JR川口駅から徒歩7分の距離にある「ピジョンミニペットクリニック」。その名の通り、ウサギや小鳥などの小動物の診察を専門とする動物病院だ。同クリニックの板垣秀樹院長は、日本大学を卒業後、最初は同院と同じ建物の一つ上の階にある「ピジョン動物愛護病院」に勤務していた。その頃から犬猫の診察も行っていたが、当時も小動物の治療のほうがメインだったという。もともと、倉庫のように使っていた1階部分を改装して、同クリニックを開業したのは2012年の4月。1階と2階を別々の病院にしたのは、徐々に増えつつあった小動物治療の需要に応えるためだった。現在は、犬猫の治療は「ピジョン動物愛護病院」で、その他の小動物の治療は同クリニックで行うという体制が確立されている。
(取材日2015年7月21日)
―こちらで対応している診療動物の種類を教えてください。
いわゆるエキゾチックアニマルという、一般的に飼われている小動物の中でも、特に犬・猫以外のものを扱っています。よく診ている動物の例としては、ウサギや小鳥、ハムスター、フェレットなどです。ほかにもチンチラ、モルモット、デグー、ハリネズミ、モモンガなど。たまにカメやトカゲといった爬虫類を治療することもあります。治療法がよくわかっていない動物も多いので、知識だけでなく経験で対処しなければならないことも多いですね。
―そうした小動物は、どのような症状や病気が多いのでしょうか?
よくあるのが歯の病気ですね。犬や猫は人間と同じように永久歯が映えると歯の成長が止まります。しかし、小動物の中にはウサギやモルモットのように「一生歯が生え続ける」という種類の動物もいるので、伸びすぎた歯が口の中を傷つけてしまうことがあるんです。口の中の痛みや傷のために食欲が落ちてしまって、飼い主さんが異常に気がつくということがよくあります。それ以外だと、季節の変わり目など、温度の変化が激しい時期に体調を崩してしまって「元気がなくなってしまった」という相談が多いですね。もともと、涼しい地域に住んでいる動物などは、日本の夏の暑さにまいってしまうことがあります。また、鳥などは体温が高いので、ちょっと体調を崩しただけで低体温に陥ってしまうこともあるんです。
―小動物に対して、こちらではどういった治療を行っていますか?
飼い主さんには食事管理や温度管理の方法をお伝えして、動物が体調を崩してしまわないよう指導しています。体調を崩した動物には、薬を飲ませたり、注射や点滴をしたりといった治療を行っています。ハムスターや小鳥に点滴をすると伝えると、意外そうな表情を見せる飼い主さんも多いですよ。でも、点滴といっても、すべての動物に対して、人間と同じように1滴ずつ薬を落としていくようなやり方をするわけではありません。例えば、鳥の場合だと筋肉の間や皮膚の下に注射のようなやり方で薬を注入します。処置自体は数秒から数十秒で終わる簡単なものです。薬自体は一時的に入れた場所に蓄えられた後、数時間かけて毛細血管から徐々に吸収されていきます。また、歯が伸びすぎた動物に対しては、伸びた歯を短くする治療を行っています。例えば、前歯であればニッパーのような道具を使って短くカットします。一生伸び続けるわけですから、伸びるたびに定期的にカットしなくてはいません。歯の成長が早い種類の動物だと、2週間に1回カットしなくてはいけなくなることもありますので、飼い主さんは大変ですね。
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