でと考えていたんです。この都筑区のあたりも、以前からよく訪れていた場所ですし、もともと街に馴染みがありました。実際にこの街で開院して思うことは、このあたりはペットを飼っていらっしゃる方がとても多く、小型犬から大型犬までまんべんなくいるということ。飼い主様の愛情も深く、穏やかで品の良い雰囲気をお持ちの方が多いですね。それに応えるようにして、ペットの性格も穏やかで、かしこい子が多いような感じがします。
獣医師を目指したきっかけは?
高校2年生のとき、ある日、自宅の前に犬が捨てられていたんです。犬種は雑種で、当時、私の家では何のペットも飼っていませんでしたから、家族で相談し、結局、飼うことにしたんですね。私自身、昔から動物は大好きで、幼い頃はポメラニアンを飼っていましたし、近所の人が飼っている犬の散歩係を務めたりしていたのですが、改めて犬を飼育してみると、思った以上にとても楽しくて。「新しい相棒ができた!」と、毎日、一緒に散歩へ出かけたり、犬の特性を図鑑や書籍などで調べたりしましたね。そのうち、もっと犬について詳しく学びたい、将来は犬を助ける仕事に就きたいと思い、獣医師を目指すようになったんです。
病院名の「リアン」という意味は「絆」という意味だそうですね。
「リアン」はフランス語で“Lien”と書きます。言葉を話すことができないペットと飼い主様との架け橋となり、絆を結ぶことができるような獣医師になりたい、そんな想いを込めて名付けました。開院するにあたり、心がけたのは敷居が低く、親しみやすい動物病院にすること。飼い主様もペットもビクビクしてしまうような雰囲気の病院ではなく、ここへ来るとワクワクして楽しくなるような、そんな病院にしたいと思いました。病院の内装も、あたたかみのある明るい調を基調に、妻が作成したチョークアートを飾ったりしているので、手づくりの温もりや優しさを感じてもらえたらと思います。院内に掲示しているポスターやちらしなども、すべて、スタッフの手づくりなんです。それから、大型犬が来院しても窮屈な思いをしないよう、ゆったりと余裕を持たせて動線を確保。診察室や手術室などにもゆとりを作り、リラックスして治療を受けてもらえるように配慮しました。
ホームドクター+高度専門医療の、「1.5次診療」をめざして
普段、診療で心がけていることを教えてください。
私は大学を卒業後、神奈川県内の動物病院で勤務したのち、麻布大学付属動物病院で全科研修医、腫瘍科研修医に所属、治療と研究を続けてきました。言うなれば、街に根づいた地域医療としての動物病院の役割と、大学病院のような専門機関に求められる高度医療の役割の、双方を担ってきたことになります。そこで、この病院を開院するにあたっては、これまでの経験を活かし、「1.5次診療が可能な動物病院にしたい」と考えました。「1.5次診療」とは、ホームドクターとしての「1次診療」と、高度な専門医療を提供する「2次診療」の中間に位置するもの。一般診療や予防医療を行うのはもちろんのこと、それに加え、大学病院での診察経験を活かし、腫瘍疾患や心臓病、腎臓病、さらには難治性の胃腸疾患などさまざまな病気に対応したいと考えています。手術室も備えていますので、必要に応じて外科治療にも対応。さらに専門的な治療や検査機関を必要とする場合は、飼い主様のご希望に応じ、大学病院や各種専門医療機関と連携しながら診察を進めていきます。
特に専門としていることは?
