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土谷訓子 院長の独自取材記事

ピッコリーノ動物病院

(さいたま市中央区/南与野駅)

最終更新日: 2023/01/22

「ピッコリーノ動物病院」は南与野にある小さな動物病院だ。小さな動物病院、というと大きな病院よりも頼りないという印象を持っている読者が多いかもしれない。しかし、同院は小さいからこその利点を最大限生かしている動物病院といっていいだろう。飼い主の家族構成やペットの性格までスタッフ全員が把握しているから、きちんと自宅での処置ができるかどうかまで検討しながら治療が受けられる。また獣医師が1人のみだから、どんな時でも一貫した説明と治療が受けられるのも魅力の1つ。同院には大きな動物病院では感じることができない魅力が詰まっている。今回話を伺ったのは「のりちゃん先生」の愛称で親しまれる土谷訓子院長。さばさばとした語り口とは裏腹に動物への熱い思いがあふれるインタビューとなった。 (取材日2015年7月27日)

家族構成まで把握しているからできるペットの最適なケア

なぜこの地で開院されたのですか?

ここが地元なんです。通っていた小学校・中学校はここの近所ですし、当院の大家さんも同級生。私のことも「院長先生」ではなく「のりちゃん先生」と呼ぶ人もいらっしゃいますね。小さな病院でいいので、ゆっくり診察できるアットホームな病院を作りたかったんです。当院のイメージとなった「ちいさいおうち」という絵本があって、その話は田舎で周りが都会化していく中でも、小さなおうちはその生活スタイルを変えずに過ごし、のちに田舎に移築されてのどかに暮らすという話なんです。大きな街にある忙しい病院ではどうしても回転効率ばかりを考えてしまったり、獣医師が診察の度に変わってしまったりします。当院では私だけでなくスタッフ全員が飼い主さんのご家族のことを把握しています。

どうしてスタッフが家族のことまで把握しておく必要があるのですか?

ペットがご家庭の中でどういう位置にいるかが大事なんです。犬や猫はすごく頭がいいので、自分より上だと思っている人となんでも言うことを聞いてくれる人を見分けて態度を使い分けます。なので、犬・猫と処置をする方の上下関係によっても家での治療をきちんとできるかどうかが変わってくるんです。当院ではスタッフもその子がどういう性格かもきちんと把握してくれています。例えば錠剤の薬を飲ませられるか、その動物の食生活や食の好み、わがまま度などです。そのため、それらを判断しながら治療方針を決められます。たくさん患者さんのいる病院だとそこまでなかなか共有できないんですけれど、当院では顔を見ただけで頭にカルテが浮かぶような感じです。私は診察が終わって精算している時に、患者さんのもとへ行き、私の話を飼い主さんがどう受け止めてくれたか確認しています。家に帰ってから実施できない治療ではせっかく来ていただいたのに治療が進まなくなってしまいますからね。

獣医師としてやりがいを感じる瞬間はどんな時ですか?

ワンちゃんネコちゃんを誕生から(ペットの仔犬や仔ネコが、赤ちゃんの時)から亡くなるまで診させてもらうことも多くあります。その中で、家族がペットを見送る際に、ペットの死を納得して後悔なく受け入れることができ、そして気持ちを前向きに、新しいペットを当院に連れてきてくれて思い出話をする事ができた時など獣医師として嬉しい場面ですよね。また、お子さんだった飼い主の方が、成長して自身が新しい家庭を持ち、その家庭のペットを連れてきてくれる時にも獣医師としてやりがいを感じます。

ペットの飼い主にも高齢化の問題が

どうして獣医師になろうと思われたのですか?

物心ついた頃から近所の犬や猫を自分で治療したいと思っていたんです。小学校の頃にそう思ったが最後、他は考えられなくなっていました。先輩から「動物が好きなだけじゃだめだ。人とのコミュニケーションも好きじゃないとできない」と言われることもありました。でも、それも好きなほうだなと思いましたね。大学生になってからは開業獣医師のもとに毎週通って、ずっと動物病院に入り浸っていました。それでも研修医になってからの生活はきつかったです。深夜まで手術があって翌日は普段通り出勤しなければなりませんでした。その病院では初めての女性研修医だったんですよね。男性には負けられないという思いがあって、真夜中に車を運転して帰っていました。そのおかげで外科の基礎をたたきこまれ、今では様々なオペにも対応できるようになりました。

