本駒込駅から歩いて5分のところにある「なないろ動物病院」を訪れた。日差しがたっぷり差し込む院内はとても明るい雰囲気。随所に犬や猫をモチーフとしたグッズが見られる。「当院は、2013年に開業いたしました。犬と猫というのはまったく異なる存在であり、同じ場所にいることがストレスとなることが多いんです。だから、当院では仕切りを設けてなるべく両者が接しないようにするなどの工夫をこらしています」と話してくれたのは、服部真澄院長だ。やわらかな笑顔がすてきな服部院長は、親しみやすく話しやすい印象。「誰でも通える、敷居の低いクリニックをめざしています」と語る服部院長に、医院のことや治療方針についてなどの話をうかがった。
(取材日2015年3月26日)
―開業までの経緯を教えてください。
私は、医院のある文京区千駄木で生まれ育ちました。2000年に日本大学農獣医学部獣医学科を卒業したあとは、静岡県の動物病院で十数年勤務をいたしました。卒業当初は、野生動物を専門とする研究等に関心がありました。しかしながらまずは臨床経験をと思い前述の動物病院にて勤務を始めたんですが、これが予想以上に楽しくて。患者さんと距離が近く、飼い主さんともたっぷりとコミュニケーションを取れる開業の仕事は実は自分に向いているのではないかと思うようになりました。それで、下の子が進学したタイミングで開業を決意したんです。子育ての面でも勤務医としていつも遅い時間に帰るよりは、自宅にいて仕事をしている姿が見れる方が子どもにとって良いのではないかと思って。
―「なないろ動物病院」という名前の由来を教えてください。
犬・猫はもちろんのこと、ウサギやハムスターといった小動物が、現在ペットとして飼われています。一口にペットといっても、それぞれが個性や生態の全く異なる別個の存在であり、かけがえのない命です。その多様性あふれる一つ一つの生命が美しい虹色に輝くようにという願いが込められています。また、同じ疾患であっても対応や治療は千差万別です。それぞれの子に向かい合って、その時々でベストな治療を行っていきたいという考えも込めています。そうしていつか、地域のペットと飼い主の輪を支えていける虹の架け橋のような存在に当院がなれたらと思っています。
―犬猫の別室診察を行っているとか。
はい、そうです。当院では、犬と猫それぞれに待合スペース、診察室、入院室を設けています。これは、それぞれの生態が全く異なることから来ています。犬は院内で遊んだりうまくご褒美を使ったりすることで病院でもフレンドリーになれる子も多いものですが、猫は知らない場所を好まず、大きな音や知らない人に触れられたり見つめられたりすることで強いストレスを感じます。それだけ繊細な感覚を持つ猫ですから、同じスペースに知らない人や犬がいるだけでもストレスになってしまいます。だから当院では別室で診療したりキャットアワーといって猫ちゃんだけの診療の時間を設けるようにしています。当院は国際猫医学会(ISFM)によりキャット・フレンドリー・クリニックとして認定されています。これには、その他にもたくさんの基準があり、今後も猫にやさしい病院を目指し取り組んでいきたいと思っています。かわいいわが子を思えばこそ病院に連れてくることが、飼い主さんにとっては負担になっていることがあります。猫自身はもちろんのこと、こうすることで飼い主さんの心の負担も取り除き、みなさんの猫の健康管理につながればと思います。
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