長く精通しているのは、腫瘍疾患です。腫瘍の患者数は年々、増加していますが、その大半が根治は難しく、最終的には転移して亡くなることも少なくありません。それでも、腫瘍とうまくつき合い、無理せず、明るく、天寿をまっとうさせるために、獣医師として何ができるか、日々考えながら1件1件、真摯に治療を行っています。ペットに腫瘍が見つかると、どうしても飼い主様の心理的負担も大きくなり、「飼育の方法が悪かったのかしら」と、ご自分を責められる方もいらっしゃいます。「ご自分を責めず、この子にとって、飼い主様にとって最善のことを考えましょう」と、想定される治療法についてそれぞれのメリットやデメリットをしっかりご説明し、飼い主様のご了承を得たうえで治療を行うようにしています。
これまで印象に残っているエピソードを教えてください。
手術を担当させていただいた飼い主さまが、縫合した跡をみて「きれいに治してくださって、ありがとうございました」とおっしゃっていただけると、ジンと心にしみいるものがありますね。私は学生時代、とても頑固なタイプの研修医だったんです(笑)意思が強く、ときには破天荒だったり、無茶をしたりする部分もありましたが(笑)、指導してくださった先生が技術的にはもちろん、人格的にもとてもすばらしい方で、大きな影響を受けました。「君がやりたいようにやりなさい」と、いつも背中を押してもらいましたし、人の心を動かすことがとても巧みな先生だったので、その先生のおかげで、人とのコミュニケーションや信頼関係の築き方を学ぶことができたと思っています。まだこの街に開院して2ヵ月というところですが、これからも飼い主様達から信頼され、大事な家族の一員である犬や猫の健康を、安心して任せていただけるような獣医師を目指していきたいと思っています。
獣医師として、飼い主として。実体験に基づいたアドバイスを提供
こちらではトリミングやペットホテルのサービスもあるのですね。
ペットホテルは、患者様へのサービスとして行っているもので、犬舎と猫舎を分けていますので、安心してご利用いただけると思います。もちろん、お預かり中の体調の変化にはすぐ対応できますし、高齢だったり、病気をしていたりする犬猫でもお預かりしています。また、トリミングではお預かりする際に、あわせて健康チェックを行うことも可能ですし、定期的にトリミングをしたり、シャンプーをしたりすることによって、飼い主様だけではなかなか見つけづらい、隠れた病気を早期発見することも可能です。実際、ペットホテルやトリミングの利用をきっかけにして異常が見つかり、治療を始められるケースも少なくないんですよ。ペットホテル、トリミングとも予約制ですので、ぜひ、興味がある場合はお声をおかけいただければと思いますね。
先生のプライベートについてお聞きします。お休みの日は何をされているのですか。
セカンドハンドの雑貨や古着などを探しに、ショッピングへ出かけることが多いですね。学生の頃はフリーマーケットが大好きだったんです。掘り出し物を発見するのが楽しくて、毎週末、代々木公園などの大きなマーケットへ出かけていました。今はちょっと忙しいのでなかなか遠出することはできませんが、横浜近辺にもヴィンテージの家具や雑貨、古着などを扱うお店がたくさんあるので、時間を見つけて出かけるのが楽しみなんです。それから、私は大の甘いもの好きで、病院の隣にあるケーキ店の大ファン。この場所に開院すると決めたのも、実はそれが理由のひとつでもあるんです(笑)同じように甘いものが大好きな妻と一緒に、贅沢な休日の過ごし方としてスパークリングワインや時に奮発してシャンパン!と一緒にケーキを楽しむなんて事もしています。
最後に、読者の方へメッセージをお願いします。
世の中には、ペットの飼育方法を紹介する書籍がたくさん出回っていますし、インターネットでもそうした情報を仕入れることは簡単です。たとえば、ワンちゃんのツメを切るときは、「血管のギリギリまで切る」というように紹介しているものもありますが、ツメのすぐそばには神経が走っていますから、ともすると神経を傷つけてワンちゃんに痛い思いをさせてしまう、ということも起こり得ます。「それでは、一体どうやってツメを切ってあげたらいいの?」など、病気や疾病に関係しない、こんな素朴な疑問でも、ぜひお気軽に尋ねていただきたいと思いますね。私も犬、猫2匹ずつ自宅で飼っていますから、獣医師としてだけでなく、ペットの飼い主として実体験に基づくアドバイスができると思いますし、私自身、多くの飼い主様とお話させていただくうち、おすすめのサプリメント情報など、役立つ情報を教えていただくことも多いんです。「医師」「患者」という垣根を越えて、こんなふうに気軽な雰囲気のなかで気持ちのかよったお付き合いができればうれしいですね。