先生のクリニックで行っている治療や特徴について教えてください。

私が獣医師になったときは今のように専門病院が少なかったんです。「この分野を究めたい」なんてことをしている暇はなく、すべてをオールラウンドに勉強しなければなりませんでした。そのため、幅広い治療に取り組んでいます。最近は腎臓の治療がすごく進んで、サプリメントなどもさまざまあり、かなり病態を維持することができるようになりました。また、飼い主さんに自宅で点滴してもらうこともできますよ。そういうことを飼い主さんに実施してもらえるぐらい、コミュニケーションを密に取るというのが当院ならではの特徴でしょうか。当院では往診も実施しています。ただし往診は検査ができないので、できることが少ないのが現状です。とはいえ、お車がない、飼い主さんが高齢である、犬が大きくて運べないなどの理由で来院できないことはあるので、少しでも助けになればと思い行っています。

高齢化社会の影響がここにも出てきているのですね。

飼主さんが高齢になってペットが亡くなるとその次を飼う勇気が皆さんないんですね。自分になにかあった後にペットがどうなるのかを考えて「この子で最後」とおっしゃるんです。でも、それじゃ寂しいなと思ってしまう。年を取ったからこそペットがいることで家庭が明るくなったり、生きがいができたりすると思うんです。だから、高齢の飼い主さんがそういう心配をしなくてもよくなるよう、普段からペットの元に遊びに通ったり預かったりして、飼い主さんに何かあったらペットを預かる里親さんを見つけられるようになれたらいいなと思っています。現在、犬や猫の老犬ホームというものが既にあります。飼い主さんになにかがあった場合に一生面倒をみてくれる施設です。しかし、とても高額で全員が受けられるサービスではありません。高齢者は数週間単位で入院することも多いです。普段から何かあったら預けられる人を見つけられるシステムを作れないかと私も思案しているところです。

家族全員にペットにとって本当に必要なことを知る機会を

ペットの健康を守るために注意したほうがいいことはありますか?

年に何度かの健診もしてほしいです。犬や猫の1日は人間の4日分にあたります。2日間放置すると1週間放置したことになってしまいます。おかしいなと思ったら皆さんお忙しいとは思うんですけど、早めにいらしてください。それと、肥満の子が多いので、お食事やおやつに注意して体重管理をしたほうがいいですね。その際、はっきりさせたほうがいいのがペットの家庭内ヒエラルキーです。「この人のところに行けば食べ物をくれる」とペットに思われて、飼い主さんがその言いなりになっていることが多いのです。子育てと同じように、強い意思を持って接してください。同じように、飼い主さん1人がペットを病院に連れて来て説明を受けても、ご家族にその話が伝わらずこちらの指導通りの治療ができないことがあります。できれば動物病院には家族皆さんで来て話を聞いてほしいです。

家族の協力がペットの健康を守るために必要なんですね。

普段一緒にいる時間の少ない家族でもペットのことになると一致団結するという光景もよく見ますね。動物の病気を治す事だけでなく、ご家族にとって、大事なペットにとって何が一番大切なのかを話し合い獣医師と協力していくことが大切です。飼主さんは動物の気持ちを言葉で知る事はできない為不安になられます。例えばキャンキャン、ニャーニャー鳴いて訴えるペットを飼主さんは「痛がっている」と受け取られる方もいます。でも動物は痛い時は鳴かずにじっとフリーズ状態になる事が多いのです。そういう解説をしながら治療法を提案するようにしています。動物病院は喋ることができない時期の子供の小児科と同じです。このことは私の子育ての中で感じた事なのですが、わが子が具合が悪くなり苦しそうにしている、その時に子供自身はどう感じているのか、何をしたら楽にしてあげられるのか悩むことがありました。小児科の先生は治療法や対処法については教えてくれましたが子供の気持ちはなかなか代弁してくれなかったように思います。飼主さんの不安も解消してさしあげるのも獣医師の仕事だと思います。

最後に、読者にメッセージをお願いします。

インターネットなどでとても勉強なさっている飼い主さんが多いです。でも、そのインターネットの情報が間違っていることもあります。現代は情報化社会でさまざまな情報があるんですが、その中から正しい知識だけを拾い集めるのは大変です。そんな時、正しい情報を提供するのが獣医師の役目ですから、動物病院に来てなんでも聞いてください。最近は動物病院に来てすごくメモをして帰られる方も多いです。そういった姿を見たり、質問内容を聞けると患者さんが知りたいことや不安に思っていることがよくわかります。それが私にとっても次のステップになり、患者さんにより適切なお話しすることができます。「こんなことでもいいのかしら」ということでも構いません。皆さんが何かペットのことで困ったときは気軽に相談してほしいと思います。

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