上祖師谷の住宅街にたたずむ「池田動物病院」を訪ねた。こじんまりとした院内ではあるが、スタッフたちがキビキビと動き活気にあふれている。院長の池田宏司先生が厳しい表情でレントゲンを見つめる足元を、一匹の黒猫がすり寄った。すると、池田先生の表情が穏和なものへと一変した。数ヶ月前に事故で顔がぐちゃぐちゃになったところを池田先生に救われたのだそう。今では看板猫としての役割を与えられ、スタッフの一員となったそうだ。池田先生に診療への思いを伺った。(取材日2009年11月18日)
―獣医師を目指されたきっかけをお聞かせください
理由のひとつには、動物が好きだったからというのがあります。飼っていた犬や猫が亡くなると、悲しい気持ちの中で、どうして亡くなるんだろう、どうして病気になるんだろうと子どもながらに必死に考えました。獣医師になれば病気を治してやれるんじゃないかと純粋に思ったことが、獣医師になろうと思ったきっかけになっていると思います。私が育った環境は、犬や猫だけでなく、数千羽の鶏や、豚、馬、牛までいたので、動物と接する機会が他の人よりも多かったですし、そのせいでしょうか、兄弟たちも同じように獣医師になっています。牛や馬がいるのが当たり前の生活だったために獣医学部に入るまでは、馬や牛といった大動物を診たいと考えていましたが、獣医学部の恩師に、犬や猫の診療の素晴らしさを教えいただいたことで、犬や猫といった小動物を診療する獣医師になることを志しました。
―開院にあたってこのエリアを選ばれたのはなぜでしょうか
最初は今から26年ほど前に、祖師谷駅近くの「祖師谷通り病院」をオープンしました。ずっと祖師谷に住んでいて、馴染みがあったという理由から祖師谷を選びました。こちらの「成城通り病院」をオープンしたのはそれから10年ほど経ってからです。「祖師谷通り病院」だけでは手狭になってしまったことや、たくさん来てくださる患者さんを対応しきれなくなったためです。設備などに多少の違いはあるものの、基本的にはどちらに通っていただいてもかまいません。飼い主さんには、通いやすい方に来てくださいとお話しています。
―26年にわたって動物たちを診療してきて、変化を感じることはありますか
動物たちが、単なるペットではなく家族の一員になり、人間と動物の結びつきが強くなってきていると感じますね。ほとんどの飼い主さんが、動物は自分の子どもであり、恋人であり、親友であると考えていると思います。ですから、26年前に比べたら、大切な動物の健康を守るために、飼い主さん自身もとてもよく勉強をしていますし、おのずと獣医師に対する要求も高くなっていますね。その気持ちに応えてやりたいという思いが、とてもよいプレッシャーになり、私自身の勉強への励みになっていると思います。
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