磯野 新 院長の独自取材記事
江古田の森ペットクリニック
(中野区/野方駅)
最終更新日: 2023/01/22
西武新宿線野方駅から徒歩約10分にある「江古田の森ペットクリニック」。新宿区にある本院「小滝橋動物病院」、中野区にある分院「もみじ山通りペットクリニック」の系列病院として2012年に開業し、今年3年目を迎える。院内は“森”をイメージした癒しのコーナーがあり、リラックスできる雰囲気だが、ICU(集中治療室)を含む入院施設も完備している。豊富な外科実績と新型の医療設備、幅広い分野の専門医が365日体制で診療にあたる本院との連携による高度医療と、飼い主に寄り添った何でも相談できるアットホームな診療がこのクリニックの特徴だ。整形外科が専門で、現在も大学に通い、専門知識の習得に努めている磯野新院長に、医院の診療方針や予防医療の重要性、地域のホームドクターとしての思いなどを伺った。 (取材日2015年7月24日)
高度な動物医療と、気軽に相談できる親しみやすいクリニックが目標
院内はとてもリラックスできる雰囲気ですが、こだわりのポイントを教えてください。
院内には「森」をイメージして作ったコーナーを設置しています。緑を基調に、森の中に暮らす動物たちがひょっこりこちらを覗いていたりと、自然を感じられる癒しの空間です。このコーナーは季節の花を入れるなど、年に3〜4回中身を変えており、四季折々の自然の美しさを感じていただけるのではないかと思います。院内全体も緑や茶色、白を基調にした落ち着いた雰囲気で、照明は温かみのある間接照明を選びました。音楽もジャズやヒーリング系の落ち着いた曲を選び、飼い主さんや動物たちがリラックスして過ごせる空間づくりを心がけています。
医院の診療の特徴を教えてください。
当院は新宿区にある小滝橋動物病院の分院として2012年7月に開業し、今年で3年目を迎えます。ここは、一次診療が主体で病気やケガなどを広く診ていますが、本院との連携により、専門的な治療ができることも大きな特徴です。現在4ヵ所の病院で10名を超す獣医師が在籍し、それぞれが整形外科、内科循環器科、泌尿器科、腫瘍科、脳神経科、眼科、皮膚科など専門分野を持っています。診断に迷ったら、検査画像を本院に送り、電話で専門医の意見も聞いた上で、最善の治療を提供できることも強みでしょう。本院は最新の医療設備が揃い、外科実績も豊富で、一般的な動物病院に比べ、専門的な動物医療を提供できます。専門性と同時に、地域の皆さんのホームドクターとして大切なのは、どんなことでも相談できるクリニックであることです。当院は予防から高度な専門治療まで、患者さんの立場から、親身な治療を提供できるクリニックを目標に、スタッフ一同診療にあたっています。
先生ご自身のご専門は?
大学時代から獣医外科学研究室に所属しており、外科のなかでも特に整形外科を専門的に学んできました。現在も、週1回大学に通って勉強を続けています。外科に携わっていると、腫瘍関連の割合が高く、腫瘍についてより専門的な知識が必要だと痛感することが多かったので、日本獣医がん学会 獣医腫瘍科2種認定医を取得しました。本院に1種認定医を取得する先生がいたので、私もチャレンジしようと思うようになりました。8月8日にはCTや高精度の超音波を完備した「小滝橋動物病院 目白通り高度医療センター」が新たに開院し、より精密な診断、高度医療の提供が可能になりました。私自身、普段から手術を行うことも多いのですが、CTが自院にあれば、麻酔をかけたままCTを撮って、必要があればそのまま手術に入ることもでき、動物への負担も大幅に軽減されますし、検査の結果が迅速に出せることも大きなメリットです。
大切なペットと長く元気に過ごせるように、年に1度は健康診断を
診療対象動物にはどんな種類があるのでしょうか?
現在、当クリニックで診ているのは、犬、猫、うさぎ、フェレット、ハムスター、モルモット、ハリネズミなど小動物です。犬、猫だけでなく、うさぎやハムスターなどの小動物を診てくれる動物病院は周囲に少ないようで、飼い主さんからは「このクリニックがあって助かります」と喜んでもらえることが多いですね。
飼い主さんと接する際には、どのようなことに気を遣っておられますか。
一つは、ペットにとって何が一番良い方法なのかを提示することです。ただ、いくら良い方法だからといって、飼い主さんに何の説明もなく治療を進めることはありません。医療費や治療にかかる時間についても、しっかり話し合って、理解・納得してもらった上で、最善の治療を選んでいただけるよう、提案しています。説明の際は、レントゲンや血液検査、エコーなどの検査画像を目の前でお見せしながら、丁寧に解説します。ペットが病気になると、「食べ物がいけなかったのかしら?」「飼い方が悪かったのかしら?」と、自分を責めてしまう飼い主さんが多いのですが、そうではないことをしっかりお伝えするのも私の役割です。動物医療というのは飼い主さんがやる気を出して、一緒に頑張っていただかないと、良い治療はできません。ですから、動物と飼い主さんの両方を励ましながら治療を進めることが、とても大事なのです。
予防医療にも力を入れているそうですが、その理由は?
