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上林 昭 院長の独自取材記事

山手動物病院

(横浜市中区/山手駅)

最終更新日: 2023/01/22

JR山手駅から徒歩13分。山元小学校のすぐそば。建物の外観は時代を感じさせる洋館風。ちょっと人目につきにくいが、看板には「東洋医学」の文字が。患畜に鍼や漢方を使った治療を施す「山手動物病院」。もともと馬が大好きだという院長の上林昭先生は、競走馬を専門に診ながら小動物の治療も並行して行ってきた。西洋医学で治せなかった馬の脚の病気を鍼で治したこともあるという。現在も頼まれれば馬の治療に出向いていくほど思い入れは強い。院内では、飼い主の都合で飼えなくなった犬を3匹引き取っている。動物からもらった幸福感のお返しをするためにも、飼い主は動物の立場に立った治療を選択してあげるべきだと上林院長は語る。 (取材日2011年2月21日)

馬好きが高じて馬の獣医師に

まずは開院までの経緯を教えてください。

麻布大学で獣医学を学んだ後、京都で競走馬の治療に携わっていました。高校・大学と馬術部に入っていたんですが、部の先輩の1人が関西で競走馬の獣医師をしているという話を聞いて、自分も馬を診たいと思い、京都へ行ったんです。7年間も馬に乗っていて、とにかく馬が好きだったんですね。3年ほど京都で過ごした後に東京に移り、大井競馬場の馬を診ていました。昼は馬を診療し、夕方から小動物を診るという生活をしていました。その間、15年くらいでしょうか。その後、乗馬クラブの馬を2、3年担当し、1996年に地元の神奈川へ戻ってきました。

獣医師になろうとしたきっかけは?

小さい頃から動物が好きでした。もっとも、小学生の時には獣医師という仕事があるのを知らなかったんですが(笑)。最初は小動物の獣医師になるつもりだったんですが、馬が好きだったので、馬を中心に診るようになりました。

馬の診療はほかの動物と違った面がありますか?

そうですね。馬は牛や豚とはまた別です。全然違うといってもいいでしょう。牛や豚の獣医師が馬を診るのは難しいし、私も牛や豚についてはわからないことが多いですね。馬の場合は牛などと比べて薬に対して敏感だし、同じ体重だからといって牛と同じ量の薬を与えることはできません。内臓でいうと、馬の腸は部分によって細くなったり太くなったりしていて、どうしても詰まりやすいんです。だから運動をさせないといけない。厩舎に入れっぱなしではよくないんです。競走馬の場合も、朝から調教をしていても、午後にはまた必ず引き運動というのをするようになっています。馬が早足で歩いていると、「ゴッゴッゴッ」という音が聞こえてくることがありますが、これは腸の動いている音です。人間も体を動かすと腸が動くことがありますよね。反対に運動をしていないとお腹が苦しくなります。それと同じようなものです。

東洋医学の鍼や漢方が診療の幅を広げる

有名な馬を診たこともあるんですか?

京都にいた時には、1973年の天皇賞で勝ったタイテエムとか、中山大障害を4連覇したグランドマーチスといった馬を診たことがありますね。

そういった馬を診るときにはやはり緊張しますか?

それはしますよ。失敗したら大変です。例えば、注射をミスして脚が腫れてしまったら、それだけでもうレースに使えなくなってしまいます。ダービーなんて一生に一度のものですからね。健康であることが当たり前とされるなかで診療するのはものすごく緊張します。

力を入れている治療は?

当院の診療には、東洋医学もかなり取り入れています。大まかにいって、症状を治す西洋医学に対して、東洋医学というのは原因を治すものだと考えています。実は、私の修士論文のテーマも「鍼」なんです。当時はなかなか動物に対しての鍼治療というのは行われていなかったので、人間の鍼灸師のところで勉強させてもらいました。その後、米国カルフォルニア州の牧場で、腰が悪く食肉用になる馬に1ヶ月間電気鍼を施し、ハリウッドパークのレースに出場したら1着になり、オーナーに大変喜ばれました。京都でも、競走馬の治療に電気鍼を使っていましたし、大井競馬場に来てからは、薬剤師の方から漢方薬についても学びました。自分で病院を開くようになってからも漢方の勉強は続け、実際の治療にも生かしています。後ろ脚が悪くなって歩けなくなった犬を漢方薬とビタミン剤で治した例もいくつもありますし、猫の尿道結石などは漢方薬が最も効果があると考えています。

そのほか診療の際に心がけていることは何ですか?

自分自身が同じ病気だったらということを考えながら診療しています。痛いのを無理に押さえ込んだりしても苦しいだけですよね?だから、なるべく苦痛やストレスを与えないようにして治してあげたいと思います。あとは、なるべく飼い主の方にも負担をかけないようにしたいですね。1回で済むような治療を2回、3回と繰り返したり、過剰診療になるようなことは絶対にしません。動物にも飼い主にも負担をかけず、必要なことを必要なだけというのがモットーです。

動物のことを考えた治療方法を

動物たちに負担をかけない方法というのは?

なるべく家でできることは家でやっていただくようにしています。薬を飲ませるだけなら、飼い主の方がやり方を覚えて飲ませてあげたほうが動物にとっても飲みやすいと思うんです。だから私も、一度来てもらったら、薬の飲ませ方などを教えるようにしています。入院もできればしないほうがいいんですね。入院するだけで動物にとってはストレスになりますから。特に体の小さな犬などはストレスがかかりやすいので、よほどの重症でない限り家での治療をお勧めしています。

今後の展望は?

将来はポニークラブみたいなものを作りたいと考えています。不登校の子などにポニーの世話をさせて、触れ合わせることで元気になってもらいたいですね。私は、長年、馬の治療をしてきましたし、ポニーだったら蹄(ひづめ)の処理などもできますから。そういったなかから、将来、馬を好きになってオリンピックの馬術競技に出るような人が現れたらいいでしょうね。世の中に対する恩返しというのがそういう形でできたらうれしいですね。

読者にメッセージを。

西洋医学のいいところと東洋医学のいいところを両方組み合わせれば、今まで治らなかったものが治るようになることもあります。動物の容態に合った治療方法を探してあげてください。何しろ、動物はしゃべることができないので、そこは人間がフォローしてあげないといけません。だから、もっと飼い主の方には治療法などについて幅広く勉強してもらいたいんです。勉強してほしいのは動物を飼う時も同じです。人間のひとりよがりで飼い始めるのではなく、動物のことをよく知ってから飼ってほしいと思います。今、当院で飼っている3匹の犬は、みんな元の飼い主が飼うことを放棄してしまった犬たちです。飼う前に、本当にきちんと世話をできるかどうか考え、実際に飼ったら愛情を注いでください。10年や15年、一緒に過ごすなかで、人間も動物からたくさんの幸福感をもらうわけですから。

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