埼玉県霞ヶ関にたたずむウィル動物病院は美容院のようにおしゃれな動物病院だ。飼い主が気軽に訪れることができるよう広く開放的に作られた待合室の奥には、こだわりの新型機器が揃う治療室が控えている。地域の動物医療の中核を担う総合診療施設を目指したいと、中村史郎院長は話す。治療の際には検査結果を飼い主にできる限り共有できるよう工夫し、ともに病気に立ち向かっていこうという飼い主の気持ちを大切にしている。スタッフとともに飼い主に丁寧に寄り添う姿勢の根本には、この地が中村先生の生まれ育った地元だということもあるのだろう。中村院長にペットドックの大切さや今後力を入れていきたい分野など、日々の診療への思いを訊いた。
(取材日2015年10月8日)
―2007年に開院されたとのことですが、この地に開院されたのはなぜですか?
生まれも育ちも川越だったので、開院するなら自分の慣れ親しんだ地元の飼い主さんの役に立ちたいと思ったからです。私は高校時代までサッカー少年でして、ここ霞ヶ関のグラウンドでもよく練習していました。いずれは自分の動物病院を開院したいと考えた時、やはり気心の知れた自分の好きな土地で、と思っていました。
―医院はとてもおしゃれな外観ですし、待合室も素敵です。
ありがとうございます。ある意味病院らしくない、ペットも飼い主さんもリラックスして診療が受けられるような医院にしたいという思いがありました。その方向性にてデザイナーに依頼し、設計してもらいました。診察室は病院としての使い勝手が良いようコンパクトに作っていますが、待合室は天井も高く、明り取りの窓を設けるなどして広く作っています。訪れる飼い主さんにも好評ですね。入口ドアにはハロウィンの可愛いお化けなど季節に合わせたシールをスタッフが工夫して貼ってくれていますよ。
―診療対象について教えてください。
全体では犬と猫が中心で割合としては7〜8割。近年、人間と同じくペットも高齢化していますので、犬ではがんや心臓の弁膜障害、猫では腎不全が多いと感じています。そのほかウサギやフェレットなどの小動物が2〜3割といった感じです。インコやオウムなどの小鳥も診察対象にしようといま勉強中です。ただ、すべての動物を完璧に診療するためには勉強時間も膨大に必要になりますから、対象動物のことをしっかりと専門的にキャッチアップし続け、もしも対象外の動物が持ち込まれた際には素直にその旨を申し上げた上で可能な限りの治療や案内をしたいと思っています。
―ペットドックにも力を入れていらっしゃるようですね。
ええ、春と秋にキャンペーンで利用しやすい料金で実施しているので、期間中は多くの方にご利用いただいています。ドック検診の内容は血液検査が中心で、そのほか便、尿、腸の検査や血圧測定など。また、今年8月に眼科専用の診察機器を導入しましたので、来年からは眼科検診も項目に加える予定です。高齢のペットでは緑内障、あと若い子でも網膜の疾患などは最近多いので、そうした症例に対応できるように導入しました。目は飼い主さんも気づきにくいですし、周辺の動物病院でも眼科は専門外というケースも多いので、当院ではこれから眼科に力を入れていくつもりです。犬猫は人間の4〜5倍早く歳を取りますので、年2回検診を受けることで、前回のデータとの比較で現在の健康状態が把握できます。早期に異常を発見できれば、それだけ予後の結果も良く、長く幸せに飼い主さんと過ごしていただけるので、なるべく定期的に健診を受けていただければと思っています。実際ペットドックがきっかけで病気が見つかり、手術まで行った事例はけっこうあります。また、何も病気が見つからず健康だったとしても、その子の性格や健康時の状態をこちらでつかめますので、その後異常が起きた際にいち早く病気に気づく一助になります。その意味でもペットドックをお勧めしていますね。
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