定期的に検査することで、何も異常がなくてもデータとして蓄積されます。重い病気になっていきなり病院に来ても、それがもとからあった症状なのか、ここ2〜3ヵ月で出てきたものなのかわかりません。正常時の結果を残しておくことで、急性期の対応においても、正しい診断を下すことができます。その意味でも、異常がなくても、健康診断を毎年受けることはとても意味があるのです。老齢の子で腎臓の数値が高い場合、症状が出てからだと治療にも時間がかかりますし、すでに手遅れということも少なくありません。腫瘍も発見が遅くなればなるほど、大きくなっていることが多いです。病気の早期発見がペットの寿命に大きな影響を及ぼしますので、基本的には1年に1回、老齢の子は半年に1回は、血液検査や画像検査を含めた健康診断をお勧めしています。最近は、飼い主さんもペットの健康状態を気にされる方が多く、定期健診を受ける方が増えてきました。
整形外科で多い疾患などはありますか?
最も多いのは骨折ですが、膝蓋骨脱臼という、膝のお皿が脱臼する病気も割と多いです。いずれもトイプードルやチワワ、ポメラニアンなど小型犬に多い病気です。明らかな骨折の場合は異変に気づくのですが、普段からおとなしい子だと気づかないこともあります。日頃からお散歩の際に歩き方をよく見てあげたり、普段と違う様子がないかを観察してあげることが、早く気づくコツです。「何かおかしいな」と思ったら、放置せずに病院で診てもらう方がよいでしょう。何もないなら、それで安心ですし、異常が見つかっても、すぐに治療を開始することができ、回復も早く、治療の選択肢も広がります。
365日無休の医療体制でペットの緊急事態に対応
こちらは年中無休で診察されていますが、その狙いや思いは?
厳密には、当院はお正月の三が日だけは休診していますが、本院は正月も休まず診療しており、365日対応できる体制が整っています。病気は待ってくれませんし、クリニックが休みだったから、命を救えなかったというのが、当グループの獣医師にとって一番嫌なので、基本的に年中無休で、誰かが対応できるシフトを組んでいます。緊急の場合は深夜0時までなら、お電話での対応も行っています。必要であれば、飼い主の方に本院に来ていただいて、診察も行います。通常、土日も診察していますが、普段お仕事をされている方が集中して来院されるため、お待たせしてしまうこともあるかもしれません。予めご了承ください。
先生が獣医師を志したきっかけは?
小学生の頃からずっと獣医師になりたいと思っていて、小学校の卒業文集にも将来なりたい職業は「獣医」と書きました。昔、モルモットを飼っていて、動物っていいなと思ったんです。でも、そのモルモットの具合が悪くなって動物病院に行ったら、「原因はよく分からない」と言われてしまって。なかなか良くならず、別の病院に行ったら骨の病気だとわかり、その後すぐに亡くなってしまいました。「もっと早くわかっていたら助かったのかな?」ととても悔しくて、自分が治す側になりたいと考えるようになりました。
先生ご自身は、現在ペットを飼っておられますか?
猫を飼っていて、名前は「イクラ」と「ライチ」です。僕の名字が磯野なので(笑)。帰宅するといつも玄関まで迎えに来てくれるので、どんなに疲れていても癒やされます。日々のリフレッシュは猫と映画を観ること。今まで多くの映画を観てきましたが、「レオン」は今でも一番好きな映画です。
今後力を入れていきたいことは? 最後に、読者にメッセージをお願いします。
当院は地域に根差したクリニックをめざしていますが、まだ当院のことをご存じない方もいらっしゃいます。今後は地元での認知度を、もっと高めていきたいです。ブログなども通して、いろいろな情報を発信しながら、近くで困っている方のお役に立てればと考えています。8月の新病院開院により、グループとしての検査体制がさらに充実しました。今まで治療が困難だった子も、病気の早期発見・早期治療で、諦めずに救っていけたらと思います。スタッフ一同、動物と飼い主さんへの親身な対応を心がけておりますので、心配なことがあれば、どんな些細なことでも、気軽にご相談ください。