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田島 征幸 院長の独自取材記事

くう動物病院
(東村山市/東村山駅)
最終更新日: 2025/02/20

東村山駅から150mほど歩くと、木目を基調としたガラス張りの動物病院が見えてくる。「くう動物病院」は、動物たちの一次診療を担う地域に根差した動物病院。4部屋の診療室と、エックス線・エコー・内視鏡などの検査機器を備える。電気メスや医療用レーザー、人工呼吸器も備えて、動物の体に負担の少ない治療ができるよう努めている。田島征幸院長は、土地勘のある東村山の地で2013年に開業し、院名に忘れられない愛犬の名をつけた。「不安なときはいつでも頼ってほしい」と、地域の動物たちと飼い主に優しい目を向ける。同院の診療方針や、得意分野である腫瘍の治療について、田島院長に話を聞いた。(取材日2025年1月15日)
動物たちの一次診療を担う、東村山のかかりつけ医
先生はなぜこの場所で開業されたのですか?

以前から東村山にはなじみがあり、探していた広さの物件に出会えたこともあって2013年にこの場所で開業しました。院内はグリーンや木目を生かしたナチュラルな雰囲気で、ペットの具合が悪いときにすぐに相談できるような、通いやすい動物病院をめざしています。難しい疾患や専門的な検査・治療は大きな病院をご紹介することになりますが、まずは飼い主さんの気持ちに寄り添い、症状を見極めるのが当院の役割です。正しい診断につなげるために、エックス線・エコー・内視鏡などの検査機器を用意。また電気メスや医療用レーザー、人工呼吸器も備えて、動物の体に負担の少ない治療ができるよう努めています。ちなみに、院名の「くう」は、私が子どもの頃に初めて飼った犬の名前なんですよ。
こちらは地域の動物たちにとっての「かかりつけ医」なのですね。
そうですね。心配事があるときだけでなく、健康診断、トリミング、ペットホテルなど、気軽にご利用いただきたいと思っています。開業してから10年以上がたちましたが、当院は動物医療の入り口として一次診療を担ってきました。近年、東村山駅前は開発が進み、他の地域からの移住も増えています。それに伴いペットの数も増えていますから、獣医師4人体制で、犬・猫・うさぎ・フェレット・ハムスターと広く対応。愛玩動物看護師の資格を持つスタッフも在籍しています。わかりやすい説明を心がけていますので、不安なときはいつでも頼っていただきたいですね。
トリミングで工夫している点はありますか?

トリミングをする際は、必ず皮膚・耳・歯石など、一通り全身チェックを行った上でお預かりしています。ただトリミングをするだけではなく、プラス医療という考え方で、ペットたちの体調を考慮したトリミングができるのも当院の強みです。例えば皮膚にトラブルがあれば、それに合ったシャンプーを使用。耳の皮膚トラブルなど飼い主さんが気づきにくい部分も多いですからね。獣医師とトリマー、それぞれの目から見て気になることがあれば共有し、飼い主さんにもお伝えしています。
症状を見極めて、動物の体に負担の少ない治療を
先生の得意分野である「腫瘍」の治療では、どのような点を重視していますか?

がんなど腫瘍の治療では、内科と外科の両面から考えていきます。疾患だけに焦点を置くのではなく、さまざまな側面からの知識や経験が必要です。他の病気の有無によっても、手術や治療の選択肢が変わってきます。「わからないから手術して取りましょう」ではペットにも負担がかかりますし、飼い主さんの不安も大きくなってしまうでしょう。つまり、「悪性と良性のどちらなのか」、「それとも腫瘍以外のものなのか」といった判断がとても重要なのです。私は大学病院などで腫瘍の勉強を重ね、それらを見極める目を養ってきたと自負しています。大がかりな手術が必要な場合には、設備の整った動物病院や大学付属の動物病院を速やかにご紹介。また腫瘍の種類によっては当院内でレーザー治療などを行います。
レーザーで腫瘍を取り除くことも期待できるのですね。
動物にとってより負担に配慮した治療を行うために、当院では半導体レーザーを導入しています。高齢や病気などの理由で麻酔をかけられない場合など、頭部や顔面にできたイボや腫瘍を極力麻酔を使わずに除去するのに有用な医療機器です。その他、止血をしながらの切開手術、歯周病治療などにも半導体レーザーを活用しています。
そのほか、力を入れている治療はありますか?

心臓病の検査や治療です。以前より特にワンちゃんは心臓の病気になりやすい傾向がありましたが、新規の患者さんが増えたこともあり、検査で見つかるケースが増えてきました。検査機器や技術の進歩で、早期に見つけることで、早期対応が可能になり、心臓病の進行を遅らせたり、症状が出ないようにすることがめざせるようになってきています。飼い主さんが気づく前に検査をすることが心臓病によって苦しまないことにつながりますので、早期発見につなげるためにも、ワクチンや健康診断で定期的に動物病院を受診していただき、聴診等で心臓病の可能性があると指摘された場合には、積極的に検査を受けていただきたいですね。もし心臓の病気が見つかった場合、程度によっては薬でコントロールすることも望めます。
診療の際に心がけていることをお聞かせください。
正しい診断や適切な治療はもちろんのこと、飼い主さんとの信頼関係も大切です。治療にあたり「ペットのためにどんな検査も惜しまない」という方もいれば、「なるべくペットに負担をかけたくない」「なるべく治療費を抑えたい」など、お考えは人それぞれ。「大切なペットがどうなってしまうのだろう」ととても不安を感じている方も多いですから、できるだけ言葉を選んでゆっくりと話すように心がけています。
モットーは「誠実・丁寧でわかりやすい診療」
先生はなぜ獣医師をめざしたのですか?

祖父の影響が大きいですね。私の祖父は戦前の人で、牛や馬などを診察する獣医師でした。獣医師という職業を知ったのはそこからで、話を聞くとうちは獣医師の家系だったとのこと。ですが祖父以降、誰も獣医師になっておらず「それならば、動物が好きだし私が継ごう」と思ったわけです。初めて臨床の場に立った時は、わからないことだらけでまったく余裕がなかったことを覚えています。同じような症状でもいろいろな病気があり、必ずしも教科書どおりにはいかず。その度に先輩や先生に質問しながら、ひたすら勉強していくことを繰り返して、一生懸命に知識と経験を積み重ねてきました。
これまで診療してきた中で、印象に残っているエピソードがあればお聞かせください。
勤務医だった頃の話です。交通事故に遭い下半身不随になった猫ちゃんが遠方から通われていました。自分でおしっこが出せない状態になっており、誰かが絞って出してあげないといけません。飼い主さんはご高齢で絞ってあげることができず、動物病院でずっと預かることとなりました。月に何度か飼い主さんが面会に来ていましたね。最終的には腎臓病で亡くなったのですが、その猫ちゃんのおしっこを絞るのは私の役目だったので今でも印象に残っています。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

地域の動物たちの一次診療を担うかかりつけ医として、「誠実・丁寧でわかりやすい診療」をモットーに、飼い主さんと動物たちに向き合っています。ペットの体調に不安を感じたら、様子を見ようとはせずすぐにいらしてください。早期に発見できれば治療が軽く済むことも多いんですよ。その他、体重管理やフードのご相談、ワクチンや健康診断など、ペットの健康のために当院を気軽にご利用いただきたいと思います。